この世界に2人ぼっち

えだ

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第15話

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 一面の星空を見上げ、私は思わず声を漏らした。
光に透かした真っ黒な紙に、爪楊枝で沢山の穴を開けているみたい。世の中に光がないと、星空はここまで輝くんだね。

「きれー‥」

「見えすぎてどれが大三角形か分からないな」

 私は蒼くんの言葉に激しく同意した。

「天然プラネタリウムだねー‥」

「だなー‥」

「これを見せる為に、神様は他の人たちを消しちゃったのかもね」

「すげー見せたがりじゃん神様」

 そう思ってしまいたくもなる。記憶も何もなくて、他に誰もいなくて、きっと時を重ねる毎に不便にも不安にもなっていくんだろうけど、私の目に映る景色はこんなにも綺麗。

 星空の余韻に浸りながら私たちはテントの中に入った。マットレスの上に寝転び、タオルケットで体を覆う。
 圧倒的な星空に魅せられて、本当に人類が消えてしまったんだと変に自覚してしまった。もし蒼くんまでいなくなっちゃったら、私ひとりぼっちじゃん。それは本当に嫌だなー‥

 右手を蒼くんの方に投げ出して、蒼くんを探るようにぽんぽん叩いた。

「‥なんだよ」

 気怠そうな低い声。なぜか寂しくなってしまった私の心を、安堵させる声。

「手‥繋いでほしい」

「‥‥」

 蒼くんは何も言わずに私の手を取ってくれた。寂しくなったんだろ、と茶化されるのかとも思ったけど、私の気持ちを汲んでくれたみたいだ。
 蒼くんの左手は、温かく私の右手を包み込んでくれた。ひとりじゃないよ、と言ってくれているみたい。

 こんな世界になる前、私に恋人がいたのか分からない。蒼くんに恋人がいたのかも分からない。だけどこの世界に2人ぼっちって‥まるで神様に選ばれたみたいだよね。

 蒼くんと2人なら生きていけるでしょ?って神様も思ったのかもしれない。

「蒼くんで良かった‥」

「え?」

「2人ぼっちの相手」

「‥」

「蒼くん、ずっと一緒にいてね」

「‥」

「‥‥寝ちゃった?
私こんな世界でひとりぼっちになったら生きられないよ。
だから蒼くん、ずっと2人ぼっちでいよう」

 突然右手が自由になった。解放された右手は、蒼くんの熱を失っていく。蒼くんはどうやら起き上がったみたいだった。

「‥‥‥蒼くん?」

「‥‥パニックになったらあれだし、言わなかったけど」

「え‥?」

 何か大事な話らしいと感じ取った私は、蒼くん同様上半身を起こした。
 暗いテント内でも目が慣れてくると蒼くんの姿を捉えられる。細かい表情までは読み取れないけれど。

「‥‥この世界を作ったのはリカだよ」

「え‥?」

 この2人ぼっちの世界を‥?それってつまり‥

「私、神様だったの‥?」

「‥違う」

 違うのか‥。

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