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第七章
㊸アレス、試練へ向かう
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アレスは湯船に浸かりながら、大魔境について思いを巡らせていた。
(真実の愛を確かめる場所が、大魔境……)
(一体全体どんなところなんだろうか…)
(私はメアリーとこのまま、仮の夫婦で過ごすのか、それとも真の夫婦として結ばれるのか……)
(どちらなんだろうな……)
その時、浴槽の上が少しへこんでいるところがあり、そこに頭を乗せてみた。
「あ、ぴったりだ。ここに頭を乗せておけば、溺れることもなく、寝ることだってできるな」
頭を引っ掛けるように乗せて、体を少し浮かす。
「あ~、気持ちがいい。体がゆらゆら浮いて、魚になったようだ…」
アレスの瞼が閉じて、徐々に呼吸が静かになっていく。そして、ゆっくりと意識が薄れていった。
❖
ズキン!と後頭部に痛みが走る。浴槽に浸かっていたはずのアレスが道を歩いていた。
「ここはどこだ?もしかしてここが大魔境か?」
アレスの目に映るものは、摩訶不思議なものばかりだった。
1本の細い道の左側には細長い2本のレールが敷かれ、その上を鉄の塊が走っている。しかもその鉄の塊の中には人が乗っていた。
「おじさん、危ないでしょ」
そう言って女の子が2本の丸い車輪をつなげたものに乗り、アレスの横を通り過ぎた。そして同じく2つのタイヤで大きな音を立てて通り過ぎる男は、鉄の兜をかぶっていた。
そして初めて見る建築物が右側に並んでいるほとんどが、二階建ての家だった。
その時、激しい痛みが頭に走る。
「痛い……クッ、なんだよもう、こんな時に…」
思わず頭を抑え座り込んでしまったアレス。
そして痛みが治ると、アレスの記憶が消えるように立ち上がっていた。
「!、え?あれ?俺は何やってたんだっけ……」
三橋一太郎は路上駐車の乗用車にぶつかりそうになった。
「あぶねぇーな、こんなところに路駐するんじゃないよ、本当に」
そう言いながら自宅を目指して歩きだした。
正直、一太郎は家にはあまり帰りたくない。なぜなら親同士の約束で結婚した妻の美智子がいるからだ。
結婚式もあげず、新婚旅行にも行かず、ただ入籍しただけの二人。
結婚して今日で10日目だった。まだ二人は交わっていない。
「あ~ぁ、今時、親同士の約束で結婚するやつなんていないよ?ま、ここに俺がいるけどさ」
そうぼやいているうちに自宅にたどり着く。
アパートの一階角部屋の、二間の小さな部屋だった。
鍵を開けて中に入ると美味しそうな食事の匂いが漂う。焼き魚の匂いだとすぐにわかった。
「おかえりなさい、 一太郎さん」
「あ、うん、 ただいま」
美智子はすぐに一太郎の上着をハンガーにかける。
ネクタイを緩め外すと、それも美智子が受け取る。
甲斐甲斐しく世話をやく美智子を見て、一太郎は思わず抱きしめてしまいそうになったが、踏みとどまる。
部屋着に着替え終わった一太郎は食卓に座る。
妻の美智子は、髪を金髪に染め、肩まで届く髪を後ろで縛っていた。
一太郎はじっと美智子を見つめる。
(なぜだろう…なぜか今日は、妻が懐かしく、そして愛おしく感じる)
焼き鯖を箸でほぐしながら口に入れる一太郎。
「鯖は美味しいね」思わず口に出た。美智子は驚いたような顔で一太郎を見る。
「うん。それは良かった」そう言って笑みを浮かべた美智子の眼差しをどこか遠い昔に見たような気がした。
(親に言われて結婚したが、これはこれで良かったのかもしれないな)
そう思った時、美智子が笑顔を浮かべながら一太郎に言葉をかけた。
