《完結》伯爵令嬢は怨霊になり、復讐を果たす。ーーしかし彼女を裏切った男は、怨霊よりも恐ろしい妻に出会う。

ぜらちん黒糖

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第六章

㊳アレスの妄想と自惚れ

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ウッド伯爵家の食堂

夕食を食べている伯爵とアレス、そして対面にメアリーがいた。

メアリーは初めて食堂で食べることになり、非常に緊張していた。

そんな二人に 伯爵が声をかける。
「アレス、メアリー、お前たちは二人とも、思いもよらず結婚することになったが、これも運命と思い、頑張ってくれ……私からはそれしか言えないがな」

しかしアレスの頭の中は、伯爵の声など届いていなかった。

(今夜、彼女を抱くことになるわけだが……本当に抱いていいのだろうか?)

(その前に……私に普通の営みができるだろうか?)

アレスはマーガレットとの激しい体の接触を思い出していた。

(マーガレットはとても怖かったが、夜の営みは、こちらが身悶えするほど素晴らしく、官能的だった。まぁほとんど一方的に責められたんだが……)

(それにしてもマーガレットの気性がもう少し穏やかで、普通の女性に近ければ、あのまま結婚していても良かったかもしれない……なんてな)

アレスが視線を上げると、メアリーと視線がぶつかる。

(あ~、なんて無垢な目で私を見るのだろうか……。私はとっくに禁断の営みを覚えてしまったのに……)

メアリーが視線を外しまた食事を始めた。

(あ、私から視線を外した。もしかして私の顔がいやらしい顔をしていたのではないのか?まずい、できれば二枚目のイメージのまま、初夜に臨んでみたいのだが……そう、秘め事は私がリードしてあげなくては、経験者として……ふふふ……)

その時伯爵がアレスに声をかけた。

「アレス、今夜はお前たちの初夜になるが、夫婦の営みは禁止だぞ?」

「えっ!」思わず声を出してしまったアレス。

「えってお前……」伯爵は呆れたように言葉を続けた。
「お前がマーガレットに落ちたわけがわかる気がする」

伯爵がメアリーの方を振り向いて優しく声をかける。

「すまんなメアリー、アレスは真面目でいい男なんだが、今回のマーガレットの件で、こいつがとても営みが大好きということがわかった」

「ち、父上っっ!」

伯爵は無視して話を続ける。
「メアリーはまだ経験していないだろうが、アレスのように口にはできない経験をした男はザラにいるのだ。気にしないでくれ」

メアリーがはにかむように返事をした。

「覚悟はしております」

思わずその言葉に鼻血が出そうになるアレス。
(か、覚悟とは、どんな覚悟なんだろう?とても気になる。今夜、営みはしないが、それぐらい後で聞いてみてもいいだろうか……)

アレスはまだ自分では気づいていなかったが、メアリーのことをかなり気に入っていた。

問題はメアリーが、アレスのことをどう思っているか、なのだが、アレスは自分に自信がありすぎたので、彼女の気持ちは自分にぞっこんであると思い込んでいた……。

食事が終わり、アレスとメアリーが一緒に食堂を出て行こうとした時、伯爵が声をかけた。

「本当の初夜は、お前たちが恋に落ちるまで訪れることはない。アレス、よく覚えておくように。性欲に負けるんじゃないぞ、アレス」

最後の性欲に負けるんじゃないぞアレス、で顔赤くするアレスだった。
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