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二章 宝物捜索 編
06
しおりを挟むファルの無時空間に居たときは時間の流れなんて、無かったから沢山やっても問題なかったが……
此処には、神の庭のように人間の世界に影響する時間の流れが存在する
つまり、俺達がこんな事をしてる間に人間界はどんどん時間が経ってるって事になる
気持ち的には百年か、二百年ぐらいこんな事をしてたんじゃないかな?と思うから……
得て良いのか分からないものを、お互いに習得してしまった
『 チッ、今…イケたと思ったのに…… 』
部分武装にした瞬間、剣の威力に負けて飛んでいった腕を見ては舌打ちをし、切れた腕を放置する
地面に転がった腕は氷となり、砕けて消え去り、直ぐに俺の腕は氷の腕が再生し、人の肌へと変わる
「 形にはなってきてるが、強度が足りないな…… 」
離れた場所で見ていたシロの腕も、岩のような物で作られてから人の肌へと変わる
俺達は…こんな修行をしてる間に、
超高速自然再生と
痛覚無効を習得してしまった
今までは、切れた部分を拾ってくっつける必要があったのだが、
習得してからは腕が転がってても、すぐに新しい自然の物で出来た腕が生えてくるし、
痛覚が無くなってるから痛みすらない
首が飛んでも、身体がバラバラにミンチになったとしても、再生迄に時間を使わない
まるで俺自身の身体が、氷の彫刻にでもなったように切り離された部分は氷と変わる
水にまで戻ることも出来るから、赤い血が出ても、地面に落ちたときには滴が散ったように、水溜りが出来る程度
それが余りにも、当たり前のように行い始めてから強度は一気に落ちた
゙ 切られてもいいや ゙って思ってしまうから良くないんだろうな
『 どうしよう。部分は出来るけど、痛覚無くなってから強度が足りないのは自分でも理解してる 』
「 俺も…このランクになって習得するとは思わなかったからな……。痛覚が無くなれば危機感知能力が低下する。それは聖獣として良くねぇ 」
当たっても大丈夫
そう思ってしまう思考を元に戻さない限り、
部分武装が完璧になるとは思えない
『 分かってるけど、もう…当たっても痛くないんだよ。避ける体力を削るぐらいなら、回復する 』
「 御前には…主が痛がる姿でも見ないと分からないかもなぁ 」
『 否定しないよ 』
人間の世界で百年、二百年、それ以上か分からないけど
一分に一度は切られたり、刺されたり、身体をバラバラにされた痛みを永遠と味わってたら痛みが無くなるもの
痛みがなくなって、何が痛いのかも分からなくなって、
首が飛ぶぐらい、身体がミンチになるぐらい……痛い?って疑問になってしまってる
そのせいで、心も少し冷たくなった
ずっと恋人による、訓練という名の拷問を受けていた感覚だから……
どうしても、鈍くなる
「 少し変わったな…… 」
『 そう? 』
「 この訓練は止めよう。風呂にでも入ってゆっくりしようぜ 」
何故、そんなにも寂しそうな顔をするのか分からない
俺をこうしてしまったのはシロなのに……
それにシロも痛覚無効を習得してるから、
一緒のはずなのに俺だけが変わってしまった…
なんて言うのは可笑しいんじゃないか?
背を向けて歩き出したシロを追い掛ける気も無くて、脚を動かし少し外の空気を吸いに行く事にした
『 休憩する度に犯されて、また切られて、刺されて……それがずっと行われたこの身体は、氷のように冷たくなった…… 』
シロにとっては愛情だったのだろうけど、
痛みで苦しんでる時に休憩しよう、と
一時の休息を与えられても、襲われてたから嫌だった
嫌だったけど、
今は嫌でもないし、別にヤッていいと思う
疲れた、っていう認識すら薄れて
魔力が消耗してるか…それだけを考えてしまう
『 確かに、俺らしくないかもな 』
通路に出て、雲を眺めながら呟く
肉体への感覚も、心への痛みも無くなったことで、
俺の中にあった大切な何かが、凍り付いたあとに砕けた気がする
もう元には戻らないのだろうか?と思い、深く息を吐いてからシロの後を追った
『 風呂に入ってスッキリすれば何か、変わるよな! 』
この部分武装の訓練が一旦終わるならそれでいいと開き直って、ちょっと駆け足で風呂へと向かった
シロが本来の姿で入っても大丈夫な程に広い湯船がある
深さはそんなに無いんだけど、それでもいつもいい香りがする花が浮かべてあるから、
これは彼の趣味なんだと思う
『 シロ、そんな落ち込むなって。俺は俺だぜ? 』
「 別に落ち込んでない…… 」
『 いーや、落ち込んでる 』
風呂場に行けば、湯船に入ったまま狼姿になってるシロが、顎を乗せてふてくしたように浸かってるのを見て分かりやすいと思う
ちゃっちゃと身体を洗い流してから、湯船に入れば近くへと行く
『 痛覚なくてもいいじゃん。痛みなんてわからない方が…… 』
痛がって、動きが鈍ってる聖獣よりずっといいと思っていたんだが……
シロは此方をチラッと見た後に、耳は後ろへと下がる
「 それを……良かれと思ってした事で失わせてしまった事に、後悔してる。日に日に、痛覚が無くなってるのに気付いていたが、止めるタイミングを見誤った 」
俺へでは無く、自分自身に落ち込んてるのだと分かったけれど、なんて言えばいいか分からずに触ろうとした手は止まった
『 もう……後悔しても遅いじゃん。痛く無くなったと思って開き直ろう!なっ? 』
落ち込んでるのを見たくないと、不器用に笑って見せても、シロは視線を外してそっぽを向いた
その態度には、痛覚が無くとも胸に、
忘れかけた痛みが走ったけどな……
2
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