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番外編
① ローズの孫、ゼム、恋の予感
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魂交換事件を解決しようとハリー公爵家で社交パーティーが開かれたその夜、ローズの孫ゼムも参加していた。
ゼムはテラスの片隅で、目立たないように1人でワインを飲んでいた。
その時1人の令嬢がテラスに出てきた。
「うわあ、すごい。真っ黒のドレスを着てる」
つぶやき声が聞こえたのか、ゼムの方を振り向く令嬢は、少し微笑むとそのまま夜空に向かって飛んで行った。
「え?」
ゼムは急いで馬に乗り屋敷を飛び出した。
「確かこっちの方角だと思ったのだが」
いつの間にか、ゼムもたまに来る小さな湖畔に来ていた。
その時背後から声をかけられる。
「私に何か用事?」
振り向くと先ほどの令嬢が立っていた。
「あ、いや」
「私をつけてきたんでしょ?ゼム様」
ゼムは馬から降りると
「君、空を飛べるんだな」
「ええ、だって私、ヴァンパイアだもの」
ゼムはすぐに馬に飛び乗った。
「うわあ、嫌な男ね。あなたちょっと露骨すぎるわよ」
「・・・」
「何もしないわよ。あなたって小心者ね」
その言葉を聞いて、馬から降りるゼム。
「私は小心者ではない。用心深いだけだ」
「ふーん、じゃあ、血を吸わせて?」
慌てて馬に飛び乗るゼム。
それを見ていた令嬢は思わず吹き出してしまう。
「ぷぷぷ、あははは!あなたって 面白い!小動物みたい」
「ふん」
ゼムはまた馬から降りる。
「でもやっぱりあなたの血を吸おーっと」
令嬢がゼムの方に歩き出した。
慌てて馬に飛び乗ろうとしたゼムだったが勢い余って反対側に落ちて、気を失う。
気を失ったゼムの側に立つ令嬢。
「あーあ、ちょっとからかいすぎちゃったかな」
意識のないゼムを上から見下ろし
「でもなんとなく、この人、可愛い」
しばらくして目を覚ますと木陰で寝かされていた。隣には先ほどの令嬢が座っている。
令嬢の横顔を見るゼム。感想が思わず口に出た。
「綺麗だ」
令嬢がゼムを見て微笑む。
「なーに?目が覚めたと思ったらいきなり私を口説くの?」
「へ?あ、ごめん。そんなつもりでは」
令嬢は立ち上がると自分の名前を名乗る。
「私はドラキュコル伯爵家の長女、ヴァラキュア」
ゼムも急いで立ち上がる。
「じゃあ私、帰るから」
「え?もう帰るの?」
ヴァラキュアは夜空に向かって飛び上がり、空中で止まるとゼムに言った。
「私、明日もここにいるから、私に会いたければ来なさいよ。じゃあねゼム様」
ヴァラキュアは夜空に消えて行った。
「あー、あの噂、本当だったんだな。ドラキュコル伯爵家ってヴァンパイアの血筋だっていうの・・・」
ゼムは馬に乗ると屋敷に向かって走らせた。
「ヴァラキュアか、綺麗だったな」
ゼムが湖畔から立ち去った後、森の中から一人の男が現れた。
「ハリー公爵家のお坊ちゃまか」
「ちくしょう、ヴァラキュアとイチャイチャしやがって」
「今度あいつをヴァラキュアの前で〆てやる」
ゼムはテラスの片隅で、目立たないように1人でワインを飲んでいた。
その時1人の令嬢がテラスに出てきた。
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つぶやき声が聞こえたのか、ゼムの方を振り向く令嬢は、少し微笑むとそのまま夜空に向かって飛んで行った。
「え?」
ゼムは急いで馬に乗り屋敷を飛び出した。
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その言葉を聞いて、馬から降りるゼム。
「私は小心者ではない。用心深いだけだ」
「ふーん、じゃあ、血を吸わせて?」
慌てて馬に飛び乗るゼム。
それを見ていた令嬢は思わず吹き出してしまう。
「ぷぷぷ、あははは!あなたって 面白い!小動物みたい」
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ゼムはまた馬から降りる。
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慌てて馬に飛び乗ろうとしたゼムだったが勢い余って反対側に落ちて、気を失う。
気を失ったゼムの側に立つ令嬢。
「あーあ、ちょっとからかいすぎちゃったかな」
意識のないゼムを上から見下ろし
「でもなんとなく、この人、可愛い」
しばらくして目を覚ますと木陰で寝かされていた。隣には先ほどの令嬢が座っている。
令嬢の横顔を見るゼム。感想が思わず口に出た。
「綺麗だ」
令嬢がゼムを見て微笑む。
「なーに?目が覚めたと思ったらいきなり私を口説くの?」
「へ?あ、ごめん。そんなつもりでは」
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「あー、あの噂、本当だったんだな。ドラキュコル伯爵家ってヴァンパイアの血筋だっていうの・・・」
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ゼムが湖畔から立ち去った後、森の中から一人の男が現れた。
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「今度あいつをヴァラキュアの前で〆てやる」
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