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35話 人類滅亡
しおりを挟む部屋に戻ってくると、ゆうちゃんがトテトテと歩いてきて俺の体をくまなくチェックしてきた。
「何もされてないよね!」
「あぁ、何もされてないよ。というか男同士でそんな事したりするわけないから大丈夫だよ。」
まぁ、コナーは可愛いが、それは男の子としての可愛さだ。俺としてはもはやいけるレベルではあるのだが、ゆうちゃんという女神がいる限りは手を出すなんて事は無いだろう。
「んー、今はじぇんだーれすの時代何だから男の子だからと言って油断してたら駄目だよ!」
「え!?」
俺は驚いてコナーの方を振り返る。
出会いの感じもそうだったし、まさかコナーは俺の事が好きなのか!?
「いやいや、僕も晴輝君が言うとうり男が好きな訳じゃないよ。確かに強い人は好きだけど…………恋愛対象じゃないね。」
「そうか…………。」
うん。初めての彼女が出来たからか少し浮かれていたようだな。
それにしてももうちょっと可愛い反応してくれても良いじゃないか。
例えば、顔を真っ赤にしながら「そ、そんな事ないよ! 確かに晴輝君はかっこいいけど…………って、違うからね!」みたいな感じでツンデレな感じで返してくれれば嬉しかったんだがな…………。
「ま、まぁ、それは良いとして、晴輝君はこれからどうする予定なんだい? こちらとしては君がこちらに移ってくれれば嬉しいんだけど…………無理だよね。」
「あぁ。俺はまぁ…………箱の事もあるからな。元々はダンジョンに行く予定だったんだが、ゆうちゃんが居るからな。ダンジョンに行く時はかなりの時間そこにいることになるだろうから危険だし、ひもじい思いもさせちゃうかもしれないからやめることにした。まぁ、ちょっとずつ箱を開けていって自衛出来る程度には戦力をつけようかなって思っているよ。」
ダンジョンの奥に何があるかは気になるが、ゆうちゃんの方が大事だからな。
「そうか…………君のスキルを使えばダンジョンを…………。」
コナーは何かブツブツと呟きながら考え込んでしまった。
「あれ、まって? まさか悠ちゃんのスキルって晴輝君のスキルの上位互換じゃない?」
「え?」
コナーはいきなり話し出したかと思えば、そんなことを言い出した。
ゆうちゃんのスキルである《アイドル》は衣食住が無くとも変わらず生きていけて、万物を魅了するといった効果だ。
あれ、本当だ。俺のスキルである断食と不眠と魅力を兼ね備え、プラスアルファの効果もあるスキルだな。
え、チートすぎん?
「ま、という事でダンジョンには行けるね! よろしく頼んだよ!」
「いやいやいや、無理だよ? ダンジョンなんて危険な所にゆうちゃんを連れ出すなんで…………。」
「あー、その事なんだけど、多分君がダンジョンを攻略しないと人類滅ぶかも☆」
「は?」
コナーはきゅるんとした様子でそう言った。
その行動は置いておいて、人類が滅ぶ? 一体なんで。
「はぁ、ごめんね、突然の事で僕もテンションがおかしくなってるんだよ。」
そう言うとコナーはあははっと笑う。
いや、ちょっと怖いんですけど。
「まぁ、そっちが戸惑うのも仕方ないよね。これは僕の能力なんだけどね。前に僕には鬼眼っていうスキルがあるって言ったじゃん? それの能力で未来視ってのがあるんだ。この能力の効果は僕の死に際を見るって物。って言っても制御できてる訳じゃなくてよくわかんない時にけっこうくるんだよね。それが今来た。」
コナーのスキルチート過ぎってのは置いておこう。
「その内容が、君達の家の前で君達に助けを求めるんだけど、君達の家が跡形もなく消えていて、そしてそこに多種多様なモンスターが襲って来て僕を殺すって内容だ。
そして、僕が予想するに、それはこの前起こったモンスターの大量出現が原因だと思うんだ。そしてその原因がダンジョンにあるんだ。だから君達にはダンジョンの秘密を解き明かして欲しいんだよ。多分あの迷宮を抜ける事ができるのは君達だけだから…………。」
「そんな事が…………。」
コナーの言った通りだとすれば、俺たちの暮らしはそう長くは続かない物らしい。
「良いよ! やっちゃおうよ! ダンジョンってお姉ちゃんを殺したあの化け物たちの巣なんでしょ? そんなの壊しちゃえばいいのよ!」
わぉ、中々にクレイジーな発想だ。
「ゆうちゃん。俺はゆうちゃんと一生一緒に暮らしたい。だから俺のわがままに付き合ってくれるか?」
「良いよ!」
「よし、決定だね! 防衛者組合としてはバックアップは出来るだけするから。頑張って!」
そうして俺達がダンジョンに行くことが決まった。
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