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一章 聖獣への道のり編
06
しおりを挟むズカズカと歩き、風呂場へと来れば
服を消し、さっさと全裸になれば鼻に付く甘い花の匂いに尾は揺れる
『 いい匂い、これなんだ? 』
「 ハーブ用に植えてる花です 」
『 へー……って、何で入ってきてんだ!? 』
張られた湯船に浮かぶ花へと手を伸ばして軽く触れていれば、聞こえてきた声に振り返る
当たり前なように其処に立っているバトラーに自然と下半身を片手で隠せば、彼は真顔で見下げてくるなり燕尾服の上を脱ぎ、シャツを捲り上げた
「 洗って差し上げますので、じっとしてて下さい 」
『 えっ、いや、自分で……っ!! 』
容赦なく頭から振りかかるシャワーに口輪が有るために水が溜まって溺れそうになり、首を振る
『 口輪!口輪を考えろ!! 』
「 あぁ、そうでしたね。外しましょう 」
『 へっ? 』
怒って告げた俺に、バトラーは後頭部にある金属部分へと触れれば呆気なく口輪は太股へと落ち、その反動で床へと転がる
『 なんで? 』
「 " 貴方 "は外せませんが、他人なら外せるので 」
『 へぇ…… 』
なんかフリーレンが考えそうな事だなと納得していれば、またバトラーは頭からシャワーをかけた
自分で出来ると言おうと思っても、きっとダニやらなんやら文句言われそうだからもう諦めて好きなようにさせる
『 ん~、悪くない 』
最初は嫌だったが、手袋を外し頭を泡立てて洗うバトラーの手付きは、まるでどこかの美容師のよう
上手くて自然と耳は下がり、尻尾は床にある泡を付けては左右に揺れ、鼻歌すら交じる
シロとは違った優しさがありマッサージをされてるような洗い方は心地がいい
「 シャワーで流しますね 」
『 ん! 』
今度は口輪も無いしいいと目を閉じたまま、顔を上げ洗い流される感覚を感じ
丁寧に泡が流れ落ち、スッキリとすればシャワーは止まり彼は早々にタオルを持ち固形石鹸を使い泡立てる
『 ハーブと同じ匂いがする…… 』
「 同じもので作りました。気に入りましたか? 」
『 嫌いじゃない。紅茶とか飲みたくなる 』
「 ふふっ、聖獣が飲み物を?まぁ、飲みたいのでしたら風呂上がりで宜しければ御持ちします 」
たまに人の食べてるものが食べたくなるように
空腹感は無くとも、味わってみたくなる時がある
紅茶は高価な物ではなく単価な物を、趣味で飲んでた時があるから素直に嬉しい
『 いいのか?なら、楽しみにしてる 』
薄い唇はふっと柔らかく笑い、泡を立てたタオルで身体は洗われる
人に洗われる事に気恥ずかしいが、バトラーは世話焼きなんだと納得し、身を任せた
軽く座っていたが、ある程度の部分は俺が自分で洗い
もう一度シャワーで流してから、湯船へと浸かった
『 気持ちいい……あったかい湯は久々 』
「 だから、ダニだらけなんですね 」
『 其とこれとは関係ない 』
湯に入ってたのは神の庭の時だし、ダニなんていない
確かにフリーレンに出会い、この家に住み初めてから風呂を入ってないにしろ
ダニなんてそんないるはずないと、首を振り
顔についた滴を拭けばバトラーは片手に湯にいれ視線を此方へと向ける
「 温度は良さそうですね。氷属性だから冷たいのが好みかと思いました 」
『 別にそんな事はない、冷たいのが平気ってぐらいかな 』
「 左様ですか 」
風呂の中で湯に合わせて揺れ動く、自分の尻尾を掴み毛を触れ、軽く触っていれば
ずっと其処に居る事に傾げる
『 なんで、こんな構うんだ? 』
もっと蹴散らして好きでは無いのかと思っていた
けれど、優しげに目尻を下げて笑みを浮かべてる様子はそうには見えなくて
問い掛けてみれば、彼は湯に付けた手を動かし獣の耳へと指で挟むように触れ軽く撫でる
「 暇潰しです。フリーレン様は手を焼かせてはくれないので…… 」
『( あ、やっぱり世話好きか )』
シロは子供が好きでも、世話を焼くと言うより
好き好きとずっと舐め回したり、尻尾を振ってるようなやつだ
それに比べてバトラーは、愛情を向けてるかも微妙だが世話を焼くのが好きな様子
流石、シルキーだなと思い視線を外せば彼は手を離し立ち上がる
「 しっかり暖まってから、上がってくださいね。紅茶の準備を致します 」
其だけ言って立ち去ったバトラーの事を考えては、余り思考が回らなかった
身体を動かして少なからず疲れたのか、今はその甘さが心地いいと思ったんだ
風呂から上がり、軽く拭いてから服を着て
湿り気が残る髪のまま、リビングへと足を向け
普段はフリーレンが座る椅子へと腰を下ろせば、 彼は目の前に温めたティーカップを置き紅茶を入れる
「 口に合うか分かりませんが自家製のハーブティーです。それに合うクッキーもどうぞ 」
『 おぉ、本格的~。頂きます 』
手を合わせ、匂いから心地好くなるハーブティーにティーカップを持ち一口飲む
味覚が消えてるのか" 味 "は感じないことに、口角を上げ匂いと共に水を飲む感覚を楽しんだ
『 ありがとう、美味しい 』
「 それはよかった。それと、毛は乾かしましょう 」
片手で触れることなく髪へと手を翳した彼は、簡単に髪を乾かした
柔らかい風を感じる事に、風属性なのかと思うがそうには見えず
取り敢えず乾いたことに尻尾を揺らしていた
『 ごちそうさま!凄く、堪能した 』
「 では、此方をどうぞ 」
『 ……やっぱり着けるんだな 』
食べ終わったと同時に、口輪は付けられ
俺が触れれば外れないことに肩は下がる
まぁ、仕方無いかと自己解決し
獣の姿へと戻れば、寝るための挨拶をしフリーレンの寝てる寝室へと行く
「 ん……楽しめたか? 」
『 とても……少しは、仲良くなれそうだ 』
「 ふふっ、それはよかった…… 」
起きてたんだ、そう問うことはなく
二人で眠りに付く
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