《完結》悪役令嬢の侍女に転生しました。

ぜらちん黒糖

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⑥寄り道

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マリカ・キシュは王立学校を退学になり、キシュ伯爵家の嫡子の立場も失い、部屋住みの、ただの厄介者となっていた。

嫡子にはマリカの妹サリカがなった。とは言え、女子の嫡子は必ず婿を取り、嫡子の座を婿に譲らなければいけないのだが・・・。

マリカは今後の身の振り方を考えていた。

バウナード王太子をマーガレットからあと少しで奪えたものを、あの、カタリンと言う侍女のせいで失敗した。

「私が取るべき道は一つ・・・自分の気持ちに正直に生きて行く・・・それだけ」

「お姉様」

振り向くと妹のサリカが立っている。

「サリカ、ごきげんよう」

「ごきげんよう、お姉様」

「どう?伯爵家の嫡子の座はもう慣れた?」

「はい」

「そう。これから、あなたも大変ね。頑張って下さい。」

「お姉様はこれからどうなされるのですか?」

「私は家を出るつもりです」

「え?どちらへ行かれるのですか?」

「バウナード様のところへ行ってみようと思っています」

「行って・・・どうなさるおつもりですか?まさか復讐をされるおつもりなのですか?」

「復讐?バウナード様に?まさか」

「・・・」

「最初は、私を捨てたバウナード様を憎みました。だから王立裁判所でバウナード様との関係を暴露したのです」

「・・・」

「会いに行っても、私には会ってはくれないでしょけど、それでもいいのです。彼のいる土地で、なにか仕事を探して、暮らして行きます」

「お姉様は、バウナード様を愛しておられたのですね」

「そう言うことになるのかしらね」



『何でも屋』の店の中に、男の死体が置かれていた。

「ボンネスピラー、お前は一体誰に殺されたんだ?」

ドアが開いて埋葬業者が入って来た。

「あのう、ご遺体はもう運んでよろしいですか? 」

「ああ、頼むよ」

埋葬業者は2人いて、手際よく棺桶に入れて、店の外へ運び出して行った。

老人は、棺桶が出て行った出口をジッと見つめたまま

「ボンネスピラーよ、敵は取ってやるからのう、絶対に」

老人は、右手に握っていた鉛筆をへし折って、立ち上がり、呟く。

「ボンネスピラーを殺ったのは、あのフードを被った女なのだろうか?それとも別の誰かか・・・」



王立学校からの帰り道、マーガレットとカタリン、ソジャコッドは歩いて自分たちの屋敷へ向かっている。

今日は公爵家の馬車が故障で使えなくなり、朝も3人は歩いて学校へ行ったのだ。

「たまには歩くのも悪くないですね、マーガレット様」

「ソジャコッドは元気ねえ。私はもう足が疲れましたわ」

「ねえ、寄り道をして行きませんか?」

「だめだよ、ソジャコッド。今日は歩きなんだから、寄り道なんかしてられないよ?」

「真面目だなあ、カタリンは」

「ソジャコッド、寄り道ってどこへ行くんですの?」

「デイクラブです」

「デイクラブってなんですの?」

「音楽を聞きながら踊ったり、お酒を飲んだりして、男女が楽しむ場所です」

カタリンが慌てて止める。

「駄目だ、ソジャコッド。そのような場所へ、マーガレット様をお連れしてはいけない」

「わかってるって、カタリン。言ってみただけさ」

「チッ、驚かせやがって」

〘私達3人の未来はギロチン台へ向かっているんだ。そんなときに、トラブルに巻き込まれそうな場所へ、自ら出かけて行くなんて馬鹿げている。余計なこと言うんじゃないよ、ソジャコッド〙

しかし、カタリンの心配は遅かった。

「行きましょうか?デイクラブへ」

マーガレットが目をキラキラさせて、カタリンとソジャコッドを見ている。すかさずカタリンがいさめる。

「駄目です、マーガレット様、そのような場所には、平民の男しかいません。関わってはいけません」

「そんなことないよ?貴族の令息も来てる。」

「え?なんでソジャコッドはそんなことまで知っているんだ?」

〘あ、こいつ、最近、休みは屋敷にいないと思っていたら、一人でデイクラブへ行っていたな〙

「いいでしょ、そんなことはどうでも。それよりどうします?行きます?それともこのまま、つまらない屋敷に真っ直ぐに帰ります?」

行く気になって来たマーガレットが
「なにかあっても、カタリンとソジャコッドが私を護ってくれるんでしょう?」

「はい、それはそうですが」
カタリンが渋々返事をする。

「もちろんお守りしますよ。私も」

ソジャコッドは、そう言いながらニッコリと笑って、もうすでに、マーガレットの手を引っ張り、歩いていた。

〘ソジャコッドの奴め、自分の未来を知らないからとはいえ、本当にコイツは・・・〙

しかし、ソジャコッドの悩みのない無邪気な笑顔を見て

〘まあ、今日一日位、大丈夫かな〙

「おい、そんなに急ぐなよ、ソジャコッド~」

マーガレットとソジャコッド、そしてカタリンはデイクラブの店に入っていった。


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