母のギフトがすごいんです

えだ

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第1章

第8話 消えたドトル

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 ハピタ町はスピネル国という国の辺境にあった町だった。
あの日の数日後には王都から兵士たちが出向き、その被害の全容を調べることになった。

 俺たちは“戻れない”けど“進み方”も分からない。
とにかくハピタ町をこのままにしておくことはできないと、あの日以降俺たちは毎日穴を掘って遺体を埋めては泣いていた。

 すっかり無口になってしまったドトルには、秘密基地で留守番をしてもらっていた。焼かれたり踏み荒らされた遺体を埋める作業なんて、幼いドトルには一生もののトラウマになるだろう。もちろん、俺もジークもレグラも、一生この光景を忘れないと思う。

 これは、地獄だ。

「ーーー生存者は君たち3人か?」

 スピネル軍の兵士の質問に首を振る。

「いや、4人です。あの山にもうひとり‥」

「山にもいるのか。山にいるのも子どもか?」

「はい」

 俺たち3人では途方もなかった埋葬作業。
俺の魔法ならば異世界パワーも相まって、願うだけで何とかできるかもしれない。でもどれだけ便利な力を持っていたとしても、これだけは自分たちの手で行いたかった。
 でも日々遺体は傷んでいくし、裏山の果実のみで食い繋いでいけるわけでもない。元々精神的にやられていた俺たちにとって、兵士たちが訪れて埋葬に助力してくれたことは救いでしかなかった。

 兵士たちは30人程がハピタ町に残り、事後処理をしてくれるという。俺たちは保護対象の未成年ということで一部の兵士たちと共に王都に送られることになった。
 遺体はみんな埋め終わり、ちょうどどう“進むべきか”を考えなくてはいけないタイミングだった。

 プーレナイトは憎い。憎くて憎くて、仕方がない。
ハピタの人々を埋葬しながら、増大した憎しみは更に膨らんだ。

 復讐してやりたい。だけど、敵の規模が大きすぎる。プーレナイト軍の男ひとりを殺すのにあんなにも手間取った俺たちが、プーレナイト帝国と対峙できるはずもない。

 それに、プーレナイトに住んでいるすべての人たちが悪者ってわけでもない筈だ。‥じゃあ、俺たちの敵はどこだ?プーレナイト帝国の上層部?それともプーレナイト軍?

 ジークとレグラが今どう考えているかわからない。
ただ、少なくとも俺はずっとそんなことばかり考えていたんだ。

 仮に道筋が決まったとして、その道筋はきっと血ばかりが流れて、俺たちの心を更に抉っていくような道だろ?
 そんな修羅の道に5歳になったばかりのドトルを連れていけるはずもない。

 だから王都で保護されるという話を聞いて、俺は少し安堵した。ドトルや他のみんなの生活も安定するだろうし、何よりもやっと“大人”から示された地に足のついた道だったから。

 ジークもレグラも、現実的にはどう進んでいくのか決めきれていなかったと思う。ドトルのことを思えば尚更だった。

 だからみんなで納得して、ドトルのことを迎えにいった。

「ドトル、帰ったよ」

 返事がなかったけど、小屋の入り口代わりの布をめくって中を見た。

「‥‥」

 あれ?

「どうした?リージュ」

 振り返ってジークとレグラを見てから、なんとか声を出した。

「‥‥‥いない。ドトル、いない‥」

「「‥え?」」

 ドトルは姿を消していた。
兵士たちにも力を借りて探し続けたけど、ドトルを見つけることはできなかった。

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