《完結》人生を生き直し、恋に落ちる。

ぜらちん黒糖

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第二章 

⑥金五郎、テレビドラマの世界へ

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金五郎はオーディションに合格した。もらった役はスナックのオカマでも殺し屋でもなかった。

(オーディションの時と全く違う役だけど……)

主人公、浅田優子(二階堂沙知絵)の家の隣に住む独身の大学教授の役だった。登場回数は全13話のうちたったの3回だけだった。セリフも少なかった。だが金五郎は嬉しくて仕方がなかった。

生まれて初めてのテレビドラマ出演だったからだ。

第一会議室で本読みが始まった。

緊張の中、金五郎もなんとかこなして、全員が演出家からOK が出る。

柴倉が言った。

「15分休憩したら立ち稽古します。では休憩して下さい」

ホッとしていると後から声がかかる。

「砂袋さん」

振り向くと山上りこがいた。

「?」

「外でコーヒーでも飲みませんか?」

「ああ、うん、飲もうか」

二人は廊下にある椅子に座って缶コーヒーを飲みながら雑談をする。

「次、立ち稽古だけど今の部屋でやるのかな?」

「ああ、砂袋さんは初めてでしたっけ」

「うん」金五郎が恥ずかしそうに笑う。

「リハーサルみたいなもんですよ?立ち稽古って」

「え?そうなの?」

「はい、セットの中で立ち稽古をしてOKが出たらすぐに本番です」

「げっ、まじで?」

「演出家によってやり方が違うんですよ、本番前の本読みや、立ち稽古をミッチリする人もいれば、軽く流して、本気の演技は本番に取っておく、みたいな人もいるんです」

「そうなんだ。舞台の場合は本番前の稽古が命みたいなところがあったから……」

「大変ですか?砂袋さん」

「いや、そんなことないよ。なんだか新鮮な気分だ」

「うふふふ、今回のドラマでは私たち、一度も絡みの芝居はありませんけど、いずれは一緒にやりたいですね」

「あ、うん、そうだね、そうなるといいね」

和やかに談笑している二人を、遠くからチラチラと二階堂沙知絵が見ていた。

沙知絵は憂いのある眼差しで、金五郎を見つめていた。
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