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197話 終焉2
しおりを挟む俺は疲れ果ててしまいそこに倒れ込む。
しかし、顔には笑みが浮かんでいた。
「ははははは! これで俺が最強だ!」
もうこの世界に現人神は居ない。
この世界で1番強かったのは現人神だったが、もうそいつらはこの世界には居ない。
異世界とやらに逃げたらしいが、わざわざ殺されに戻ってくることもないだろう。
つまり俺はもうこの世界で好きにできる。
「…………。」
とりあえずこの世界の住人は全員殺そう。
どこかの人だけ殺されるというのは不公平だ。
とりあえずこの国の人達を殺そう。
その後に少し魔力を補充して、魔法の練習とかをして、この世界を壊そう。
そうすれば、少なくとも不平等ということは無い。
そして最後は誰も居ない世界で俺だけになって、せめて、辛い思いをしよう。
それが俺に唯一できる贖罪だ。
俺は遠くから俺の事をチラチラ見てくる野次馬たちに近づいていく。
野次馬は俺が近付いた瞬間に蜘蛛の子を散らすようにどこかへと走っていった。
はは、そんなことをしたって意味無いのにな。
ここの建物はどうやら殆どが植物で出来ているようだ。
それもあの3人の現人神によって作られたものの用で非常に丈夫かつ機能性にも優れた素晴らしいものだった。
これは俺にとっても嬉しいことだ。
なぜなら、これを使えば俺も魔力の補充が出来るからだ。
…………そうか、あの現人神達が体外魔力をあまり持っていなかったのはこれが原因か。
民のために尽くしていたのか、なんだかんだ言ってあいつらは根は優しいんだろうな。
今では姉妹喧嘩もしてなかったみたいだし、それに何より1人が殺された時に明らかに雰囲気が変わって全てを投げ打ってでも攻撃してきた。
…………俺も、同じなんだろうな。
教会のみんなを助けるために自分の命は捨て、現人神達に立ち向かった。
だけど、それは失敗してしまい、罪だけが俺に残っている。
まぁ、自分がやった事だ、最後まで責任を持とう。
現人神は悪政を敷いたり、色々と悪い事はしていたが、それでもその圧倒的カリスマと力で大勢の民衆を束ねあげていた。
そんな人達がいきなり居なくなったんだ。
しかも、殆どの国は壊滅状態。
どこかに移住しようにも俺の魔核融合魔法の影響で出来た空に浮かぶあの灰色の雲から舞い降りる塵は吸っただけで健康被害を引き起こす程の毒性がある。
もう、この世界には希望は残されていないんだ。
俺にとっても、人類にとってもだ。
ならばせめて、楽にしてやりたい。
俺は散ってしまった人々を追いかけ、魔力を吸収して殺していく。
できるだけ恐怖は感じないように見つかってからは一瞬で安楽死させるようにしている。
みんな幸せな夢を見て死んでいってるはずだ。
この国の人々は皆ある程度のいい暮らしをしていた。
俺がいなければきっとこの国が他の国を打ち負かして世界はより良い方向に向かっていったんだろうな。
だが、もう全てが手遅れだ。
俺にはもうなんの夢も希望も見出せない。
だから俺は魔力を吸収し続けた。
この国を吸収し尽くしたあとは所々に居る旅人や変人など、国に属さずに過ごしている人々を探してその魔力を吸収して殺していく。
中には現人神に届く程の魔力を持っている者もいて、そういった人からも大量の魔力が手に入ったことにより、俺の準備は思ったよりも早く終わった。
あとは、魔法の知識を蓄えればいいだけだ。
俺は残った家屋などから本を頂いてそれで勉強をする。
今の俺の頭ならそれなりに理解する事は出来た。
これなら最強の魔法は使う事はさすがに出来ないが、ある程度上位な魔法を使う事が出来る。
今の俺にはそれだけで十分だ。
俺は世界各地の魔力を完全に吸い付くし、ほぼ世界中の魔力を手に入れた。
魔力は科学では証明できない。
なぜなら魔力には質量が無いからだ。
それでも魔力は他のものと同じように濃いところから薄い所へと動いていく。
そのため俺が大胆に魔力を吸いまくったため、今この世界では魔力風と言われる災害が世界各地で起こっている。
魔力風は俺が使う魔核融合魔法と同じような属性を持っている。
そのため、もう世界はボロボロで、生きている人間も居るか居ないのか分からない状態だ。
それでも、一応俺はケジメをつけるために、事を起こす。
俺は結界魔法を使ってそこらの城よりも大きな玉を作る。
そして、その中で上位魔法を飛ばす。
よし、これで準備は出来た。
これ程の魔法の制御には俺の脳が擦り切れるほどの負担がかかる。
それを治すためのキャパすらも使っているため、脳は常に限界を訴えている。
それに、今回の魔法は自分が喰らわないようにというキャパすらも使っているため、これが発動されれば、俺も普通に死ぬ筈だ。
いわば、これは全世界を巻き込んだ俺の自殺って訳だ。
みんなには申し訳ないが、みんなもこれ以上生きていても意味が無いだろう?
俺は目を瞑り、それを発動した。
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