12 / 24
⑫ボンネスピラーの殺害犯人
しおりを挟む
『何でも屋』の店内で店番をしている老人が入口を見ながらぼんやりとしていると、フードを被った女が入って来た。
「いらっしゃい」
「この前依頼した仕事はどうなっている?」
「もう殺し屋には依頼しております。マーガレット様がまだ生きているとしたら、きっと殺害計画を練っている所なのでしょう」
「そうか、では仕事をキャンセルしたい」
「ほう?暗殺は中止にしろと?」
「そうだ」
「無理ですな、それは」
「なぜだ?」
「殺し屋にはもう金も渡して、この案件を発注してしまいましたからね」
「・・・」
「もう断れません」
「・・・」
「もし中止にしたいならその殺し屋を見つけて口を塞ぐしかないですね」
「ではその殺し屋の名前を教えろ」
「その前に、あんたに聞きたいことがある」
「・・・」
「ボンネスピラーのことだ」
「誰の事を言っている?」
「この間あんたが暗殺の依頼をしに来た日、私はボンネスピラーにあんたの後をつけさせたんだが」
「・・・」
「翌日、死体になって戻って来たよ」
「・・・」
「あんたが殺したのか?」
「記憶にないが?」
老人は椅子から立ち上がり叫ぶ。
「お前しかいないんだよ!」
「・・・」
「正直に答えろ」
「ふう、仕方がない」
「やっぱりお前か!」
問答無用で老人が刀で斬りかかる。
フードを被った女が後ずさって躱すが、老人はそのまま刀を中段で構えて女の喉を目掛けて突いて来る。
女はその突きを躱すと老人の裏を取り喉元に短刀を当てる。
「早まるな。私は殺していないぞ?」
「・・・」
「では証拠を見せてやろう」
女は老人からかなり距離を取って
老人に言う。
「とにかく刀をしまえ、証拠を見せてやるから」
「本当だな?」
「ああ」
老人は刀を鞘に収めてまた元いた席に戻った。
「そのボンなんとかの遺品はあるか?」
「ボンネスピラーだ。遺品はある。ちょっと待っていろ」
老人は黒の上着を持ってきた。
「奴のお気に入りの上着だ」
老人が上着をフードの女に渡すと女はその上着を羽織った。
「おい、何をするつもりだ?」
「店に誰も入って来ないようにして、明かりは蝋燭を一本だけつけてくれ、いいな?」
「ああ」
老人が女の言う通りにすると女は椅子に座って集中し始めた。
次の瞬間、空中に大きく丸い空間が現れて、そこにボンネスピラーが映った。
「おお、ボンネスピラーよ」
あの日の老人とのやり取りから映像は始まった。
映像の中の老人がいう。
「女を付けろ」
「はっ」
ボンネスピラーは店を出て行く。
ボンネスピラーがフードの女の後をつけて行くと、女が川岸に止めてあった小舟に乗り移って川下に下って行く。
急いで追い掛けるボンネスピラー。
その時、路地裏から飛び出してきた男とぶつかってしまうボンネスピラー。
「すまねー」
謝るボンネスピラーに振り向きざまに刀を抜いて袈裟懸けに斬る。
しかし斬られたはずのボンネスピラーから血は吹き出ていない。
峰打ちだったようだが、例え峰打ちでも、鉄の棒で殴られたのと同じくらいの激痛だったはずだ。
ぐったりしてうめき声を上げるボンネスピラーを男は引きずると川へ投げ捨てた。
「止めてくれ!」老人が叫ぶ。
ボンネスピラーを殺した男の顔がはっきりと映っていた。
老人が女に言った。
「私はこの男にマーガレット様の暗殺を依頼したんだ」
「きっとボンネスピラーも誰かの依頼で殺したんだろう」
映像が消えて店の明かりは蝋燭だけになり、薄暗くなった店の中で女は上着を脱ぐと老人に返した。
「疑って悪かったな、お嬢さん」
「ではもうお金は戻って来ないな」
「お嬢さん、私からの依頼を受ける気はないかね?」
「・・・」
「この男の名前はレジモダ、一級の殺し屋だ」
「コイツを始末してくれればこの前、あんたから受け取った金貨の倍額支払う。お願いできるか?」
「私は殺し屋じゃない」
「・・・」
「私は人は殺さないが、ギロチン台送りには出来るぞ?」
「・・・うん、それでいい。頼めるか?」
「わかった、やってみよう。」
「そいつの、レジモダの住処を言え」
