《完結》王太子妃、毒薬飲まされ人生変わりました。

ぜらちん黒糖

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第三章

⑳エマ、ゼオドアを疑う

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 エマは、ゼオドア様と結婚が出来て幸せだと思っている。

 ゼオドア様は2歳年下だが、とっても頼りがいがある男性だ。

 そして時々、年下らしさを見せるゼオドア様は、とても可愛く見えてしまう。

 私は運がいい。

 貴族に生まれれば、恋愛結婚など夢のまた夢である。

 けれど私は今、ゼオドア様のことが愛おしく思える。

 ゼオドア様を見ているだけで、胸がドキドキしてしまう。

 私は恋などしたことはなかったけれど、でもこれが恋だとわかる。

 私はゼオドア様に恋をしている。

 だけどこの頃、ゼオドア様の行動がなんとなく怪しいと感じている。

 ここ暫くはゼオドア様との交わりもない。

 ゼオドア様と肌を合わせているだけで落ち着くのに、それもない時がある。

 疲れているのか、別々のベッドで寝ることもある。

 もしもゼオドア様に私以外の女がいたら、私はきっと頭が変になってしまうだろう。

「エマお姉様、それは浮気ですわ」

 遊びに来ていたエマの妹ルナが言った。

「やめてよ、冗談でもそんなこと言わないで、ルナ」

「冗談ではなく、本気で言っています」

 エマが少し目を潤ませ始めたのをみて、ルナが慌てる。

「ごめんなさい、冗談ですから」

 エマを抱きしめながら背中をポンポンと叩く。

 ルナは考えた。これはあれだと。

 女が男に体を許してしまうと、女は男なしでは生きていけない生き物になってしまうのだと。

「エマお姉様」

「なに?」

「私がゼオドア様の秘密をあばいて差し上げますわ」

「ルナ、ゼオドア様に秘密など
 ありえないわ」

「矛盾していますわよ、エマお姉様」

「え?」

「ゼオドア様に疑惑を持っていないのなら、なぜエマお姉様は、そんなに悩んでいるのですか?」

 そこへゼオドアが外出から戻って来た。

「やあルナ、いらっしゃい」

 ゼオドアは軽くルナに挨拶をすると、すぐにエマのところへ行って

「ただいま」

「ゼオドア様、お帰りなさいませ。あの・・・」

「なんだい?エマ」

「いえ、何でもありません」

「そう?それならいいけど」

 モジモジしている姉のエマを見かねて、ルナがゼオドアに質問をした。

「ゼオドア様、お話があります」

「なんですか?ルナ」

「ゼオドア様は浮気をされているんですか?」

「え?」

「う、わ、き、してるんですか?って聞いているのです」

 ゼオドアはエマを見る。

 エマは気まずそうに目を伏せて、モジモジしている。

「エマ、私が外に女を作ったのではと思ったのか?」

 エマは少し泣き出しそうな顔で言った。

「はい。ゼオドア様のことは信じておりましたが、拭い切れない不安がちょっぴりですけど・・・ありました」

 ゼオドアがエマを強く抱きしめる。

「エマ、心配するな。私にはお前しかいない」

「ゼオドア様」

 ラブラブの二人に水を差すルナ。

「口ではなんとでも言えますわ。無実なら証明をして下さい」

「うーん、証明か・・・」

「出来ませんの?」

 目を瞑って暫く考えていたゼオドアは諦めたように

「わかった。あと、もう少しだったのだが・・・」

「今から証明してあげよう。ついて来なさい」

 エマとルナは顔を見合わせて、ゼオドアのあとをついていく。

「これから見せるものは、まだお祖父様には内緒だぞ」

 そう言って連れて来られた場所は裏庭だった。

 そこには焼却炉と井戸しかなかった。

「ゼオドア様?ここに何があるんですの?」ルナが尋ねた。

 その時、井戸からマラオが顔を出す。

「あ、ゼオドア様」

 マラオはエマとルナをチラリと見てゼオドアに尋ねる。

「よろしいのですか?ゼオドア様」

「ああ、もういいんだ。今から、エマとルナを連れて行く」

 エマとルナが井戸の中を覗くと、
 井戸は空井戸になっていた。

 底に着くと横穴が開いていて、とても深い横穴が掘ってあった。

 マラオが松明たいまつに火をつけ先頭に立って歩く。かなり歩いたところで、その先の方に明かりが見えて、近づくと扉が一つあった。

 扉の前でゼオドアが振り向いて、エマとルナに声を掛ける。

「二人共、驚くなよ」

 マラオが扉をあ開ける。

 先に外に出たマラオが安全確認をしてゼオドアに声を掛けた。

「ゼオドア様、どうぞお入りになって下さい」

「うむ」ゼオドアは頷くとエマとルナに声を掛ける。

「さあ、いこう」

 外に出てみると、そこは昼間のように明るかった。

「ゼオドア様、これは一体・・・」エマが絶句する。

 目の前には小さな湖畔があって、湖の水はとても澄んでいた。

 魚が泳いでいる姿も良く見える。
 空は青く、白い雲がプカプカと浮かんでいる。そよ風は心地よく、まるで天国のようだった。

「ここがどこなのかは、まだわからない。だからここは安全なのかどうか、調べていたんだ」

 ゼオドアは呆然とするエマを抱きしめながら言った。

「エマ、ここで私と一緒に冒険者をやってみないか?」

「ここなら魔物もいるかも知れないぞ?」

 ルナがゼオドアに言う

「私も参加いたしますわ」

 ゼオドアはルナに返事をせずに
 エマを連れて、マラオたちが建てた小屋に向かって歩き出す。

 立ち去るゼオドアたちに向かって小さな声でルナが呟く。

「参加しますからー」



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