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第七章
㊽林の中の誓いと悲劇の矢
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ミラは、ゆっくり目が覚めると伏せていた顔を上げて老婆を見た。
「ミラお嬢様、何を見たか覚えているか?」
「……いいえ、なにも覚えていないわ。ただ眠っていただけなんじゃないの?」
「本当にそうかな?では聞くが、あなたは誰と結婚したいと思っているのかな?」
不思議なことにミラの頭の中には答えが出ていた。
「それは、アレックスです。私はブランドン公爵令息とは結婚しません」
そう言い切った時、老婆とミラがアレックスを見た。だがアレックスはまだ伏せたままだった……。
❖
アレックスは気がつくと誰かと手を繋ぎながら、林の中を必死で走っていた。
(ここはどこだ?)
(なぜ、俺は走っている?)
そして手を繋いでいる相手を見た。驚くことにアレックスは、ミラお嬢様と手をつないで走っていたのだ。
驚いた瞬間、足を引っ掛け思いっきり 前のめりにこけてしまった。
激しく顔を地面に打ち付けたアレックス。その瞬間、記憶が入れ替わった。
「フランク!大丈夫!」
フランクはすぐに立ち上がると返事をした。
「あー大丈夫です。行きましょう、レオ様!」
息を切らして必死で走る二人。
(この林を抜けて道に出るとその道が隣国へと続くはず。あと少しだ…)
だがフランクは道に出る直前で立ち止まる。レオも立ち止まり、フランクに尋ねる。
「どうしたの?フランク」
「待ち伏せされています、レオ様」
「そんな…それじゃあ、私、連れ戻されちゃうの?」
悲しそうにじっとフランクを見るレオ。
フランクは思い切って言ってみる。
「レオ様、レオ様はこのまま、お戻りになった方が良いかもしれません」
「フランクは、私が、金貸しのベントリーと結婚した方がいいって言うの?」
「それは…しかしこのままでは、二人とも捕まってしまいます」
レオがフランクにしがみつく。
「いや!フランクと離れたくない!フランクと離れるくらいなら、私は死を選ぶ!」
フランクは考えを巡らす。
(今、俺たちを追っているのは、伯爵様の手の者だ。だから、今ならレオ様は無事に屋敷に戻れるはずだ)
(しかし、ベントリーが追っ手をかけると、見つかれば俺はともかく、レオ様までひどい目に遭うかもしれないし……)
「フランク、お願い、私を連れこのまま逃げて!」
フランクは決心したようにレオに話しかけた。
「覚悟はできているんですね?レオ様」
「ええ、もちろん」
「隣国へ行ったらレオ様は平民になるんですよ?」
「構わないわ、フランクと一緒だったらどこへでも行く!」
『フランクと一緒だったらどこへでも行く』
その言葉がフランクの胸を締め付けた。
「レオ様、俺は一度もはっきりと言ったことはなかったが、言わせてもらう」
レオは今自分が足手まといになっていることをよくわかっていた。だから不安げな眼差しでフランクを見つめていた。
「フランク……言いたいことがあったらはっきり言って」
「ええ、はっきり言います。敬語も、やめます」
フランクはレオを抱きしめると耳元で囁いた。
「俺と結婚しよう、レオ。俺が絶対に守ってやる」
「うん、フランク」
フランクは林を抜けて道に出るのを諦め 林の中を突き進んで隣国へ向かうことにした。
伯爵令嬢のレオにはとても厳しい道のりだったが、弱音を吐かずフランクについて頑張った。
「レオ、もう目の前に自由が待っているぞ」
「ええ、フランク、私たち幸せになりましょうね」
「ふふふ、子供たくさん作ろうぜ、レオ」
その時、あと少しで完全に国境を越えようとした瞬間、フランクの背中に弓矢が刺さった。
「ぐっ!」呻き声をあげて膝から崩れ落ちるフランクを、支えるように一緒に地面に倒れるレオ。
「フランク!フランク!」
「お、俺は……いいから…一人で…国境を越えろ…レオ」
「いやよ、フランクも一緒に連れて行く」
レオは力いっぱいフランクを引っ張ろうとしたが無駄だった……。
気がつくと武装した男たちはレオとフランクを取り囲んでいた。
男たちの一人が話しかけてきた。
「レオ様、お遊びもここまでだ。さあ、ベントリー様がお待ちだ」
そして他の男たちに声をかける。
「お前ら、レオ様を丁重にお連れしろ」
レオはフランクから引き離され、連れて行かれた。
薄れゆく意識の中でレオの背中がだんだんと遠くなる様を見ながら、フランクの目から涙がこぼれていた。
(あ……レオと…結婚したかった…)
フランクの息が止まった。
「ミラお嬢様、何を見たか覚えているか?」
「……いいえ、なにも覚えていないわ。ただ眠っていただけなんじゃないの?」
「本当にそうかな?では聞くが、あなたは誰と結婚したいと思っているのかな?」
不思議なことにミラの頭の中には答えが出ていた。
「それは、アレックスです。私はブランドン公爵令息とは結婚しません」
そう言い切った時、老婆とミラがアレックスを見た。だがアレックスはまだ伏せたままだった……。
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アレックスは気がつくと誰かと手を繋ぎながら、林の中を必死で走っていた。
(ここはどこだ?)
