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第五章
㉞地下牢のアレス
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地下牢に入れられたアレス。ここへ来る途中にサンバルに弁解しようと話しかけたが一言も口を聞いてもらえなかった。
地下牢の中は木のベッドに藁が敷かれ、その脇に簡易トイレがあるだけだった。
ベッドの前に立ち、藁を見つめるアレス。
「この藁……虫はいないだろうな」
そう言って、座る場所だけ手で藁を払いのけ、そこに座った。
(マーガレットのそばから離れられたのは良かったが、何としてでも父上にお話ししなければ……)
(それにしても、マーガレットが妊娠をほのめかすとは思わなかった。今となっては妊娠していないことを願うのみだが……)
アレスは昨夜の狂乱を思い出す。顔を赤らめ悔しそうに唇を噛む。
「ちくしょう、心では拒否をしているのに、体が言うことをきかなかった」
(確かにマーガレットの言うように妊娠していても、おかしくはない)
ギィーーーッ・・・
その時、一階の、地下牢への扉が開く音が聞こえた。
カツン、カツン・・
誰かが地下牢へ降りてくる。
身構えてアレスが鉄格子の先を見る。現れたのはマーガレットだった。
落胆の表情を浮かべながらアレスは鉄格子のところまで行くと、マーガレットに話しかけた。
「マーガレット、お父上の許可が出たのか?」
「いいえ、私は部屋で待機するように言われました」
「ならば、部屋へ戻るんだ、マーガレット」
アレスのその言葉にマーガレットは答えずに質問してきた。
「アレス様、先ほど私の姿を見た瞬間、あなたの表情がみるみるうちに陰りを帯びていきました」
(え?)
「誰が会いに来てくれたと思ったのですか?」
「?、何を言っているのかわからないが、いいかよく聞くんだマーガレット。父上は温厚に見えるが、自分の指示に従わないものには、とても厳しいんだ。見つかったら大変なことになる。だから早く部屋に戻るんだ」
「……分かりました」
マーガレットはそう言うと鉄格子の中に手を入れ、アレスの顔を引き寄せると唇を重ねた。
思いもしないマーガレットの行動に思わず押し返してしまうアレス。だが一瞬、押し返す間際に躊躇してしまった。マーガレットの唇の柔らかさにとろけそうになった自分に戸惑う。だが押し返した。
(あ…しまった!押し返してしまった……)
マーガレットの声色が冷たくなった。
「アレス様、今、拒絶しようとしたのですか?私のキスを?」
「違う!今はこんなことしている場合じゃなだろう?」
「まぁ、いいでしょう。それよりも先程の質問にまだ答えてはいませんね?」
「は?」
「先ほど私は、誰が会いに来てくれたと思ったのですか?とお聞きしたのです」
「……」
「もしや、あの女をお待ちになっていたのですか?」
「あの女?」
「メアリーですよ、メアリー」
「あぁ、メアリーか……いや、メアリーのことなんて頭の中にこれっぽっちもなかった」
「本当でしょうか?アレス様」
「本当だ。そんなことよりも早く部屋に戻るんだ。部屋に戻るまで、誰にも見つからないようにするんだぞ、いいな?マーガレット」
「アレス様、私を捨てて、メアリーを選んだら、私は絶対にあなたを許しませんから」
マーガレットはアレスを睨むと踵を返して地上への階段を上がりながら思いを巡らせる。
(私がせっかく会いに来てあげたのに、アレス様は喜びの表情を見せなかった……)
鉄格子のそばで、マーガレットが出て行く扉の閉まる音を聞いて、ほっとするアレス。
うなだれてベッドに戻ると、藁を敷き直した。
「もう虫がいてもいいや……」
そうつぶやくとアレスは藁の上に寝転がった。
アレスにとって虫の不安など、マーガレットの存在に比べれば、些細なことだった。
地下牢の中は木のベッドに藁が敷かれ、その脇に簡易トイレがあるだけだった。
ベッドの前に立ち、藁を見つめるアレス。
「この藁……虫はいないだろうな」
そう言って、座る場所だけ手で藁を払いのけ、そこに座った。
(マーガレットのそばから離れられたのは良かったが、何としてでも父上にお話ししなければ……)
(それにしても、マーガレットが妊娠をほのめかすとは思わなかった。今となっては妊娠していないことを願うのみだが……)
アレスは昨夜の狂乱を思い出す。顔を赤らめ悔しそうに唇を噛む。
「ちくしょう、心では拒否をしているのに、体が言うことをきかなかった」
(確かにマーガレットの言うように妊娠していても、おかしくはない)
ギィーーーッ・・・
その時、一階の、地下牢への扉が開く音が聞こえた。
カツン、カツン・・
誰かが地下牢へ降りてくる。
身構えてアレスが鉄格子の先を見る。現れたのはマーガレットだった。
落胆の表情を浮かべながらアレスは鉄格子のところまで行くと、マーガレットに話しかけた。
「マーガレット、お父上の許可が出たのか?」
「いいえ、私は部屋で待機するように言われました」
「ならば、部屋へ戻るんだ、マーガレット」
アレスのその言葉にマーガレットは答えずに質問してきた。
「アレス様、先ほど私の姿を見た瞬間、あなたの表情がみるみるうちに陰りを帯びていきました」
(え?)
「誰が会いに来てくれたと思ったのですか?」
「?、何を言っているのかわからないが、いいかよく聞くんだマーガレット。父上は温厚に見えるが、自分の指示に従わないものには、とても厳しいんだ。見つかったら大変なことになる。だから早く部屋に戻るんだ」
「……分かりました」
マーガレットはそう言うと鉄格子の中に手を入れ、アレスの顔を引き寄せると唇を重ねた。
思いもしないマーガレットの行動に思わず押し返してしまうアレス。だが一瞬、押し返す間際に躊躇してしまった。マーガレットの唇の柔らかさにとろけそうになった自分に戸惑う。だが押し返した。
(あ…しまった!押し返してしまった……)
マーガレットの声色が冷たくなった。
「アレス様、今、拒絶しようとしたのですか?私のキスを?」
「違う!今はこんなことしている場合じゃなだろう?」
「まぁ、いいでしょう。それよりも先程の質問にまだ答えてはいませんね?」
「は?」
「先ほど私は、誰が会いに来てくれたと思ったのですか?とお聞きしたのです」
「……」
「もしや、あの女をお待ちになっていたのですか?」
「あの女?」
「メアリーですよ、メアリー」
「あぁ、メアリーか……いや、メアリーのことなんて頭の中にこれっぽっちもなかった」
「本当でしょうか?アレス様」
「本当だ。そんなことよりも早く部屋に戻るんだ。部屋に戻るまで、誰にも見つからないようにするんだぞ、いいな?マーガレット」
「アレス様、私を捨てて、メアリーを選んだら、私は絶対にあなたを許しませんから」
マーガレットはアレスを睨むと踵を返して地上への階段を上がりながら思いを巡らせる。
(私がせっかく会いに来てあげたのに、アレス様は喜びの表情を見せなかった……)
鉄格子のそばで、マーガレットが出て行く扉の閉まる音を聞いて、ほっとするアレス。
うなだれてベッドに戻ると、藁を敷き直した。
「もう虫がいてもいいや……」
そうつぶやくとアレスは藁の上に寝転がった。
アレスにとって虫の不安など、マーガレットの存在に比べれば、些細なことだった。
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