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1章
6話,カネラの作戦
しおりを挟むえー、僕は、カネラ・ユーラネシア。6歳です。溺愛というか過保護というか、よくわからない家族に囲まれてます。兄上や姉上、母上は、この上なくめんどくさいです。父上は・・・・ちょっと言いにくいですね。
朝。毎度お決まりの時間に召使いが起こしに来る。
「カネラ様、おはよう御座います」
彼はルードヴィッヒ。僕の専属召使いである。少しおちゃらけた部分もあるけど、いざというときは頼りになる、自慢なんだ。
「んー・・・。ああ、おはよう、ルードヴィッヒ。」
僕はにこりと笑って返す。いつも僕のために働いている彼には、いつもいつも感謝しかない。
ところが。
「ねえ、ルードヴィッヒ。」
「はい」
「朝のお散歩に行きたいんだけど・・・」
僕がそう言うと、ルードヴィッヒは顔を真っ青にして
「それはいけませんカネラ様! もしも途中でさらわれでもしたら、奥様が悲しみます!!」
と、必死に止めてくる。 きっと母上がきつく命令しているのだろう。「もし外に出したら・・・どうなるか分かるわよね?」なーんて脅してるんだろうな、可哀想に。
「うん・・・。分かった。それじゃあ、朝食にしようかな」
「かしこまりました」
寝間着から正装に着替えて、下に降りる。彼のあとに僕がついていくという形で。
(ルードヴィッヒも大変だな。てゆーか、どれだけ過保護なんだよ、母上は)
散歩に出るだけでさらわれるって・・・・・・・。貴族なら、庭広いですよね? さらわれる前に衛兵に捕まるって話。
心底呆れながらあとをついていった。
「おはようございます、母上」
「カネラちゃん、おはよう!」
すでに母上は起きて、椅子に座っていた。
「今日も母上は美しいですね」
「あら、他人行儀はやめてくれないかしら?」
そう言いながらオホホホと笑う。
「今日は天気がいいですね、母上」
「ええそうね」
「散歩に行きたくなるような気分ですね」
「お外に出ちゃだめよ」
うっ。失敗か・・・。いや、別に息苦しくはないよ? みんな良くしてくれるから、外に一生でなくていいぐらい。で・も。僕は自由が大事なので、早く外に出たいんですよ、はい。
「なんでお外に出ちゃいけないのですか? 僕だってもう外に行きたいです!」
「カネラ、どうしたんだい?」
そこへ兄上が入ってきた。
「兄上! 僕だってもうお外に行きたいんです! 兄上のおそばにいたいのに・・・だめ、ですか・・・?」
秘技・うるうる攻撃! 僕に甘い兄上なら、きっと外に出してくれるはず!
「ッ・・・! ごめんよ、カネラ。お母様の言うことを守ろうね」
チッ。影で小さく舌打ちを一つ。
「!・・・・。もういいです。お外に出してくれるまで、僕はお母様たちとお話しません!」
フン!と、そっぽを向いて、出された朝食を無言で食べる。
「か、カネラちゃーん!」
「カネラ、どうか許しておくれー!」
甘いな、僕の家族は。
「あら、どうかなさったのですか?」
そこへ姉上も登場! 更に畳み掛ける。
「姉上~! 僕、おにいさまにいじわるされたの~・・・グスッ」
目をうるうるさせて姉上に駆け寄る。
「まあ、あたくしの可愛いカネラになんてことするのですか! あたくし、完全に怒りましたわ!」
そういいはなつと、いつの間にか手に一冊の本が収まっていた。姉上は空間魔法が使える。このくらいは当たり前だ。
「そ、それは・・・・!」
一方兄上は顔を真っ青にしている。どれどれとこっそり中身を見てみると・・・。中には僕の肖像画がこれでもかってくらいに書かれている。僕が寝てる顔や、本を読んでる顔まで・・!
「お兄様が大切にしているこの本、あたくしがもらいますわね」
「や、やめてくれっ・・・! それは僕の宝物で――――――!」
もう動きががたがたになっている兄上。そしてトドメを入れる。
「お兄様・・・嫌い」
ガーン! あ○たの○ョーみたいに燃え尽きて、部屋の隅に行くと、真っ黒いどんよりとした雰囲気を醸し出す。
「嫌い・・・カネラが・・かわいい、弟が・・・・嫌い・・・」
こりゃやりすぎたかな・・・? あとで慰めてげようっと。
僕は一人で部屋に戻る。
「あーあ。せっかく自由になれたと思ったのに・・・。」
大きなため息をつく。
「こんなの・・・つまんねえ・・・」
結構期待して損した気分だ。お気に入りの本で気を紛らわそうとした、その時だった。
《カネラー! 俺の可愛いカネラーーー! ドライおじちゃんだよ!》
結構イケメンな青年が、僕の部屋に突然現れた。背中に、“羽根”をはやしたイケメンが。
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