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第一章
⑥拉致
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バルガンスが仕事をしていると、人間の形をした黒い塊が、バルガンスの側にやってきた。
使い魔のクロちゃんである。
この黒い塊は人間には見えない。
黒い塊はバルガンスの耳元で話し始めた。
「バルガンス様、ヒナシス様が拉致されました」
バルガンスの表情が一変した。
「相手は誰だ?」
「ヒナシス様の中等部の時の先輩でクレバという男です。バルガンス様も一度お会いしていると思います」
「ヒナは無事か?」
「はい、今私の分身が、ひっそりとヒナシス様の影に潜んでおります」
「そうか」
バルガンスは立ち上がると上司のデスクへ向かった。
「ん?どうした真っ青な顔して?」
「すみませんニコラス主任、少し具合が悪くて、今日は早退させていただきたいのですが……」
「ふーん、それは仕方がないな。早退していいよ。明日になっても体がおかしかったら病院に行きなさいよ」
「はい。それでは失礼します」
バルガンスが席へ戻ろうと踵を返すとクロちゃんがじっとニコラスを見ていた。
バルガンスは急いで図書館を飛び出した。
その頃……
ヒナシスは今、連れ込み宿のベッドの上に寝かされていた。
薬の染み込んだタオルを口に当てて、買い物帰りのヒナシスをクレバは馬車に乗せたのだ。
クレバはベッドに寝かされているヒナシスを見下ろして呟く。
「さてと復讐と行きますか、ヒナシスちゃん」
クレバが服を脱ごうとした時、クレバの体を黒い霧のようなものがまとわりついてきた。
「う、うわあ!なんだこれは!」
クレバは足をバタつかせ黒い霧のような塊を振りほどこうとしたが駄目だった。
やがてクレバはその黒い塊に包み込まれてしまった。
「バルガンス様、今、クレバを捕獲しました」
「そうか。クレバはどこにいたんだ?」
「城下の外れの連れ込み宿です」
「ふーん」
バルガンスの顔が怒りの表情に変わっていく。
「クロ!僕をヒナのところへ連れて行け」
「はっ!」
ヒナシスが眠るベッドの側の床にぽっかりと真っ黒い異空間の輪が現れた。
そこから頭がぬーっと浮かび上がってきた。バルガンスである。
そのバルガンスはヒナシスを優しく抱きかかえると、床に開いた異空間へと戻って行った。
ヒナシスは目覚めると自分の部屋にいた。
「あ……あれ?私……」
「あ、ヒナ、目が覚めた?」
ぼーっとした顔でバルガンスを見つめるヒナ。
「僕が帰ったらヒナが床で横になっていたから、べッドに寝かせたんだけど。起こした方が良かった?」
「それはね、今度からは起こしてね?」
「分かった。次はそうするよ」
「お願いね」
「うん」
「でも私、買い物の途中だったんだけど……」
バルガンスがキッチンのテーブルを指さして、
「ほら、あそこに買ってきたものが置いてあるよ?」
「本当だ。私疲れてるのかな?」
「老化現象じゃないの?」
「バル!ひっどーい!」
「冗談だよヒナ」
「分かってるわよ。本気だったら離婚だからね」
「ごめん、離婚は勘弁してよ」
真剣な表情でしょんぼりするバルガンスを見たヒナは
「冗談に決まってるでしょ?バルガンスのおバカさん」
表情が急に明るくなるバルガンス。
「本当?」
「当たり前でしょ。さ、ご飯食べよ」
「うん」
夜、ヒナシスがぐっすりと眠っているのを確かめると、バルガンスはそっとベッドを抜け出して部屋を出た。
「クレバ、今からお仕置きの時間だ。覚悟しておけ」
すると、床に黒い異空間が現れて声がした。
「バルガンス様、お迎えに上がりました」
「ありがとう、クロちゃん」
バルガンスは異空間へ足を踏み入れ姿を消すとともに、異空間もなくなった。
使い魔のクロちゃんである。
この黒い塊は人間には見えない。
黒い塊はバルガンスの耳元で話し始めた。
「バルガンス様、ヒナシス様が拉致されました」
バルガンスの表情が一変した。
「相手は誰だ?」
「ヒナシス様の中等部の時の先輩でクレバという男です。バルガンス様も一度お会いしていると思います」
「ヒナは無事か?」
「はい、今私の分身が、ひっそりとヒナシス様の影に潜んでおります」
「そうか」
バルガンスは立ち上がると上司のデスクへ向かった。
「ん?どうした真っ青な顔して?」
「すみませんニコラス主任、少し具合が悪くて、今日は早退させていただきたいのですが……」
「ふーん、それは仕方がないな。早退していいよ。明日になっても体がおかしかったら病院に行きなさいよ」
「はい。それでは失礼します」
バルガンスが席へ戻ろうと踵を返すとクロちゃんがじっとニコラスを見ていた。
バルガンスは急いで図書館を飛び出した。
その頃……
ヒナシスは今、連れ込み宿のベッドの上に寝かされていた。
薬の染み込んだタオルを口に当てて、買い物帰りのヒナシスをクレバは馬車に乗せたのだ。
クレバはベッドに寝かされているヒナシスを見下ろして呟く。
「さてと復讐と行きますか、ヒナシスちゃん」
クレバが服を脱ごうとした時、クレバの体を黒い霧のようなものがまとわりついてきた。
「う、うわあ!なんだこれは!」
クレバは足をバタつかせ黒い霧のような塊を振りほどこうとしたが駄目だった。
やがてクレバはその黒い塊に包み込まれてしまった。
「バルガンス様、今、クレバを捕獲しました」
「そうか。クレバはどこにいたんだ?」
「城下の外れの連れ込み宿です」
「ふーん」
バルガンスの顔が怒りの表情に変わっていく。
「クロ!僕をヒナのところへ連れて行け」
「はっ!」
ヒナシスが眠るベッドの側の床にぽっかりと真っ黒い異空間の輪が現れた。
そこから頭がぬーっと浮かび上がってきた。バルガンスである。
そのバルガンスはヒナシスを優しく抱きかかえると、床に開いた異空間へと戻って行った。
ヒナシスは目覚めると自分の部屋にいた。
「あ……あれ?私……」
「あ、ヒナ、目が覚めた?」
ぼーっとした顔でバルガンスを見つめるヒナ。
「僕が帰ったらヒナが床で横になっていたから、べッドに寝かせたんだけど。起こした方が良かった?」
「それはね、今度からは起こしてね?」
「分かった。次はそうするよ」
「お願いね」
「うん」
「でも私、買い物の途中だったんだけど……」
バルガンスがキッチンのテーブルを指さして、
「ほら、あそこに買ってきたものが置いてあるよ?」
「本当だ。私疲れてるのかな?」
「老化現象じゃないの?」
「バル!ひっどーい!」
「冗談だよヒナ」
「分かってるわよ。本気だったら離婚だからね」
「ごめん、離婚は勘弁してよ」
真剣な表情でしょんぼりするバルガンスを見たヒナは
「冗談に決まってるでしょ?バルガンスのおバカさん」
表情が急に明るくなるバルガンス。
「本当?」
「当たり前でしょ。さ、ご飯食べよ」
「うん」
夜、ヒナシスがぐっすりと眠っているのを確かめると、バルガンスはそっとベッドを抜け出して部屋を出た。
「クレバ、今からお仕置きの時間だ。覚悟しておけ」
すると、床に黒い異空間が現れて声がした。
「バルガンス様、お迎えに上がりました」
「ありがとう、クロちゃん」
バルガンスは異空間へ足を踏み入れ姿を消すとともに、異空間もなくなった。
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