《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第六章

㊲アレスの結婚

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伯爵がアレスに話しかける。

「アレス、今日もマーガレットは王立庁舎には現れなかった」
「そうですか……」
「それでだ、思案した結果、いつまでもこのままずっと王立庁舎に張り付いているわけにもいかん」

そこまで言うと伯爵はサンバルの顔を見た。話を受けてサンバルが続ける。

「アレス様、この状態はアレス様が結婚をされるまで続くことになります。マーガレット様が王立庁舎に婚姻届を提出する前に、アレス様が貴族院に婚姻届を提出すれば、問題は全て解決します」
「え?」
「すでに結婚をしている男性を記入して、王立庁舎に婚姻届を提出しても受理されません。たとえ受理されても間違いがわかればすぐに訂正されます」

アレスが考えながら口を開く。
「つまり私に早く結婚しろと父上はおっしゃっているのですか?」

伯爵は「その通りだ、アレス」とにっこり笑って返事をした。

「しかし、父上、私にはその相手がおりませんが……」
伯爵の視線がメアリーに向いて、それに気づくアレス。
「あの、父上、先ほどからメアリーをチラチラと見ておりますが……」

呆れたように伯爵が声をかける。
「お前、メアリーと結婚しろ」
「はあ?」
「メアリーは男爵家の出身だ。何の問題もない」
「しかし私はメアリーと必要なこと以外、会話をしたことがありませんが?」

「マーガレットの影に怯えながら生きていて楽しいか?アレス」
「……」
「心配するなアレス、メアリーにはちゃんと了解を取ってある」
「了解?」

「結婚後、アレスが離婚したいと申し立てれば異義は唱えない、と」
伯爵は一枚の書類をアレスに手渡す。

「誓約書……」

「その紙に書いてあるように、メアリーはいつ離婚されても異義は唱えないとサインしてくれている。後はお前の決心次第だ」
「しかし……私は、マーガレットに懲りているので、結婚はあまりしたくないのですが……」

「だからとりあえず、婚姻届だけ出して、その後メアリーとゆっくり付き合ってみればいいじゃないか、そしてどうしても合わないと思えば離婚すれば良い。どうだ?アレス」

アレスは、隣に立つメアリーを見つめた。メアリーの髪は金髪で、肩に届くか届かないかぐらいの長さだった。

マーガレットの黒くて長い髪は苦手だったのでメアリーはその点、アレスの好みには合っていた。

伯爵が黒縁の婚姻届を机に置いた。
「さあアレス、サインをしろ。これでしばらくの間、枕を高くして寝られるんだぞ?」

アレスは迷った挙句、婚姻届にサインをした。その用紙をすぐにサンバルに手渡し「すぐに届けてくれ」と声をかけた。

「はい、旦那様!」

サンバルはあっという間に部屋を出て行った。

伯爵が満面の笑みで手を叩きながら二人に声をかける。
「結婚おめでとう。アレス、メアリー」

アレスが急に気がついたことを質問した。
「メアリー、君、年はいくつなの?」
「18です」
(良かったー、マーガレットと同じ年上じゃなくて……)

こんな二人が今夜、初夜を迎えることになった。

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