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第十一章 新たな真実と反撃の決意

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 翌日の夜、アルベール様が帰宅される時間を狙って、私はミレー邸を訪れた。なるべく目立たないなりをして、馬車もサリアン家のものではなく、辻馬車を利用する。

 迎えてくれた執事に尋ねると、ミレー公爵とエミールは、まだティリナからお戻りでないとのことだった。夫人に軽くご挨拶して、私はアルベール様のお部屋に案内していただいた。

 アルベール様は、機嫌良く私を出迎えられた。

「良いタイミングで来られた。今夜、エミール一人が帰宅する予定でしてね。ピエールの記録を、お見せできます」
「ありがとうございます。では、その前に私の話をさせていただいてよろしいかしら? 私、記憶が戻ったのです。犯人が、わかりましたわ」

 ドニ殿下だ、と告げると、さすがのアルベール様も息を呑まれた。

「一体、なぜ……」
「それは、私もわかりません。でも、冷静に振り返れば、思い当たる節はありますわ」

 私は、昨日から今日にかけて考えていたことを、アルベール様に語った。

 ドニ殿下もまた、パーティー会場を長らく離れられていたこと。

 私の手袋とショールが埋まったトピアリーを見たいと言い出されたのは、ドニ殿下であること。マルク殿下は、チェスがお好きだ。チェス型のトピアリーに必ずご興味を持たれるだろうと予測して、その下に埋めたに違いない。アンバーに、命じて。ガストンが目撃した中庭の女の影は、アンバーだ。

 モンタギュー侯爵と一緒に私の取り調べに来られたのも、情報を得るために違いない。真犯人である以上、捜査状況が気にかかって仕方なかったのだろう。私とアルベール様に、互いのどこが好きかと尋ねられたのも、きっと私たちの仲を疑っておられたからだ。そして、あわよくばアリバイを崩そうという魂胆に違いない。

 そしてその時、ドニ殿下は、アンバーが辞めた理由にこだわっておられた。恋人なのだから、当然私がクビにした事実も知っていたことだろう。あえて尋ねたのは、モンタギュー侯爵の前で、私が頭に血が上りやすい性格、と印象づけたかったに違いない……。

「アンバーの恋人は、殿下だったのですわ」

 私は、力強くアルベール様に訴えた。

「私、わざと殿下をコレットに会わせました。コレットは、彼の香水が、アンバーの遺留品のハンケチに付着していた香りと同じだと断言しました」
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