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6話 枯れた温泉
しおりを挟む「よぉーし、それじゃあ、出発進行ー!」
「「「おー!!」」」
アニの掛け声と共に僕はルカに抱えられながら腕を上へと突き出した。
今はまだ体を動かせない僕をルカが運んでくれている。
目指すは遥か彼方(場所は分からないけど)にある病気を治せるという温泉だ。
全部の温泉を巡るなんていつまでかかるやらと思っていたけれど、どうやらその温泉は僕達が今居る大きな島の中の何処かにあるらしい。
それでも無茶なことには変わりないけどね。
島の大きさは結構大きいらしいし、地図を見ても数え切れないほどの温泉があるらしいんだけど、みんなこの位なら大丈夫と言っていたしお言葉に甘えることにした。
僕らはこの大きな島の大体中心辺りに居るらしく、アニが言うには件の温泉は島の南の方にあるんじゃないかとの事だ。
どうしてかと聞くと、
「んー、勘!」
と、言っていたから信じられるかは分からないけれど、何処にあるかなんて誰にも分からないので、とりあえずそっちの方向に進みながら道中の温泉に行く事にした。
「…………それにしても、温泉全然無いね。」
僕は僕を抱えてくれているルカに話しかけた。
出発してからかなりの時間が経ったと思う。
「そうだね、だいたいここにあると思うって場所に目星はつけて歩いてるからすぐ見つかるはずなんだけど…………。」
ルカは不思議そうにそう言った。
今歩いているところはさっきから歩いている所は先程とは違ってはジメジメしているし、気温も上がってきたように感じる。
僕は歩いている訳じゃないんだけど少し体が汗で気持ち悪くなってきたから早く温泉に入ってさっぱりしたい。
「あれ、もしかしてあれって温泉!?」
少し遠くでアニの声が聞こえた。
特に変わった様子は感じられなかったけど、どうやら僕達は温泉に着いたみたいだ。
あまり動くとルカが大変なので、心の中でガッツポーズをとった。
やや経ってルカがアニの方へ向かう途中で急に立ち止まった。
「えっと、メグ、残念なお知らせがあるんだけど…………。」
「ん、なに?」
ルカのその悲しそうな声音に僕は少し不安になった。
「この温泉……枯れちゃってるみたい…………。」
「……ええっ!?」
「そっか、そりゃ見つからない訳だよね。温泉宿も崩れちゃってるみたいだし…………。」
僕はルカの言葉に落胆した。
というか、温泉が枯れるなんて事もあるのか…………。
やっぱり目当ての温泉を探すのなんかますます無茶だと考えてしまう。
「んー、ちょっと待っててね。」
ルカはそういうと僕をそっと何処かに降ろした。
今は多分まだ周りを見ようとしたらまた倒れてしまうだろうから黙ってルカの帰りを待つしかない。
「ごめんごめん、おまたせ!」
ルカは先程よりも明るい声で帰ってきた。
「ちょっとだけ残ってた水を調べてみたんだけど、今回の温泉は病気を治せる温泉じゃ無かったみたい、良かったね!」
「いやいや、良くないよ…………。」
不幸中の幸いではあったけれども、一刻も早く温泉に入りたかった僕からしたら不幸に変わりない。
僕のその様子にみんなは不思議そうな反応を返していた。
「目的の温泉じゃ無かったんだし、いいんじゃないかなー?」
「うん、あたしもそう思うんだけど……なんでそんなにメグは悲しんでるんだ?」
「ええっと、みんな結構歩いてきたし、汗とかもかいただろうから早く温泉に入ってさっぱりしたいって思わない?」
「「「???」」」
えぇ、なんでみんな分かってくれないの?
みんなは僕より動いてるはずだし、僕よりも汗とかかいてるはずなんだけどなぁ…………。
うん、きっとみんなはとんでもなく体力がある子達何だろうな…………。
僕が感覚の共有ができずにしょぼんとしていると、すかさずルカがフォローを入れてくれた。
「あっ、けど、温泉に入るのは気持ちいいよね!」
「うん、僕も温泉に入るのは好きだよー、何だかポワポワして気持ちいいんだよねー。」
「あたしも好きだけど、そんなに入りたい程じゃないかな。メグは温泉が好きなんだな!」
「うーん、そうなのかなぁ?」
確かに最初に目を覚ました時に入っていた温泉は凄くリラックス出来て気持ちが良かった。
僕は記憶を無くしているからもしかしたら前までの僕は相当温泉が好きだったのかもしれない。
僕は少しの違和感を覚えつつも、そう納得した。
「…………うん、調べてみたらここは結構古い温泉宿だったみたい、おかみさんも居ないみたいだし、もっと新しい温泉宿だったら多分入れると思うよ!」
「そうなんだ…………。そのおかみさんって人がが居るところなら大丈夫なの?」
「うん……おかみさんは人じゃないんだけど、まぁ、そんなところだね。」
ルカのその曖昧な表現に少し疑問を覚えるが、僕は温泉に入れればそれで十分なので、深くは聞かないことにした。
「じゃあ、メグも早く温泉に入りたいみたいだし、次の場所に、出発進行ー!」
アニの掛け声と共に僕達はもう一度歩き始めた。
身体中に少しの不快感はあったけど、みんなのその明るさで何とかなるような気がした。
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