《完結》悪役令嬢の侍女に転生しました。

ぜらちん黒糖

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⑫ボンネスピラーの殺害犯人

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『何でも屋』の店内で店番をしている老人が入口を見ながらぼんやりとしていると、フードを被った女が入って来た。

「いらっしゃい」

「この前依頼した仕事はどうなっている?」

「もう殺し屋には依頼しております。マーガレット様がまだ生きているとしたら、きっと殺害計画を練っている所なのでしょう」

「そうか、では仕事をキャンセルしたい」

「ほう?暗殺は中止にしろと?」

「そうだ」

「無理ですな、それは」

「なぜだ?」

「殺し屋にはもう金も渡して、この案件を発注してしまいましたからね」

「・・・」

「もう断れません」

「・・・」

「もし中止にしたいならその殺し屋を見つけて口を塞ぐしかないですね」

「ではその殺し屋の名前を教えろ」

「その前に、あんたに聞きたいことがある」

「・・・」

「ボンネスピラーのことだ」

「誰の事を言っている?」

「この間あんたが暗殺の依頼をしに来た日、私はボンネスピラーにあんたの後をつけさせたんだが」

「・・・」

「翌日、死体になって戻って来たよ」

「・・・」

「あんたが殺したのか?」

「記憶にないが?」

老人は椅子から立ち上がり叫ぶ。

「お前しかいないんだよ!」

「・・・」

「正直に答えろ」

「ふう、仕方がない」

「やっぱりお前か!」

問答無用で老人が刀で斬りかかる。

フードを被った女が後ずさってかわすが、老人はそのまま刀を中段で構えて女の喉を目掛けて突いて来る。

女はその突きを躱すと老人の裏を取り喉元に短刀を当てる。

「早まるな。私は殺していないぞ?」

「・・・」

「では証拠を見せてやろう」

女は老人からかなり距離を取って
老人に言う。

「とにかく刀をしまえ、証拠を見せてやるから」

「本当だな?」

「ああ」

老人は刀を鞘に収めてまた元いた席に戻った。

「そのボンなんとかの遺品はあるか?」

「ボンネスピラーだ。遺品はある。ちょっと待っていろ」

老人は黒の上着を持ってきた。

「奴のお気に入りの上着だ」

老人が上着をフードの女に渡すと女はその上着を羽織った。

「おい、何をするつもりだ?」

「店に誰も入って来ないようにして、明かりは蝋燭を一本だけつけてくれ、いいな?」

「ああ」

老人が女の言う通りにすると女は椅子に座って集中し始めた。

次の瞬間、空中に大きく丸い空間が現れて、そこにボンネスピラーが映った。

「おお、ボンネスピラーよ」

あの日の老人とのやり取りから映像は始まった。

映像の中の老人がいう。

「女を付けろ」

「はっ」

ボンネスピラーは店を出て行く。

ボンネスピラーがフードの女の後をつけて行くと、女が川岸に止めてあった小舟に乗り移って川下に下って行く。

急いで追い掛けるボンネスピラー。

その時、路地裏から飛び出してきた男とぶつかってしまうボンネスピラー。

「すまねー」

謝るボンネスピラーに振り向きざまに刀を抜いて袈裟懸けさがけに斬る。

しかし斬られたはずのボンネスピラーから血は吹き出ていない。

峰打ちだったようだが、例え峰打ちでも、鉄の棒で殴られたのと同じくらいの激痛だったはずだ。

ぐったりしてうめき声を上げるボンネスピラーを男は引きずると川へ投げ捨てた。

「止めてくれ!」老人が叫ぶ。

ボンネスピラーを殺した男の顔がはっきりと映っていた。

老人が女に言った。

「私はこの男にマーガレット様の暗殺を依頼したんだ」

「きっとボンネスピラーも誰かの依頼で殺したんだろう」

映像が消えて店の明かりは蝋燭だけになり、薄暗くなった店の中で女は上着を脱ぐと老人に返した。

「疑って悪かったな、お嬢さん」

「ではもうお金は戻って来ないな」

「お嬢さん、私からの依頼を受ける気はないかね?」

「・・・」

「この男の名前はレジモダ、一級の殺し屋だ」

「コイツを始末してくれればこの前、あんたから受け取った金貨の倍額支払う。お願いできるか?」

「私は殺し屋じゃない」

「・・・」

「私は人は殺さないが、ギロチン台送りには出来るぞ?」

「・・・うん、それでいい。頼めるか?」

「わかった、やってみよう。」

「そいつの、レジモダの住処すみかを言え」

老人がメモを渡す。女はジッとメモを見つめて

「本当に、ここにいるのか?」

「ああ、そこは貴族の屋敷の地下室にある隠し部屋だそうだ。当の貴族も自分の屋敷の地下に部屋があるのを知らないらしい」

「わかった。必ずギロチン台送りにしてあげよう」

老人が机の上に金貨を置いて行く。どんどんと積み上げて・・・。

女が手で制する。

「報酬はいらない」

そう言って店を出て行った。
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