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~ 瑠菜 視点 ~
ぼんやりと見ていた夢は、未来なのだろうか
赤ちゃんを囲うように皆が居て、笑い合ってた
颯は未来だと微笑んだけれど、その表情はとても寂しそうだった
流石に永く一緒にいるから、何か隠してるのは分かるけど聞く暇がないまま
強い睡魔に誘われて眠りに落ちていた
次に起きた時には、今度は颯がベットの空いてるスペースに俯せになるように寝ていた
昔も、私が風邪で寝込んだ時に仕事を切り上げて帰ってきて、看病しててくれたよね
あの時の、ミルク粥が一番美味しかったと思う
「 ベットに上がって来れば良かったのに…… 」
狭いけど一緒に寝たら、辛そうな姿勢では無くなると思うけど
よっぽど眠気と闘った雰囲気があるために、起こすのも申し訳無く、自分に掛かっていた薄い毛布を手に取りそっと背中に掛けて、ベットから下りた
置かれているスリッパを履き、そっと部屋を抜け出して通路へと歩く
ちょっとだけ、獣人の子供達が気になったんだ
左右を見渡して、感でいる場所へと向かい
入口付近に立っていた女性の研究者の元に行く
「 入ってもいい? 」
「 えぇ、どうぞ 」
「 お邪魔します 」
ボタンを押し、ドアが開けば中へと入り
此方に興味を示さない獣人を見る
私もあんな風に自分達の事しか興味無かっただろうか?
たまに、研究者の方を見てた記憶はあるけど、比較的には彼等のように見てみぬフリで終わったと思う
「 ……ルナは、他の子より人間に興味があったよ 」
「 へ? 」
聞こえてきた声に、耳は動き視線を向ければ其処にはキャップ帽を被ってない、黒髪の男性が歩いて来ていた
何となく自然に、脚を向け近付けば腕に抱かれた時よりも少し老けて見えるし、身長も颯ぐらいあったんだなって改めて思う
「 私がいつもご飯を上げてたから、覚えてたんだね 」
「 あ…… 」
ポンッと頭に手を置かれれば、古い記憶が脳を過る
獣人の子供達には、其々に担当の研究者が付き添っていた
研究者の受け持ちは5人前後だけど、引き取られたりしてる場合があるから、いつも一緒にいるのは2、3人ほど
私の時には、もう一人男の子が傍にいたと思う
「 大きくなったね、ルナ。次はママになるんだ? 」
「 うん……なれるかな……。ママに…… 」
雛が、初めて見た人を親だと思うように
私にとって彼は紛れもない″親″と認識出来る人だ
だから、引き取られる時に多少痛い事をされても許せたんだ
彼がいつも、ご飯を持って来て食べさせてくれたから……
「 それはルナ次第だよ。ルナは子供が欲しい? 」
「 欲しいよ……。好きな人の赤ちゃんだから育てたい 」
「 そっか。じゃ、獣人が産むには色々リスクがあって大変でね。ルナには、良い方法を教えてあげる 」
「 ……それはなに? 」
颯に教えたら喜ぶだろうか、きっと喜んでくれるかも知れない
興味を表すように尻尾は左右に揺れる
頭に触れていた手は、頬から胸元へと下がり、そして腹へと触れた
「 現段階でこの子を取り出して、ルナみたいに育てたら、ルナも子供も長生きするかも知れない 」
「 長生き? 」
「 そう。だから、我々にこの子を任せてはくれないかい? 」
ぼやかしたように告げられた言葉
けれど、私のように育てればリスクの多い獣人の赤ちゃんが育つのなら、答えは既に決まっていた
「 任せる。子供も一緒に暮らしたいから…… 」
「 よし、なら決まり。出来るだけ早い方が良いから泊まる場所を用意するよ。君の飼い主と、その子の父親に伝えるといい 」
「 飼い主と父親……? 」
「 ん?其々にいるだろう?まさか、子供の父親を知らないとか…… 」
飼い主は恐らく颯の事だと思うけど、父親も颯なんだけど、それは二人ではなく一人だと思う
「 颯が、この子のパパだよ? 」
自らのお腹に触って告げれば、察した様に彼の口角は上がり、ふっと笑った
「 なるほど、だから必死だったわけか。お互いにナイショ事が出来たな……。分かった、じゃ颯さんに伝えてね?我々は準備に取り掛かる 」
