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第七章
㊺運命の縁談と3日の猶予
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アレスがお風呂に入った後、部屋の扉がノックされた。
メアリーが出て行くとホテルの女性従業員が、ワゴンに食事を載せてやってきた。
「お食事をお持ちいたしました」
女性従業員はワゴンを部屋の中に押して行き、テーブルの上に料理を並べていく。
「ワゴンはこちらに置いておきますので、食事が終わりましたら、部屋の外に出しておいてください」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
女性従業員は出て行き、メアリーは料理を眺めながらため息をつく。
「入浴するのは食べてからでよかったんじゃないかしら……なんてね」
一人で先に食べるわけにもいかず、ワゴンに置いてあるワインとワイングラスに目が行く。
「少しだけ、もらっちゃおうかな……」
メアリーはワイングラスにワインを注ぎ、少しずつ口にした。
「はぁ、これから私は、どうなるのかしら……」
メアリーは、ワイングラスを手に持ち、ソファーに座った。
「レス君……か、ふふふ」
甘口のワインがメアリーの口には合ったようで、気がつくとワイングラスを飲み干していた。
「あぁ、美味しい、まるでジュースみたいね…」
そして気がつくとメアリーの瞼が徐々にふさがっていた。
静まり返る部屋の中で、メアリーの寝息がかすかに聞こえていた。
❖
「お嬢様、ミラお嬢様」
その声に起こされるように目を開けたメアリー。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
「え?」
寝ぼけながら返事をしたメアリーだったが、目の前の女性は知らない女だった。
「ミラお嬢様、まだ、寝ぼけておいででございますね」
(何よこれ、この女は誰なの?)
その時、キリキリと眉間に突き刺さるように痛みが走った。
「ううっ!い、痛い!」思わず床にひざまずくメアリー。
「お嬢様!いかがされましたか?」
「う……うん…」
耐えがたい痛みが徐々に薄れていく。そして気がつくと痛みはなくなり、頭はすっきりしていた。
「ミラお嬢様、本当に大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ、テス、心配しないで」
ほっとするテスと一緒に執務室へ向かうミラ。
「ねえテス、お父様の話って何だと思う?」
「おそらく、縁組の話ではないでしょうか?」
「やっぱりそのことか……」
❖
ミラが執務室へ入ると満面の笑みでベンゼル男爵がミラを出迎えた。
「ふふふ、可愛い我が娘、ミラ、本日は誠にめでたい話を国王陛下から承った」
ベンゼル男爵は上機嫌で話を続けた。
「宰相のご嫡男、ブランドン公爵令息との縁組が決まった。これは破格の待遇である。男爵家の娘が公爵家へ嫁ぐなど、普通ならありえない話だ」
「ブラン宰相が、国王陛下に願い出て、国王陛下が許可を出されたのだ」
黙って聞いているミラの顔を窺うようにベンゼル男爵が声をかける。
「ただし、ミラ、お前に好きな男がいるのなら、この話は断る」
「え?」
「今はまだ、内密の話であるから断れる。だが 4日後に国王陛下がお前とブランドン公爵令息との縁談を発表する」
ベンゼル男爵が優しく娘に語りかける。
「3日以内にどうするか返事をせよ。断りたければ、断るが良い」
「お父様、それではベンゼル男爵家が国王陛下の意に背いたということで、嫌がらせや、果てはお家取り潰しの憂き目に遭うのでは?」
「それでも構わん。お前の幸せが一番だ。私は貴族の身分を捨てて、平民になっても構わないと思っている」
「ですが……」
「いいから、3日後の午前中にお前の決意を聞くから、それまでに、じっくりと考えるのだ」
❖
ベンゼル男爵との話を終えて、部屋に戻ったミラは、思案にふける。
(さてと……これからどうしましょうか)
(長い人生を考えれば、ブランドン 公爵令息と結婚する方が、私は幸せに生きていけるだろう)
ミラは、部屋の窓に近づき、外を眺める。
門番をしているアレックスに目が行く。ミラは窓を開け大声で呼ぶ。
「アレックス!」
名前を呼ばれたアレックスが振り向くと、二階の窓からミラが手を振っていた。アレックスはすぐに駆け出し窓の下に行く。
「ミラお嬢様!何かご用でしょうか?」
「城下へ出かけるから、馬車の用意をお願い」
「かしこまりました」
すぐに駆け出すアレックスを見送るとミラも部屋を出た。
❖
馬車に揺られて道行く人を眺める ミラ。
(この人たちにも、この人たちなりの人生があるのよね……私と同じように)
馬車がゆっくり止まると、御者席からアレックスが降りて、馬車の扉を開けた。
「ミラお嬢様、到着しました」
「ありがとう、アレックス」
二人の目の前には、古ぼけた一軒の家が建っていた。
扉の表札には『占いの館』と書いてあった。
ミラは扉のドアノッカーを叩く前に アレックスに言葉をかけた。
「今日は、私とあなたのことを占ってもらうつもりなの」
