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二章 宝物捜索 編
08
しおりを挟むシロのやつ、あんなに泣くことないだろ?
そんなに俺が痛覚を失った事が嫌だったのだろうか
確かに、ちょっと交尾の頻度が多くて疲れてた時もあったし、休ませて欲しいと本気で思ったけど、
シロを泣かせてしまう程に嫌だった訳じゃない
『 はぁ…… 』
深い溜息を吐き、久々にゆっくりと浸かる風呂を満喫していた
筋肉痛に似た、身体の重みがスッと消えてく感覚は心地がいい
『 でも……仲直りしなきゃ後味悪いもんな 』
身体を休めるのは構わないが、気持ち的に晴れてる気は無い
仕方なく、湯船から出て身体の水滴を氷へと変え、身を震わせて払い落とし、身体を乾かした
床へと落ちる氷の粒は、風呂の室温で溶けて水へと戻る
そのせいで、肉球が濡れたままになるけど、
脱衣場へと行き、置いてある毛布で手足を拭く
『 よし、乾いた! 』
もう、シロに乾かして貰わなくても、自分の能力でなんとなる位には成長してるのを実感する
それがちょっとシロには寂しいかも知れないけどな
二本の尾を揺らし、罠が消えた廊下をかけ走って居ればフッと外が気になり、脚を止める
『 こんなに曇って…黒かったけ? 』
宮殿の周りにあったはずの雲は真っ白で、綿菓子みたいに美味しそうだったのに、
今ある雲は、どす黒い雷雲のよう
『 もしかして、シロが泣いたから? 』
強い者の心によって、大気が変動し変わってしまう事は知っている
もし、シロを泣かせた事でこの宮殿の下は大雨だったりすると……
それは、事の発端である俺の責任になる
『 他の神様に怒られそうだから、さっさとシロに謝ってこよ! 』
最高神をイジメちゃダメ、なんて言われると思うと身が縮まる
天罰なんて尚更嫌だと思い、その場から離れてシロがいそうな寝室へと向かった
『 シロ!さっきはごめん!! 』
バンッ!と音を立て勢い良く扉を開け、それと同時に謝ってみたが、寝室は静まり返っていた
『 あれ……? 』
居ないことに首を傾げて、魔力を辿ろうとするも、
この宮殿、そこら中にシロの魔力や微かな匂いが充満してるから、探し辛いんだよ
『 どこだろう……? 』
寝室で泣いてると思ったんだが、そんな事は無く居なかった
それなら別の場所だろうかと、床へと鼻先を向け匂いを嗅いでは、歩いた先を辿って行く
部屋を出て、廊下を抜けた先にある大きな扉の前へと辿り着く
『 ほぇ……ここは入った事ないな 』
こんな場所があった事すら驚きな程に、綺麗な扉には様々な神様みたいな者が描かれていた
その中心には、ライフ?と思われる人物がいる
ライフが生命を創り出せる源なら、神様達もライフから生まれたのだろうか?と思う
『 ライフって結構…凄いんだな 』
そんな感じは全くしない雰囲気だから、親しみやすいけど、
もしかしたら、俺が知らないだけで凄い神様だったのかもしれ無いな
『 まぁ、俺にとってはシロの方が強くて格好良くて、凄いけどな! 』
よし、開けよう!と片手を開げ、カリカリと扉を引っ掻いてみても開く様子は無い
大半の部屋はこうするだけで開くのに、此処は全くそんな気がしない
『 うん、出て来るまで待とう 』
こういう場合は諦めるのは早くて、その場でおすわりして扉の方をじっと見つめた
気持ち的に一分経過したぐらいで横たわり、三分後には仮眠してた
おすわりして待つのが苦手だから、許してほしい
『 スゥーッ……… 』
仮眠程度が夢に落ちるぐらい、爆睡しかけた頃
床に魔法陣が現れ光った
それに気付いたのは急落下するような感覚だ
まるで、学生の頃に机にうつ伏せになって寝てる時にたまにやるあれに似てる
ガタン!と椅子が揺れる音が出て恥ずかしかったなと、思い目を覚ます
『 我を……ッ……! 』
いつものように格好良く登場して、決め台詞でも言おうかと思って姿を見せたものの
身体に降り注ぐ大雨と、雨に交じる磯や血の匂いに眉間にシワが寄り
俺を召喚したと思われるシャツに腰に布を巻く黒髪にエキゾチックな顔をした赤い目の青年は、
頭から血を流したまま魔法陣に片手を置き、声を張った
「 出てきたなら、さっさと彼奴を殺せ!! 」
『 っ、あぁ! 』
何かを倒せば良いんだなと、契約して貰う前に辺りへと見渡せば、怪我をした者達が倒れていたり、武器を持ってる者すらいた
そして、急に傾く地面に驚く
『 っ~~!? 』
「 おい、馬鹿犬!!テメェが滑ってどうする!! 」
足場の悪さと、始めて感じた揺れに空っぽの胃が握られたような気持ち悪さを感じる
男の声に、滑っていた身体の態勢を整え、雨でツルツルと滑る板ならば、凍らせれば良いと自らの足場だけを凍らせ、踏ん張った
左右に大きく揺れる地面、どす黒い雷雲から振り続ける大雨と雷、
そして怪我をさせた原因だろう者は、その姿を見せた
『 い、イカァァァ!!? 』
「 イイから殺せ!! 」
『 イカだけに!? 』
クラーケン?それともダイオウイカ?そう思わされるような、吸盤のついた細い触手が幾つも海の中から現れた
それがこの場所を狙って、腕を叩き落としてるのを見て、気付く
『( 船の上だ!! )』
今、自分のあるべき場所と状況がやっと理解した
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