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しおりを挟む子供の話は検査の後に考えると言う事になり、明日は早いってことで先に寝るように言われた
颯の部屋に戻っては、ベットではなく椅子に座る彼に視線を向ける
「 フェラ……しようか? 」
「 ん?あぁ、別にいい…… 」
「 なんで? 」
てっきりされたかったのだと思ったけれど、颯はそんな気はないように、考えていた表情からすっと笑みを浮かべ、椅子から立てば私の方へとやってきた
「 わっ…… 」
被さるように肩に触れ、そのままベッドに倒れれば、被さっている彼は見下げて告げた
「 フェラをされるより、したいからさ。でも、今はそんな事よりも…触れていたいと思う 」
余り良くわからないが、フェラをする必要はないと判断し、首へと腕を回せば颯は太腿に触れ足の位置をベッドと同じく垂直にし、身体をずらせば笑みを浮かべながら頬へと口付けを落としてきた
「 ん、ママが……颯は私が好きって……それは、娘じゃなくて、一匹の女として? 」
「 嗚呼、そうだよ。瑠菜が好きだ。御前はどうだ?俺が、男として好きか…… 」
雌として好かれるのは素直に嬉しい
けれどなんとなく、娘では無くなる感覚は寂しいと思ってしまう
「 私にとって…颯はパパだから……。でも、男の人だとも分かってる…… 」
「 嗚呼、父であることは変わらないが、御前を愛する一人の男でも違いない 」
それがイマイチ分からなかった
父親と、男が何が違うのか…
どちらも性別上″雄″以外のものでもない
少し困惑してる私を悟ったのか、彼は眉を下げて笑っては頬へと口付けを落とした
「 そう困った顔をしなくていい。只、瑠菜は瑠菜のまま…俺を愛してくれたらいい。他の男に甘えず、寂しさも全て俺だけに向けてくれ 」
コツンと当たった額と共に、何処か寂しそうな声が交じる
まるで私が誰かの元に行きそうだとばかりの言葉を聞けば、頬へと口付けを返し、その頭を抱き寄せて髪へと指を絡める
「 もう、颯だけだよ……。私は何処にも行かない……その変わり、ママが言ったように一人にしないで欲しい 」
「 もちろん…それは出来るだけしないつもりだ 」
完璧とは言えないが、多忙で有りながらそれでも出来る限り寂しい思いをさせないと言う颯の言葉は信用した
彼が一生懸命に検査出来る場所を探してくれてたからだ
寝間着のボタンを外し、胸元を片手で撫でていれば彼は獣の耳へと唇を寄せ、僅かな吐息を吐き、私の寝間着へと触れ服の上からそっと胸をなぞり触れた
「 優しく抱く……痛かったら言ってくれ…… 」
「 ぅん…… 」
腹に違和感を覚えてから行為をするのを控えていた為に、二ヶ月ぶりだと思う
壊れ物を触るように優しく胸を撫でて、指先で蕾を掠める度に息を吐き、唇は重なった
「 颯~。スイカ切ったんだが…… 」
バタンと急に開いた扉と、聞こえてきた声に颯の表情は硬直し、そして父親もまたその姿のまま固まった
「 ……妊娠中は優しくするんだぞ。俺も我慢できなかった事はあるが…… 」
「 いいからさっさと出ていってくれ!! 」
「 いやーん。颯が怒った 」
ベッドから早々に下りて、蹴飛ばすように廊下へと出した彼に、父親は僅かに笑っていた
パタンと扉が閉まる前に二人が一瞬話したような雰囲気だったけど、聞き取れはしなかった
「 鍵をかけ忘れた……。休めと言った割にはスイカって…… 」
「 私、スイカ食べたい 」
「 えっ?別にいいが…… 」
「 樹パパもきっと寂しがってるから。ほら行こう!一緒に食べたいんだよ! 」
あの日、樹パパは私の手を離した後辛そうに顔を背けていた
私がした事なのに自分の責任のように受け取った彼の表情を覚えている
寂しいと言えないのはパパも颯も、同じだと思う
「 樹パパ、スイカ食べよ! 」
「 おっ、そうか?なら食べようか 」
「 ったく……食うの付き合うさ 」
きっとそこれが家族なんだと思う……
ん?
獣人として生まれた、私には両親はいるのだろうか?
まぁでも、いいや……両親よりも愛情深い彼等と一緒なら気にならない
「 スイカの種を食べると。稀に胃に芽が生えるから出せよ 」
「 ん!?それ早くいって! 」
「 あぁ、根付く場所もあり。定期的に水も降り注ぐもんな…納得 」
スイカの種、飲み込んじゃったけど胃に生えないよね?