「え?」
その時、扉がゆっくり開いて中から老婆が顔を出した。
「いらっしゃい、ミラお嬢様」
メアリーが出て行くとホテルの女性従業員が、ワゴンに食事を載せてやってきた。
「お食事をお持ちいたしました」
女性従業員はワゴンを部屋の中に押して行き、テーブルの上に料理を並べていく。
「ワゴンはこちらに置いておきますので、食事が終わりましたら、部屋の外に出しておいてください」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
女性従業員は出て行き、メアリーは料理を眺めながらため息をつく。
「入浴するのは食べてからでよかったんじゃないかしら……なんてね」
一人で先に食べるわけにもいかず、ワゴンに置いてあるワインとワイングラスに目が行く。
「少しだけ、もらっちゃおうかな……」
メアリーはワイングラスにワインを注ぎ、少しずつ口にした。
「はぁ、これから私は、どうなるのかしら……」
メアリーは、ワイングラスを手に持ち、ソファーに座った。
「レス君……か、ふふふ」
甘口のワインがメアリーの口には合ったようで、気がつくとワイングラスを飲み干していた。
「あぁ、美味しい、まるでジュースみたいね…」
そして気がつくとメアリーの瞼が徐々にふさがっていた。
静まり返る部屋の中で、メアリーの寝息がかすかに聞こえていた。
❖
「お嬢様、ミラお嬢様」
その声に起こされるように目を開けたメアリー。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
「え?」
寝ぼけながら返事をしたメアリーだったが、目の前の女性は知らない女だった。
「ミラお嬢様、まだ、寝ぼけておいででございますね」
(何よこれ、この女は誰なの?)
その時、キリキリと眉間に突き刺さるように痛みが走った。
「ううっ!い、痛い!」思わず床にひざまずくメアリー。
「お嬢様!いかがされましたか?」
「う……うん…」
耐えがたい痛みが徐々に薄れていく。そして気がつくと痛みはなくなり、頭はすっきりしていた。
「ミラお嬢様、本当に大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ、テス、心配しないで」
ほっとするテスと一緒に執務室へ向かうミラ。
「ねえテス、お父様の話って何だと思う?」
「おそらく、縁組の話ではないでしょうか?」
「やっぱりそのことか……」
❖
ミラが執務室へ入ると満面の笑みでベンゼル男爵がミラを出迎えた。
「ふふふ、可愛い我が娘、ミラ、本日は誠にめでたい話を国王陛下から承った」
ベンゼル男爵は上機嫌で話を続けた。
「宰相のご嫡男、ブランドン公爵令息との縁組が決まった。これは破格の待遇である。男爵家の娘が公爵家へ嫁ぐなど、普通ならありえない話だ」
「ブラン宰相が、国王陛下に願い出て、国王陛下が許可を出されたのだ」
黙って聞いているミラの顔を窺うようにベンゼル男爵が声をかける。
「ただし、ミラ、お前に好きな男がいるのなら、この話は断る」
「え?」
「今はまだ、内密の話であるから断れる。だが 4日後に国王陛下がお前とブランドン公爵令息との縁談を発表する」
ベンゼル男爵が優しく娘に語りかける。
「3日以内にどうするか返事をせよ。断りたければ、断るが良い」
「お父様、それではベンゼル男爵家が国王陛下の意に背いたということで、嫌がらせや、果てはお家取り潰しの憂き目に遭うのでは?」
「それでも構わん。お前の幸せが一番だ。私は貴族の身分を捨てて、平民になっても構わないと思っている」
「ですが……」
「いいから、3日後の午前中にお前の決意を聞くから、それまでに、じっくりと考えるのだ」
❖
ベンゼル男爵との話を終えて、部屋に戻ったミラは、思案にふける。
(さてと……これからどうしましょうか)
(長い人生を考えれば、ブランドン 公爵令息と結婚する方が、私は幸せに生きていけるだろう)
ミラは、部屋の窓に近づき、外を眺める。
門番をしているアレックスに目が行く。ミラは窓を開け大声で呼ぶ。
「アレックス!」
名前を呼ばれたアレックスが振り向くと、二階の窓からミラが手を振っていた。アレックスはすぐに駆け出し窓の下に行く。
「ミラお嬢様!何かご用でしょうか?」
「城下へ出かけるから、馬車の用意をお願い」
「かしこまりました」
すぐに駆け出すアレックスを見送るとミラも部屋を出た。
❖
馬車に揺られて道行く人を眺める ミラ。
(この人たちにも、この人たちなりの人生があるのよね……私と同じように)
馬車がゆっくり止まると、御者席からアレックスが降りて、馬車の扉を開けた。
「ミラお嬢様、到着しました」
「ありがとう、アレックス」
二人の目の前には、古ぼけた一軒の家が建っていた。
扉の表札には『占いの館』と書いてあった。
ミラは扉のドアノッカーを叩く前に アレックスに言葉をかけた。
「今日は、私とあなたのことを占ってもらうつもりなの」
「え?」
その時、扉がゆっくり開いて中から老婆が顔を出した。
「いらっしゃい、ミラお嬢様」
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