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64話 ゴブリンのダンジョン
しおりを挟むゴブリンのダンジョン着いた俺達は特に躊躇いも無くダンジョンに入っていった。
あの謎の女の人の事もあり、少しは躊躇した方が良いかも知れないが、そんな事している暇も無いのでさっさと入った。
俺と陽夏はだいぶサクサクと進んで行った。
この前陽夏と来た時に俺は完全にビビっていたが、今は大分成長出来た。
「もうそろそろ休憩しない?」
何時間かゴブリンを倒しつつ走っていると、陽夏が音を上げた。
俺は特に疲れていなかったので、少し意外だった。
「はぁ、はぁ、ちょっと、晴輝は疲れてないの?」
「あぁ、別に疲れてないぞ?」
「はぁっ!? 化け物ね………。」
おい、言い方酷いな。
まぁ、確かに何時間もまぁまぁな速度で走り続けるとか大分化け物だよな。
しかも途中には階段もあったし、普通に走るよりも体力を使う。
…………確かに化け物だな。
まぁ、俺は陽夏よりも体力系のスキルのレベルが高いだろうし、しょうがないだろう。
とりあえず休もうと周りを見回すと、階段があったので、とりあえずそれだけ登ろうということになった。
「あれ、ここは…………。」
周りを見てみると、だだっ広い空間が広がっていた。
ここは確かあの女の人が居た…………ゆうちゃんと来た場所だ。
「こんな所始めてきたわ…………。周りにゴブリンもいないし…………。」
あれ、おかしいな。前回来た時は夥しい数のゴブリンが居たんだけどな…………。
どうやらこの前全部倒した時から増えていないようだ。
「この前来た時にはここにあの火の玉を打ってくる女の人が居たんだ。」
「そうだったのね…………今出てたらと思うとゾッとするわね。」
確かに今陽夏は満身創痍だし、俺一人ではあの女の人には勝てなかっただろう。
やはりここは危険だな。
「なぁ、休み終わったら歩いて進んでいかないか? 今みたいな状態であの女の人みたいな奴に出会いでもしたら死ぬと思う。」
「確かにね…………。ごめんなさい、私が体力無いばっかりに…………。」
「いや、別にそれはいいんだ。俺は体力とかはあるけど、攻撃力はないんだ。そこは助け合っていこう。」
「う、うん。」
疲れているからか、陽夏は暗い雰囲気を醸し出している。
別に気にする事じゃ無いのにな。
「本当に気にしなくてもいいんだぞ? なんなら俺がおんぶしていこうか?」
「な、何言ってるの!? バカじゃないの!?」
うぅ、俺がキモイからとはいえそんなに言わなくてもいいじゃないか。
まぁ、やっぱり陽夏みれば俺はおっさんなのだろう。
しかも幼女と付き合っているロリコンだ。
その魔の手が自分に向く事も考えてしまうだろう。
まぁ、ゆうちゃんも居るから俺がそんなことするはずないのだが、怖いのは仕方がないだろう。
それに陽夏に何かしようにも前みたいに首切られて終わりだろう。
確かにそんな人からこんな事言われたら怖いだろうし、次からはあまり軽率な発言は控えよう。
「まぁ、本当に気にしなくてもいいよ。俺にはお前が必要なんだ。その程度で怒ったりしないよ。」
「…………今のもう1回言って?」
「ん? その程度で怒ったりしないよ。」
「もう一個前!」
「あぁ、俺にはお前が必要なんだ。」
「そっか…………わかったわ。」
「ん? なんだったんだ今の?」
「聞き取れなかっただけよ。気にしないで。」
「お、おう?」
なんだか分からないが、少なくとも陽夏は明るい表情をしていた。
というかどちらかと言えば機嫌が良さそうな…………いや、凄く嬉しそうな表情をしている。
最近の若い子ってこういう感じなのか?
まぁ、俺は引きこもりだったし同年代の感じも分からないんだけどな。
「じゃ、また行きましょ!」
「あぁ、ここからは歩きでな。」
陽夏も休めたみたいだし、俺達はまた進み出した。
階段を登ると陽夏が不思議そうな表情をした。
「どうかしたか?」
「いや…………なんか魔力が強くなった気がして…………。」
「魔力?」
俺には魔力の強弱が分からないのでそこら辺は陽夏に頼るしかない。
「そこまで一気に強くなったわけじゃ無いんだけど…………確実に強くなってるわ。」
「そうなのか…………じゃあ気をつけて進んで行った方が良いかもな。」
そう思い俺達が進んでいると、早速ゴブリンが現れた。
しかし、いつもと少し様子が違う。
「…………盾を持ってるな。」
今までのゴブリンとの違いはそこだ。
立ち振る舞いなどは殆ど変わりは無いのだが、今までのゴブリンは盾を持っていることなどなかったため、少し慎重に行動しなければいけないな…………。
「一旦観察してみるか?」
「そうね…………。」
俺達はゴブリンをじっとる見る。
やはり本体は今までのゴブリンとそこまで違いは無いようだ。
大丈夫と判断して攻撃を仕掛けようとした時、後ろで足音がした。
そこにはさっき見ていたゴブリンとは別のゴブリンが居た。
俺は咄嗟のことで動き出しが遅れてしまい、俺の頭にゴブリンのナタが迫る。
「伏せて!」
陽夏の声が聞こえる。
俺は指示に従い、腰を落とす。
ザシュッ
目の前でゴブリンの首が落ちた。
「大丈夫?」
陽夏は俺に手を差し伸べた。
…………か、かっけぇ。
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