「 えっ、あ、うん!宜しくお願いします 」
任せて、とばかりに手を振った彼はその場を離れて入り口から外へと出ていった
「 ナイショ事が出来た?まぁいいか 」
きっと私が寝てる間に話した事なんだろうなって思いながら、個室に戻る事にした
「 ん…どこに、行ってたんだ? 」
「 ちょっと子供達をね…。それと、私の親みたいな人と話して来た 」
「 話した……? 」
私が帰って来た事でやっと起きた颯は、眠気が残るように欠伸を漏らし、軽く目を擦るなり、一瞬身体が硬直した
言葉の中でどれかが気になるように、此方に向いた表情には動揺が混じる
何か変な事を言ったかな?と疑問になる
「 そう、赤ちゃんについて。ねぇ、颯……自然分娩が全てじゃないんだから、私は研究者達に任せたいと思う 」
ベッドに座り直して、目の前の丸椅子に座る颯の手を取り、見詰めて言えば彼の瞳孔は開き、眉間にシワが入る
「 ……聞いたんだな。自然分娩は不可能だと…… 」
「 うん、獣人は身体が弱いらしいから…私は子供の為に任せてみるよ 」
「 子供の為…?瑠菜は…自分の事は聞いてないのか? 」
「 ん?自分の事? 」
獣人は産むのにリスクがある事を教えられた
それは薄々気付いていた為に、受け入れるのは早かったけど、他に颯は聞いて、自分が聞いてなかった事があるのだろうかと疑問になれば、彼は首を振った
「 あ、いや…。聞いてないなら、それでもいい……。そうか、瑠菜がその方法を選ぶなら俺は付き添う 」
「 うん…… 」
何か曇った表情を見せたけど、彼は直ぐにお腹に触れ、そのままそっと服の上から僅かに分かる膨らみへと口付けを落とした
何となく髪に触れて撫でていれば、此方を向いて見上げる視線と重なる
「 どんな形で生まれて育っても、私達の子には変わりないよね? 」
「 嗚呼、変わらない。愛しい子との、子供だ 」
獣人の血が入ってるのなら、子供がどんな姿で産めれて、成長しても受け入れる気持ちは出来ている
私も耳や尻尾があって困ることは多々あったけど、それでも見た目を気にせず大切にしてくれる人と出会ったから…
きっと、この子もそんな相手を見つけれると思ったんだ
「 ふふっ、颯に拾われてよかったよ。好きじゃ足りないぐらい、大好きだよ 」
「 嗚呼、俺も大好きだよ 」
身体を起こした彼は頬に触れ、そのままそっと目蓋を閉じれば唇は重なった
柔らかく触れる程度の口付けから、身体を抱き締められ、頭を撫でられる
「 ……頑張ろうな 」
「 うん、頑張る 」
事例の少ない獣人の妊娠
出産した場合の母体の生存率は14%ほど
そして、どんな方法で生まれた胎児の生存率は0%だった
けれど、研究者達は何とか、稀に妊娠する獣人の子供を成長させようと一つの方法を思い付いた
それは、生まれた瞬間から獣人と同じ様に育てること
全てを機械で操作して、酸素も体内の働きもコントロールして、胎児がしっかりとした形になるまで管理を続ける
研究者だからとか、獣人を商品として扱う、なんてボヤいてた颯も、その方法を賭けてくれた
大丈夫だと、信じてるから私は…私を生み出した研究者達に全てを任せた
「 これより、胎児摘出手術を行います。ルナ……我々に任せて下さい 」
「 ………ん 」
樹パパ達には電話で伝えた
帰るのが遅れることと、子供のこと
そしたら、私を拾ってきた時のようにすんなりと受け入れてくれて
″ 頑張れ ″って言ってくれた
研究施設にある客室に3日間ほど泊まってから、獣人専門の医者が5人集まってから行うことになった
私がすることは只一つ、全身麻酔を行ってから身を任せるだけ
最後まで颯は不安そうな表情を向けたけど、それでもやるだけやってみたかった
ライトの灯りがどこか眩しく見える中で、暗い闇の中へと落ちていくような感じがした
眠りに付いてる間、頭に過るのは此処に来て何度も見ていた、家族5人で遊ぶ夢
「 血管が複雑に絡んでるな…… 」
「 猫A型の輸血の準備を 」
「 はい!」
楽しくて暖かくて、皆が幸せに笑ってる夢はきっと私の理想だった……
「 手術は成功しました。
お子さんは……ご無事ですよ 」
颯の声が遠く響くように