「一太郎さん、私たち、離婚しましょう」
「え?」
一太郎は持っていた箸を落としてしまった。
(真実の愛を確かめる場所が、大魔境……)
(一体全体どんなところなんだろうか…)
(私はメアリーとこのまま、仮の夫婦で過ごすのか、それとも真の夫婦として結ばれるのか……)
(どちらなんだろうな……)
その時、浴槽の上が少しへこんでいるところがあり、そこに頭を乗せてみた。
「あ、ぴったりだ。ここに頭を乗せておけば、溺れることもなく、寝ることだってできるな」
頭を引っ掛けるように乗せて、体を少し浮かす。
「あ~、気持ちがいい。体がゆらゆら浮いて、魚になったようだ…」
アレスの瞼が閉じて、徐々に呼吸が静かになっていく。そして、ゆっくりと意識が薄れていった。
❖
ズキン!と後頭部に痛みが走る。浴槽に浸かっていたはずのアレスが道を歩いていた。
「ここはどこだ?もしかしてここが大魔境か?」
アレスの目に映るものは、摩訶不思議なものばかりだった。
1本の細い道の左側には細長い2本のレールが敷かれ、その上を鉄の塊が走っている。しかもその鉄の塊の中には人が乗っていた。
「おじさん、危ないでしょ」
そう言って女の子が2本の丸い車輪をつなげたものに乗り、アレスの横を通り過ぎた。そして同じく2つのタイヤで大きな音を立てて通り過ぎる男は、鉄の兜をかぶっていた。
そして初めて見る建築物が右側に並んでいるほとんどが、二階建ての家だった。
その時、激しい痛みが頭に走る。
「痛い……クッ、なんだよもう、こんな時に…」
思わず頭を抑え座り込んでしまったアレス。
そして痛みが治ると、アレスの記憶が消えるように立ち上がっていた。
「!、え?あれ?俺は何やってたんだっけ……」
三橋一太郎は路上駐車の乗用車にぶつかりそうになった。
「あぶねぇーな、こんなところに路駐するんじゃないよ、本当に」
そう言いながら自宅を目指して歩きだした。
正直、一太郎は家にはあまり帰りたくない。なぜなら親同士の約束で結婚した妻の美智子がいるからだ。
結婚式もあげず、新婚旅行にも行かず、ただ入籍しただけの二人。
結婚して今日で10日目だった。まだ二人は交わっていない。
「あ~ぁ、今時、親同士の約束で結婚するやつなんていないよ?ま、ここに俺がいるけどさ」
そうぼやいているうちに自宅にたどり着く。
アパートの一階角部屋の、二間の小さな部屋だった。
鍵を開けて中に入ると美味しそうな食事の匂いが漂う。焼き魚の匂いだとすぐにわかった。
「おかえりなさい、 一太郎さん」
「あ、うん、 ただいま」
美智子はすぐに一太郎の上着をハンガーにかける。
ネクタイを緩め外すと、それも美智子が受け取る。
甲斐甲斐しく世話をやく美智子を見て、一太郎は思わず抱きしめてしまいそうになったが、踏みとどまる。
部屋着に着替え終わった一太郎は食卓に座る。
妻の美智子は、髪を金髪に染め、肩まで届く髪を後ろで縛っていた。
一太郎はじっと美智子を見つめる。
(なぜだろう…なぜか今日は、妻が懐かしく、そして愛おしく感じる)
焼き鯖を箸でほぐしながら口に入れる一太郎。
「鯖は美味しいね」思わず口に出た。美智子は驚いたような顔で一太郎を見る。
「うん。それは良かった」そう言って笑みを浮かべた美智子の眼差しをどこか遠い昔に見たような気がした。
(親に言われて結婚したが、これはこれで良かったのかもしれないな)
そう思った時、美智子が笑顔を浮かべながら一太郎に言葉をかけた。
「一太郎さん、私たち、離婚しましょう」
「え?」
一太郎は持っていた箸を落としてしまった。
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