恐ろし過ぎて沢山水を飲んで胃酸までに落としたよ
わきゃわきゃと縁側に並んで食べながら、夏の終わりを感じつつ、久々の雰囲気を楽しんでいた
明日は、きっと……いい日になる
「 もし、子供を生むならこっちに帰ってくるといい。子育ては協力した方がいいだろ 」
「 そうだな。親父達が迷惑じゃなければ帰ってくるか 」
「 うん!帰ってくる! 」
翌朝、母親が起きるより早く私達は研究施設に向かう為に、樹パパが作ってくれたお弁当を持った
「 帰りは報告ついでにもう一度寄る。流石にそのまま家に帰るのは距離が遠いからな 」
「 嗚呼、それでいい。ゆっくり休憩を挟みながら行くんだぞ?気をつけてな 」
「 分かった。行ってくる 」
「 行ってきます!樹パパ、またね 」
「 またな、行ってらっしゃい 」
不安そうに見送る樹パパへ片手を振ってから、車の助手席へと乗れば、颯は車を走らせた
お弁当の中身が楽しみのまま、私達は研究施設へと行く
夜に父親と母親は話し合ったらしく、私が出産する頃に家に帰っていいと言われ、
颯も仕事で育児が出来ない時を考えては、こっちに戻って来ることを承諾した
反対されると思っていた妊娠の報告も、両親の優しさによって受けて入れ貰ったし、これからの事も消えると思った
言われたように一時間事に休憩を挟んで、外で背伸びをしてから、また車を走らせていく
山道をずっと突き進むけど、案外すれ違う車は多かった
昼前に樹パパのお弁当を食べて、可愛い色とりどりの猫のキャラ弁に颯は青ざめていたけど、味はやっぱり美味しかった
「 流石にナビに乗ってないか……。此処からは土地感覚次第だな 」
開発が進められた都心とは違った田舎道
奥に進むごとにナビは、空を飛ぶように道路ではない場所を走っていた
ケージに入り揺れられていた為に、こんなにも山に囲まれた場所だとは思わなかった
外を眺めながら、曲がりくねった道を進んでいれば颯は辿り着いたらしい
「 急に開けたと思ったら……これは、軍事施設かなんかかよ 」
「 わっ…… 」
大きな白い門が現れ、本当に此処が調べた研究施設なのか分らないまま、車を警備員のいる門の方へと寄せる
「 ご用件は? 」
「 俺の、獣人を検査して欲しくて来た 」
「 獣人? 」
「 こんにちは 」
樹パパから、言われのは家族ではなく
″獣人″と言えば中に案内されるということだ
流石、愛玩用だと自覚しながら
車の中を覗いた警備員に見せるように、フードを外して耳を見せれば、彼は頷き無線で連絡を入れ、門を開いた
「 獣人と認証致しました。どうぞごゆっくり。ブラックのセダン型が一台向かいます 」
車のまま奥まで入れるらしく、門が開けば彼は駐車場らしき入り口のスペースまで向かった
「 中に入れってことだな……。瑠菜、行けるか? 」
「 うん、大丈夫…… 」
白い大きな建物である研究施設
此処が私の…生まれた場所なんだと改めて思えば心拍数は駆け足をしていた
入り口を見上げ、颯と共に向かった
五段ある階段を上り、自動ドアの前に立てば
扉は開く
中に入れば冷房がよく効いたように涼しい風が身を包む
そして、鼻に付く匂いは覚えがあった
「 私……ここ知ってる…… 」
「 やっぱりここで合っていたか。さて、受付は…… 」
白いホールには何もなくて、受付らしき場所は無かった
辺りを見渡せば通路か上に登る階段しか無いが、階段を下りた記憶は無い
だからこそ、目の前にある通路を進む選択肢が私の中にはある
「 こっち。多分こっち 」
「 お、おい。うろうろしたら…… 」
何かが私を招いてる様な気がした
颯の手を引いて通路を歩き、他の扉に入ることなく突き進んでいく
彼は少し動揺してるように思えるけど、私は只匂いと記憶を頼りにしていた
次の自動ドアの前に立てば、何やら機械の音が聞こえた
″ No.2022を認証しました ″
「 へっ? 」
その数字は、私の太腿にある数字であり
自動ドアが開き中へと入れば、向こうから歩いてくる白衣を着た人に目を見開いた
「 No.2022?行方不明の報告があった子…… 」
「 誰だ? 」
颯の腕に摑んでいた手を離し、マスクと手袋を付けた彼は白衣を揺らし歩いてくれば、私の足は自然と走っていた
「 なっ、瑠菜!? 」
「 へっ……?あ……! 」
「 みやぁお!!( ただいま )」
猫のように声を発し、駆け寄って飛びつけば彼は驚いた声を漏らし、身体を優しく受け止めた
「 No.2022。おかえり……無事だったんだな。良かった…… 」
「 はっ……えっ?? 」
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