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二章 宝物捜索 編

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正直、聖獣の俺には王様であるオースティンの話し等どうでもいい

二人が立派になったこと、聖獣の義を行った後で有るであろう様々な問題を自らの口で説明した

確かにオースティンは国王と納得するぐらいしっかりしてるし、笑顔も胡散臭くは無い 
腹から笑って家族も国民すら大切にしてる人って分かるが、まぁ召喚師じゃなければ興味ないよな

隣で獣の特権を使って欠伸をしてるソレイユも、半分以上は聞き流してるように見えた

「 さて、御前達の晴れ舞台だ。収穫祭の前に盛り上げてくれよ? 」

「「 はい!! 」」

やっと終わった、余りにも長くて聞いてなかった
隣のソレイユにちょっかい掛けたくなっていた位には獣らしくじっとするのが苦手だったようだ

「 では、御二人とも行きましょうか 」

セバスチャンの言葉と共に、玉座を離れて城にある階段を上り、御披露目とかをするような大きなバルコニーの前へと来れば扉を開く前に、ソレイユは影に入ったのを見て、俺もまた影へと身を隠す

他の兵士二人が其々扉を開けば、国民の歓声は沸き上がり聞こえてくる
他のバルコニーに出てきた国王は、軽く挨拶をすれば椅子へと座る

その後に、テールとシエルが手を振る
こう言う光景を日本でも見たことあるなーって思えば、セバスチャンはシエルに告げられる 

「 これより、古くから伝わる聖獣の義を行う 」

「 御先に第二王子からどうぞ 」

オースティンの言葉に熱狂してるような国民を前に、まだ十代のシエルには急に緊張し始めたように身体に力が入っている
町中でも人々に囲まれて、動揺してたもんな

『 シエル…… 』

「 コウガ…? 」

『 大丈夫、俺が傍にいる 』

「 うん! 」

影の中から声を掛ければ、シエルは笑顔を向けたよし、大丈夫そうだな
シエルなら出来る、その言葉を信じてるからこそ俺も緊張はしてない
発表会とか、音楽コンクールみたいなイメージだと思えばいいと自分で納得するも、なんか尚更胃が痛む気が……

『( 落ち着け俺!シエルも緊張してないからな! )』

「 第二王子…シエッ、シエル・スペンサーです! 」

『( ちょっと噛んでるじゃん!シエル頑張れ!! )』

噛んでるけど、国民は気にしてないようでその言葉を聞いていた
本当は、聖獣を得てからどんな事をしたいか、どんな国を目指すのか、とか色々話すんだが
緊張し過ぎて頭が真っ白になった彼は、さっさと聖獣召喚の魔法を唱えた

「 我、アダムとイブの息子であり、神々の落とし子…。こにょ、この身に宿る魔力と引き換えに、命尽きるまで共に居ると誓う、魂の繋がりを示すものを…今一度、繋がりを表せ……。皆に姿を見せてよ……聖獣、氷結の牙狼ぺークシス・フェンリル 」

「「 おおっ!! 」」

シエルが告げた氷結の牙狼ぺークシス・フェンリルそれは、この下級にも関わらず俺に与えられた、人からの通り名であり
その言葉を聞いた瞬間に、彼から流れ込む沢山の魔力に気付いた

大きな魔法陣は青白い光を放ち、辺りを冷気で包み込めば空は一瞬で灰色の雪雲に覆われ、僅かにアラレが降り始る

『 グルルル…… 』

「 ルーナ……? 」

灰色かかった毛並みは姿を現せば、銀色へと変わり、自らの放つ冷気によって毛並みを凍り付かせ、氷柱のような毛へと変わっていく

『( 身体が熱い…… )』

暑くて仕方無い、こんなにも外は暑いものだったのか
涼しくしたくて本能的に、理性より先に地面や城は氷っていく

『 はぁっ……( 確か、なにか作ってアピールを…… )』

額から目元にかけて現れる、氷の結晶の様な六角形の模様に、フワッとした尾は二本に分かれたように氷で固まり風と共に揺れ動く

『 氷…狼…… 』

氷狼ひょうろう、そう呟いた瞬間に、空中に青白い魔法陣は現れ、氷のフェンリルの姿をした彫刻はウルフの様に動き現れ、一つの遠吠えを大きく吠え固まれば、テールの影からソレイユは顔を出した

「 シエル!さっさと、ソイツを戻せ! 」

「 あ、うん!!よくやったルーナ!!我が影に戻れ! 」

『 っ…… 』

シエルの声と共に、足元に魔法陣は現れ、中へと入っていくように消えれば、氷は砕かれキラキラと輝く
それを見た国民は歓声を上げ、シエルは手を振り後ろへと戻った

直ぐにテールとソレイユは聖獣の義である、パフォーマンスをしたらしいが、俺は影に入ると同時にファルによって別空間へと連れてこられ
辺りはブリザードが住む氷の世界の様な冷たい場所

「 さみぃ……ルーナ、大丈夫か? 」

『 嗚呼、暑くないから落ち着いた…… 』

横たわっていた身体は首を持ち上げることが出来るほどで、ブルブルと震えてるファルを余所に辺りを見てから深く深呼吸をする

「 なら良かった。すぐに兄さんも来ると思うけど、その前に言わせろ 」

『 なんだ? 』
 
ソレイユも来るのか…、其にしてもなんだろうかと思えば彼は、マフラーや耳当てを着けたままの少年の姿をして鼻先を赤くしニコッと笑った

「 し…… 」

「 進化したんだ、おめでとう 」

「 言わせろよ!!くそ、おめでとう! 」

『 えっ?進化? 』

余りにも突然の事で驚けば、ファルより先に告げたソレイユは普段着てる軍服の上から更に厚みのあるコートを着ていて答えた

いや、どんだけ寒がってんだ
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