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二章 宝物捜索 編
09
しおりを挟む涙を拭き取り、気持ちを落ち着かせていれば記憶を取り戻したデルは、壁に手を当てた後に魔法を唱えて、部屋をガラッと模様替えついでに綺麗にした
改めて綺麗になった部屋にある、ソファへと並んで腰を下ろし、話をする
「 シャルル様とネロさんは、今も何処かで生きてらっしゃいますよ 」
『 そうなのか!? 』
一人分のコーヒーを準備してから呑むデルを見て、少しだけ妖精だった時の彼が食事を取らなかった為に違和感あるけど、それよりも生きてるってことが嬉しくて、尾は揺れる
「 えぇ、幼い子供に魔法を教えて回ってますので。魔法使いは殺されない限り長命ですから 」
『 そう……良かった…… 』
ネロにも会いたかったから、何処かで生きてるんだと分かり、凄く安堵した
コーヒーが入ったマグカップを置いたデルは、視線を俺へと向ける
「 何も知らないのは聖獣である貴方だけ。私達は…其々に世界の流れにそって生きる者は生きて、死する者は死んで行くだけです 」
『 ……雨が降ったのは、俺のせいだけどな 』
「 それもまた、歴史の流れです 」
前世の俺なら、雨が降り続けたら温暖化とか、異常気象だと思って、鬱になりながら仕方ないと思うのだろう
それと同じく、誰かのせいにもせず…
雨が多く降り続いた歴史として、長く生きる魔法使い達は思うのだろうな…
『 そっか…。なんか、さ…。この船に、味方?っていうか…俺を気にしてくれる奴が居ないから、デルが居て良かった… 』
「 おや、嬉しいことを。でも…クラウス様は、気にかけてるようですけどね。独占欲とか向けてますし 」
ずっと怒られて孤独なのかと思ってたから、知り合いがいて安心感があると思ってたけど、デルの言葉に落としていた視線は彼に向けられる
『 えっ、あ、いや…。独占欲は、そこそこ気づいてるけど…なんか、仲良くなったと思ったらまた距離が開くから…さ。今迄にないパターンの主人で尚更困ってる… 』
「 フフ、人は三者三様ですからね。同じ主人なんていませんよ 」
この世界に、日本語らしい四字熟語があった事にちょっと驚いたけど、デルの言った言葉は正論だと思った
『 それもそうか… 』
「 えぇ、それに…クラウス様は、貴方が思ってるよりずっと扱いやすい方ですよ 」
『 ……そうか? 』
それは流石に、否定したい部分がある為に、首を傾げれば半分程飲んだコーヒーを置いた彼は、視線を此方へと向ける
「 感情が表に出て、とても分かりやすい方ではないですか。先程も言った通り…独占欲がありますし、貴方が雨を降らした聖獣と関わりがあることに多少ショックを受けたらっしゃっただけで、今は文句を言った自らを責めてると思いますけどね 」
『 自己嫌悪ってのが…クララにあるのかよ… 』
全くそんは雰囲気が無い為に、ちょっとだけ眉間にシワを寄せて、後ろへと耳を下げればデルは口元に手を添え軽く笑った
「 フフッ、それこそ彼にあった言葉でしょうね。敵を殺す事すら、戸惑う方ですよ。争いを避ける平和主義。海賊という肩書きが勿体無いほどにね 」
『 あぁ……( 確かに、争いを避けるけど…。相当俺に暴力を振って、それが独占欲とかで片付けられるなら…メンヘラじゃないか… )』
デルは笑うけども、俺は一切笑えない内容にチベットスナギツネみたいな表情をすれば、デルは手を伸ばし頭と共に耳へと触れる
「 大丈夫ですよ。聖獣との距離感が掴めない様ですが…時間を掛ければ分かり合えます。なんせ、此処にいるクルーは、皆彼の人柄に惚れているのですからね 」
『 ん…なら、もう少し…。向き合ってみる 』
「 えぇ、そうしてみてください 」
元シルキー妖精だったデルがそう言うなら…と納得して、彼の手の平に擦り寄っては撫でられる感覚に心地良いと思う
ここに来て、主人に頭を撫でてもらうことが無かったから、何となく犬として喜んでると本能でも思う
「 私の膝で良ければ…と言いたいところですが、それはクラウス様の役目なので、これ以上は彼に甘えてください。私はいつでも、相談には乗りますので 」
そっと離れた手に名残惜しく感じるけど、確かにその通りだと頷いて、頭を振って気持ちを切り替える
『 分かった。クララにも雨の事で謝りたいし…改めて話し合う。地図は…全然分からなくてごめんな 』
「 いいえ。また話したい時はいつでも来てくださいね 」
『 ありがとう。また遊びに来る 』
立ち上がった俺は、デルの額へと口付けを落としてから、彼の前から離れて部屋の方へと行けば、彼は自らの姿を元のデルの姿へと戻してるのを見てから、その場を離れた
『 クララはメンヘラ…。てか、メンヘラってなんだっけ?うわっ…前世の記憶が薄れてる… 』
単語は分かっても、内容までがハッキリと思い出せなくて、廊下を歩きながら眉間に皺を寄せ、
態々歩くのが面倒くさくなって影へと入り、最短ルートで船長室の奥にある寝室で寝てる、クララの影から現れる
『 寝てんだ?まぁ、夜だしな… 』
既に日付が変わり掛ける頃だから、寝てるのは無理はないと思う
部屋側に背を向けて横になってる彼の横顔を見てから獣の姿へと戻り、
敢えて顔側の方に行き、横になる
『 なぁ、クララ……。黙っててゴメンな 』
「 ………… 」
『 御前の、家族の事とか…何一つ知らないけど、俺のせいだとは自覚してる。本当にごめん…。おやすみ… 』
独り言のように呟いて、もう一度明日謝ろうと思って目を閉じていれば、首後ろに当たる感触に気付いて目を開き、
耳は密かに音を聞く為に動けば、彼の手は掛布団を添えて俺を布団の中へと入れ、腰辺りへと抱き着いてきた
「 ……もういい。謝るな…… 」
口を開こうとしたけれど、彼の抱き締める腕に力が入ったのに気付けば、顔を改めて壁際を見てから、静かに目を閉じ眠りについた
『( クララは、デルの言った通りに…嫌な奴じゃないかも… )』
心にあった重りが落ちたような気分になり、その夜はここに来て初めてってぐらいにぐっすりと眠れた
多分、主であるクララが落ち着いて眠った影響だと思う
少しずつ、主人と聖獣の繋がりが強くなってる感覚を感じた
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