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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む正直、俺はじっとしてるような犬ではない
フリーレンは此処に帰ってきてから本を読んだりしてゆっくり過ごすらしいのだが、隣に寝てるだけの俺は詰まらなくなり
部屋から外へと出れば、庭を見渡し知らない花やら草を嗅いで歩き回る
何処まで行けるか試そうかと、石が積まれた門の前へと進めば、気配も無く目の前にはバトラーが現れた
『 !!なんだ、やる気か!? 』
通せんぼをするように現れた彼に、体勢を低くし戦闘体勢へとなった俺に見下げたまま表情が変わらない視線は家の方に向く
「 此処から外は結界が無い。外に出れば人間の領土。見付かればまたフリーレン様は捕まる 」
『 ……外に出ちゃ駄目ってことか? 』
向こうは何処までも道が続いてるように見える
その先には街でも有りそうな雰囲気だが、出たらダメなのかと耳が下がる俺に
彼は腰へと手を当て呆れたように溜め息を吐いた
「 はぁー。そんなに走り回りたい場所が欲しいなら作ることは可能です 」
『 おぉ!じゃ、草花もあって川があるのがいいな! 』
ライフみたいに色んな物を創れるのかと、彼が歩き出した後ろから着いていく
部屋へと戻り、何事もなく廊下を進み、奥の部屋へと辿り着けば扉に触れ
魔法を唱えては、ドアノブを開けた
「 犬の為に庭を作りました。どうぞ、此処ならご勝手に走り回ってください 」
『 おぉー!森だ!! 』
其処は神の庭に似てると思うほどに、木々があり草が生え、茂みがあり、走った先には小川が流れていた
どうやって作ったのかは分からないが、バトラーも中へと入ってくれば俺の様子を只見ていた
『 川、魚がいる!! 』
「 昔、何処かで見た森を再現しただけです。幻を喜ぶとは……。聖獣は単純なのですね 」
『 幻?本物じゃないのか? 』
「 えぇ、違います 」
匂いも全て再現されてるのに、此が偽物なのかと振り返った俺に彼は頷くと
今まで綺麗だった景色は消えて、只の部屋に変わったことにショックを受け腹を出し横たわる
『 いやー!森がいいー!!幻でいいから、俺に夢みさせてー! 』
「 我儘な 」
『 あ、森!! 』
やっぱりシロと過ごしてる神の庭が好きなのは本能
こっちがいいと幻でも喜び、走り出した俺は溜め息を付き部屋を出ていったバトラーを他所に遊び回っていた
蝶を追い掛けたり、蜂の巣を見ては逃げたりと
本当に此所が森のような感覚がして、ふっと無意識に告げる
『 シロ!あっちに……あ…… 』
此所はシロがいる神の庭じゃない
幻で造り出された場所であり、俺の居場所はフリーレンの傍なんだと実感すれば
一気に気分は下がり耳と尾は垂れ下がる
「 もう遊ばないのですか? 」
『 幻だから……此処は俺の故郷じゃない…… 』
部屋を出てトボトボと歩いてはフリーレンの居る方へと歩く俺に
バトラーは話をし始めた
「 私の故郷は無くなりました 」
『 ん? 』
急になんの事だろうかと思い、目線を上げれば彼は手に持っている雑巾で家具を拭きながら言葉を続けた
「 此所が私の故郷であり、フリーレン様の家です。貴方も早く、そうなるといいですね 」
居心地は悪くない、ときっぱりと告げたバトラーにそれはつまり慰めてるのだろうかと思う
既にホームシックになり掛けてる俺は、人間の世界が余りにも早く進むことを思い出せば
今だけ、この世界を満喫してもいいかと思い口角を上げる
『 そうだな……森に囚われすぎた。少し落ち着くよ……。部屋飼いになれるとする 』
外で走り回る事に慣れた俺は、部屋でゆっくりする事を忘れていた
神の庭でも、シロの機嫌次第で部屋の中に居るじゃないか
其れなら此所も変わりはしないと、バトラーとの話を終えて落ち着けるフリーレンの傍へと戻れば 彼は俺の存在に気づき頭から首の方へと撫でてくる
「 部屋の冒険は終えたかい?気に入ってくれたならいいのだが 」
『 ……レンの傍が一番落ち着くよ 』
「 ふっ、それは良かった 」
やっぱり俺は誰かの傍にいる方が安心する
森は確かに好奇心が誘われて、何でも楽しく思えるが普段からゴロゴロだらけてるのなら寝れるスペースがあると十分
ソファーの下にあるカーペットの柄は同じでも、俺が寝るのを見たのか、バトラーは質のよくフカフカの物へと変えていた
それはまるで、シロの身体に凭れ掛かってる時のような暖かさと気持ちのいい触り心地だ
なぁ、シロ……心配しなくとも俺はどうやら怪我無く今回は終わりそうだ
こんなにものんびりとした人間界での生活は初めてかも知れないのだから
時より撫でてくれるフリーレンの手の感覚に心地好くなり、すやすやと眠ってる俺は彼が離れてご飯を食べていたり、魔法で点字へと書き換えた本を読んでいる側で寝ていた
聖獣は、求めれられて戦わなければ"必要ない"と言うことだ
本能的に其を理解し、呼ばれるまで只深い眠りに付き
時より目を覚ますのは、フリーレンが触れたり声を掛けてくる時だけだ
俺はバトラーの様に、家事をするわけでもない
只の静かに置物となっている飼い犬だ
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