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二章 宝物捜索 編

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仲の良い兄弟、晩御飯を終えたら一緒に大浴場で風呂に入り、そして同じベッドで眠りに付くのだから

『 羨ましいな……両親も優しそうで……理想の家族って感じ 』  

「 そんなに羨ましいか? 」 

『 うん…… 』 

眠ったのを見てから、城にあるバルコニーにやって来た俺に着いてきたソレイユは背後から問い掛けた 
余り前世の過去話はしたくないのだが、今は少しだけ家族の事を思い出して、誰に言うわけでもなく、独り言のように話をした

生まれた環境が城の中ってことには何一つ気にならないが、家族が揃った食卓なんて思い出が無いほどに記憶がない  

いつもテーブルに置かれたお金で、コンビニで適当に食べたり、たまに作って失敗して 
一人誰も居ない暗い部屋に、物心付いた時からいた
おかえりと言った経験も、ただいまと両親に言った事もなく、いつも一人取り残されていた

" さっさと餓鬼を祖母のところに連れていけばいいだろ! " 

" 学費を払ってるのは私よ!?祖母に連れていくにもお金が必要なの! "

" 俺のせいだって言うのか!? "

" 貴方がギャンブルなんてしてしなければ良いのに!! "

" 御前だって好きなものを買ってるじゃないか! "

『( やめて……喧嘩しないで……聞きたくない…… )』

時間をずらして仕事をしてるような両親 
育てる為の金さえ出すのが嫌なほどに、自分達の趣味へと費やして、それでも世間体があるから離婚することも、子供を何処かにやる事も無かった 

顔を見合わせる度に喧嘩して、その度に耳を塞いで隠れていた

見てはダメだ、聞いてはダメだ、子供心に関わってはいけない人物と味方につけるべき大人を判断する能力はたけていた

" いらっしゃい、ーーー。またなにかあったのかい? "

優しくて暖かい祖母と頑固で無口だけど亡くなる間際迄畑仕事をして働いていた祖父
どちらも俺にとっての味方であり、唯一の理解者だった
だから俺は" 可哀想な奴 "と言う事を思ったことがない
ちょっとだけ両親と会話する頻度が少なかっただけで、たまに会いに行く祖父達が居る、田舎に帰れば友達だっていた
 
けれど、そう思っていても夢から覚めた現実は余りにも残酷だった

『 母さん……なにしてんだよ…… 』

" 貴方……だれ? "

家に帰った時には父は血だらけで倒れ、母は俺の存在を忘れていた
緊急搬送された父は生きては居たがその事があり離婚して、母は永く閉鎖病棟へと入っていた
俺は中学生になると同時に寮生活へと変わり、あの住んでいた家には滅多に帰らなかった

" ーーー!帰りにバーガー食いにいこうぜ! " 

『 いいな、新商品とか気になる! 』

祖父から送られてくるお小遣い範囲で中学生の頃は過ごして、高校生になってからはバイトで殆どの学費を支払った

そして、大学は援助金が出る場所へと向かった
まともに働いてさっさと一人立ちしよう、その考えを持ちながら" 愛情 "に飢えていた

『 子供は結婚してから二人で決めて、作ろう。あー、家は…… 』

" なんで、そんな事を考えてんの? "

『 えっ、だってずっと一緒にいるならそうだろ? 』

" 気持ち悪い……恋人って、遊ぶだけじゃん……メールの頻度も多いし、重い "

『 待って、何をいって…… 』

今日は何処にデート行こうか、そう考えてるなかでふっと家族連れを見て、俺の将来を語っただけのこと
多少はそのつもりで一緒にいたからこそ、彼女が酷く拒絶してる事に気付かなかった

" 別れて、もう二度と私に連絡しないで "

『 なっ、待って……話をしよう 』 

" 離して!! "

『 っ…… 』

手首を掴んだと同時に振り払われ、長い爪をした手で頬を叩かれ、痛む感覚に眉を寄せれば彼女は声を上げて怒っていた

" 重いし、気持ち悪い!!見た目だけで連れ歩くのうんざり!! "

『 そう、ごめん…… 』

切れた頬に感じる密かな熱より、胸に感じる痛みの方が強かった

もう顔も覚えてないし、どんな名前だったかも思い出せないが
俺が描く夢はとても重くて気持ち悪いものだと知った
両親が常にいなかったからこそ、子供が世話できるほどに余裕ある暮らしをして
寂しくないよう子供は二人は欲しくて、広くなくて良いから家を建てて……

『 そんな理想はもう死んだ今は叶えられないが……やっぱり家族は羨ましいと思う…… 』

テールとシエルの嬉しそうな顔や、それにあの両親の優しい笑顔を見れば
俺が描いた夢を実現してる家族がいるのも事実

『 ごめん。なんか……変なことを語った 』 

羨ましがって結局はなにもならないことは知ってる
だから笑って誤魔化せば、最後まで聞いててくれてソレイユ……シロは表情を変えることなく問い掛けてきた

「 それだけか? 」

『 へっ? 』

「 御前の" 夢 "は其だけで十分なのか? 」

不出来な子供に教えるように、敢えて二度目はハッキリと告げた彼の言葉に疑問符が浮かぶ

其だけなのか、そう……其だけなんだ
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