聞こえた気がした
ぼんやりと見ていた夢は、未来なのだろうか
赤ちゃんを囲うように皆が居て、笑い合ってた
颯は未来だと微笑んだけれど、その表情はとても寂しそうだった
流石に永く一緒にいるから、何か隠してるのは分かるけど聞く暇がないまま
強い睡魔に誘われて眠りに落ちていた
次に起きた時には、今度は颯がベットの空いてるスペースに俯せになるように寝ていた
昔も、私が風邪で寝込んだ時に仕事を切り上げて帰ってきて、看病しててくれたよね
あの時の、ミルク粥が一番美味しかったと思う
「 ベットに上がって来れば良かったのに…… 」
狭いけど一緒に寝たら、辛そうな姿勢では無くなると思うけど
よっぽど眠気と闘った雰囲気があるために、起こすのも申し訳無く、自分に掛かっていた薄い毛布を手に取りそっと背中に掛けて、ベットから下りた
置かれているスリッパを履き、そっと部屋を抜け出して通路へと歩く
ちょっとだけ、獣人の子供達が気になったんだ
左右を見渡して、感でいる場所へと向かい
入口付近に立っていた女性の研究者の元に行く
「 入ってもいい? 」
「 えぇ、どうぞ 」
「 お邪魔します 」
ボタンを押し、ドアが開けば中へと入り
此方に興味を示さない獣人を見る
私もあんな風に自分達の事しか興味無かっただろうか?
たまに、研究者の方を見てた記憶はあるけど、比較的には彼等のように見てみぬフリで終わったと思う
「 ……ルナは、他の子より人間に興味があったよ 」
「 へ? 」
聞こえてきた声に、耳は動き視線を向ければ其処にはキャップ帽を被ってない、黒髪の男性が歩いて来ていた
何となく自然に、脚を向け近付けば腕に抱かれた時よりも少し老けて見えるし、身長も颯ぐらいあったんだなって改めて思う
「 私がいつもご飯を上げてたから、覚えてたんだね 」
「 あ…… 」
ポンッと頭に手を置かれれば、古い記憶が脳を過る
獣人の子供達には、其々に担当の研究者が付き添っていた
研究者の受け持ちは5人前後だけど、引き取られたりしてる場合があるから、いつも一緒にいるのは2、3人ほど
私の時には、もう一人男の子が傍にいたと思う
「 大きくなったね、ルナ。次はママになるんだ? 」
「 うん……なれるかな……。ママに…… 」
雛が、初めて見た人を親だと思うように
私にとって彼は紛れもない″親″と認識出来る人だ
だから、引き取られる時に多少痛い事をされても許せたんだ
彼がいつも、ご飯を持って来て食べさせてくれたから……
「 それはルナ次第だよ。ルナは子供が欲しい? 」
「 欲しいよ……。好きな人の赤ちゃんだから育てたい 」
「 そっか。じゃ、獣人が産むには色々リスクがあって大変でね。ルナには、良い方法を教えてあげる 」
「 ……それはなに? 」
颯に教えたら喜ぶだろうか、きっと喜んでくれるかも知れない
興味を表すように尻尾は左右に揺れる
頭に触れていた手は、頬から胸元へと下がり、そして腹へと触れた
「 現段階でこの子を取り出して、ルナみたいに育てたら、ルナも子供も長生きするかも知れない 」
「 長生き? 」
「 そう。だから、我々にこの子を任せてはくれないかい? 」
ぼやかしたように告げられた言葉
けれど、私のように育てればリスクの多い獣人の赤ちゃんが育つのなら、答えは既に決まっていた
「 任せる。子供も一緒に暮らしたいから…… 」
「 よし、なら決まり。出来るだけ早い方が良いから泊まる場所を用意するよ。君の飼い主と、その子の父親に伝えるといい 」
「 飼い主と父親……? 」
「 ん?其々にいるだろう?まさか、子供の父親を知らないとか…… 」
飼い主は恐らく颯の事だと思うけど、父親も颯なんだけど、それは二人ではなく一人だと思う
「 颯が、この子のパパだよ? 」
自らのお腹に触って告げれば、察した様に彼の口角は上がり、ふっと笑った
「 なるほど、だから必死だったわけか。お互いにナイショ事が出来たな……。分かった、じゃ颯さんに伝えてね?我々は準備に取り掛かる 」
「 えっ、あ、うん!宜しくお願いします 」
任せて、とばかりに手を振った彼はその場を離れて入り口から外へと出ていった