(なぜ、俺は走っている?)
そして手を繋いでいる相手を見た。驚くことにアレックスは、ミラお嬢様と手をつないで走っていたのだ。
驚いた瞬間、足を引っ掛け思いっきり 前のめりにこけてしまった。
激しく顔を地面に打ち付けたアレックス。その瞬間、記憶が入れ替わった。
「フランク!大丈夫!」
フランクはすぐに立ち上がると返事をした。
「あー大丈夫です。行きましょう、レオ様!」
息を切らして必死で走る二人。
(この林を抜けて道に出るとその道が隣国へと続くはず。あと少しだ…)
だがフランクは道に出る直前で立ち止まる。レオも立ち止まり、フランクに尋ねる。
「どうしたの?フランク」
「待ち伏せされています、レオ様」
「そんな…それじゃあ、私、連れ戻されちゃうの?」
悲しそうにじっとフランクを見るレオ。
フランクは思い切って言ってみる。
「レオ様、レオ様はこのまま、お戻りになった方が良いかもしれません」
「フランクは、私が、金貸しのベントリーと結婚した方がいいって言うの?」
「それは…しかしこのままでは、二人とも捕まってしまいます」
レオがフランクにしがみつく。
「いや!フランクと離れたくない!フランクと離れるくらいなら、私は死を選ぶ!」
フランクは考えを巡らす。
(今、俺たちを追っているのは、伯爵様の手の者だ。だから、今ならレオ様は無事に屋敷に戻れるはずだ)
(しかし、ベントリーが追っ手をかけると、見つかれば俺はともかく、レオ様までひどい目に遭うかもしれないし……)
「フランク、お願い、私を連れこのまま逃げて!」
フランクは決心したようにレオに話しかけた。
「覚悟はできているんですね?レオ様」
「ええ、もちろん」
「隣国へ行ったらレオ様は平民になるんですよ?」
「構わないわ、フランクと一緒だったらどこへでも行く!」
『フランクと一緒だったらどこへでも行く』
その言葉がフランクの胸を締め付けた。
「レオ様、俺は一度もはっきりと言ったことはなかったが、言わせてもらう」
レオは今自分が足手まといになっていることをよくわかっていた。だから不安げな眼差しでフランクを見つめていた。
「フランク……言いたいことがあったらはっきり言って」
「ええ、はっきり言います。敬語も、やめます」
フランクはレオを抱きしめると耳元で囁いた。
「俺と結婚しよう、レオ。俺が絶対に守ってやる」
「うん、フランク」
フランクは林を抜けて道に出るのを諦め 林の中を突き進んで隣国へ向かうことにした。
伯爵令嬢のレオにはとても厳しい道のりだったが、弱音を吐かずフランクについて頑張った。
「レオ、もう目の前に自由が待っているぞ」
「ええ、フランク、私たち幸せになりましょうね」
「ふふふ、子供たくさん作ろうぜ、レオ」
その時、あと少しで完全に国境を越えようとした瞬間、フランクの背中に弓矢が刺さった。
「ぐっ!」呻き声をあげて膝から崩れ落ちるフランクを、支えるように一緒に地面に倒れるレオ。
「フランク!フランク!」
「お、俺は……いいから…一人で…国境を越えろ…レオ」
「いやよ、フランクも一緒に連れて行く」
レオは力いっぱいフランクを引っ張ろうとしたが無駄だった……。
気がつくと武装した男たちはレオとフランクを取り囲んでいた。
男たちの一人が話しかけてきた。
「レオ様、お遊びもここまでだ。さあ、ベントリー様がお待ちだ」
そして他の男たちに声をかける。
「お前ら、レオ様を丁重にお連れしろ」
レオはフランクから引き離され、連れて行かれた。
薄れゆく意識の中でレオの背中がだんだんと遠くなる様を見ながら、フランクの目から涙がこぼれていた。
(あ……レオと…結婚したかった…)
フランクの息が止まった。
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