「 ナイショ事が出来た?まぁいいか 」
きっと私が寝てる間に話した事なんだろうなって思いながら、個室に戻る事にした
「 ん…どこに、行ってたんだ? 」
「 ちょっと子供達をね…。それと、私の親みたいな人と話して来た 」
「 話した……? 」
私が帰って来た事でやっと起きた颯は、眠気が残るように欠伸を漏らし、軽く目を擦るなり、一瞬身体が硬直した
言葉の中でどれかが気になるように、此方に向いた表情には動揺が混じる
何か変な事を言ったかな?と疑問になる
「 そう、赤ちゃんについて。ねぇ、颯……自然分娩が全てじゃないんだから、私は研究者達に任せたいと思う 」
ベッドに座り直して、目の前の丸椅子に座る颯の手を取り、見詰めて言えば彼の瞳孔は開き、眉間にシワが入る
「 ……聞いたんだな。自然分娩は不可能だと…… 」
「 うん、獣人は身体が弱いらしいから…私は子供の為に任せてみるよ 」
「 子供の為…?瑠菜は…自分の事は聞いてないのか? 」
「 ん?自分の事? 」
獣人は産むのにリスクがある事を教えられた
それは薄々気付いていた為に、受け入れるのは早かったけど、他に颯は聞いて、自分が聞いてなかった事があるのだろうかと疑問になれば、彼は首を振った
「 あ、いや…。聞いてないなら、それでもいい……。そうか、瑠菜がその方法を選ぶなら俺は付き添う 」
「 うん…… 」
何か曇った表情を見せたけど、彼は直ぐにお腹に触れ、そのままそっと服の上から僅かに分かる膨らみへと口付けを落とした
何となく髪に触れて撫でていれば、此方を向いて見上げる視線と重なる
「 どんな形で生まれて育っても、私達の子には変わりないよね? 」
「 嗚呼、変わらない。愛しい子との、子供だ 」
獣人の血が入ってるのなら、子供がどんな姿で産めれて、成長しても受け入れる気持ちは出来ている
私も耳や尻尾があって困ることは多々あったけど、それでも見た目を気にせず大切にしてくれる人と出会ったから…
きっと、この子もそんな相手を見つけれると思ったんだ
「 ふふっ、颯に拾われてよかったよ。好きじゃ足りないぐらい、大好きだよ 」
「 嗚呼、俺も大好きだよ 」
身体を起こした彼は頬に触れ、そのままそっと目蓋を閉じれば唇は重なった
柔らかく触れる程度の口付けから、身体を抱き締められ、頭を撫でられる
「 ……頑張ろうな 」
「 うん、頑張る 」
事例の少ない獣人の妊娠
出産した場合の母体の生存率は14%ほど
そして、どんな方法で生まれた胎児の生存率は0%だった
けれど、研究者達は何とか、稀に妊娠する獣人の子供を成長させようと一つの方法を思い付いた
それは、生まれた瞬間から獣人と同じ様に育てること
全てを機械で操作して、酸素も体内の働きもコントロールして、胎児がしっかりとした形になるまで管理を続ける
研究者だからとか、獣人を商品として扱う、なんてボヤいてた颯も、その方法を賭けてくれた
大丈夫だと、信じてるから私は…私を生み出した研究者達に全てを任せた
「 これより、胎児摘出手術を行います。ルナ……我々に任せて下さい 」
「 ………ん 」
樹パパ達には電話で伝えた
帰るのが遅れることと、子供のこと
そしたら、私を拾ってきた時のようにすんなりと受け入れてくれて
″ 頑張れ ″って言ってくれた
研究施設にある客室に3日間ほど泊まってから、獣人専門の医者が5人集まってから行うことになった
私がすることは只一つ、全身麻酔を行ってから身を任せるだけ
最後まで颯は不安そうな表情を向けたけど、それでもやるだけやってみたかった
ライトの灯りがどこか眩しく見える中で、暗い闇の中へと落ちていくような感じがした
眠りに付いてる間、頭に過るのは此処に来て何度も見ていた、家族5人で遊ぶ夢
「 血管が複雑に絡んでるな…… 」
「 猫A型の輸血の準備を 」
「 はい!」
楽しくて暖かくて、皆が幸せに笑ってる夢はきっと私の理想だった……
「 手術は成功しました。
お子さんは……ご無事ですよ 」
颯の声が遠く響くように
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