老人がメモを渡す。女はジッとメモを見つめて
「本当に、ここにいるのか?」
「ああ、そこは貴族の屋敷の地下室にある隠し部屋だそうだ。当の貴族も自分の屋敷の地下に部屋があるのを知らないらしい」
「わかった。必ずギロチン台送りにしてあげよう」
老人が机の上に金貨を置いて行く。どんどんと積み上げて・・・。
女が手で制する。
「報酬はいらない」
そう言って店を出て行った。
「いらっしゃい」
「この前依頼した仕事はどうなっている?」
「もう殺し屋には依頼しております。マーガレット様がまだ生きているとしたら、きっと殺害計画を練っている所なのでしょう」
「そうか、では仕事をキャンセルしたい」
「ほう?暗殺は中止にしろと?」
「そうだ」
「無理ですな、それは」
「なぜだ?」
「殺し屋にはもう金も渡して、この案件を発注してしまいましたからね」
「・・・」
「もう断れません」
「・・・」
「もし中止にしたいならその殺し屋を見つけて口を塞ぐしかないですね」
「ではその殺し屋の名前を教えろ」
「その前に、あんたに聞きたいことがある」
「・・・」
「ボンネスピラーのことだ」
「誰の事を言っている?」
「この間あんたが暗殺の依頼をしに来た日、私はボンネスピラーにあんたの後をつけさせたんだが」
「・・・」
「翌日、死体になって戻って来たよ」
「・・・」
「あんたが殺したのか?」
「記憶にないが?」
老人は椅子から立ち上がり叫ぶ。
「お前しかいないんだよ!」
「・・・」
「正直に答えろ」
「ふう、仕方がない」
「やっぱりお前か!」
問答無用で老人が刀で斬りかかる。
フードを被った女が後ずさって躱すが、老人はそのまま刀を中段で構えて女の喉を目掛けて突いて来る。
女はその突きを躱すと老人の裏を取り喉元に短刀を当てる。
「早まるな。私は殺していないぞ?」
「・・・」
「では証拠を見せてやろう」
女は老人からかなり距離を取って
老人に言う。
「とにかく刀をしまえ、証拠を見せてやるから」
「本当だな?」
「ああ」
老人は刀を鞘に収めてまた元いた席に戻った。
「そのボンなんとかの遺品はあるか?」
「ボンネスピラーだ。遺品はある。ちょっと待っていろ」
老人は黒の上着を持ってきた。
「奴のお気に入りの上着だ」
老人が上着をフードの女に渡すと女はその上着を羽織った。
「おい、何をするつもりだ?」
「店に誰も入って来ないようにして、明かりは蝋燭を一本だけつけてくれ、いいな?」
「ああ」
老人が女の言う通りにすると女は椅子に座って集中し始めた。
次の瞬間、空中に大きく丸い空間が現れて、そこにボンネスピラーが映った。
「おお、ボンネスピラーよ」
あの日の老人とのやり取りから映像は始まった。
映像の中の老人がいう。
「女を付けろ」
「はっ」
ボンネスピラーは店を出て行く。
ボンネスピラーがフードの女の後をつけて行くと、女が川岸に止めてあった小舟に乗り移って川下に下って行く。
急いで追い掛けるボンネスピラー。
その時、路地裏から飛び出してきた男とぶつかってしまうボンネスピラー。
「すまねー」
謝るボンネスピラーに振り向きざまに刀を抜いて袈裟懸けに斬る。
しかし斬られたはずのボンネスピラーから血は吹き出ていない。
峰打ちだったようだが、例え峰打ちでも、鉄の棒で殴られたのと同じくらいの激痛だったはずだ。
ぐったりしてうめき声を上げるボンネスピラーを男は引きずると川へ投げ捨てた。
「止めてくれ!」老人が叫ぶ。
ボンネスピラーを殺した男の顔がはっきりと映っていた。
老人が女に言った。
「私はこの男にマーガレット様の暗殺を依頼したんだ」
「きっとボンネスピラーも誰かの依頼で殺したんだろう」
映像が消えて店の明かりは蝋燭だけになり、薄暗くなった店の中で女は上着を脱ぐと老人に返した。
「疑って悪かったな、お嬢さん」
「ではもうお金は戻って来ないな」
「お嬢さん、私からの依頼を受ける気はないかね?」
「・・・」
「この男の名前はレジモダ、一級の殺し屋だ」
「コイツを始末してくれればこの前、あんたから受け取った金貨の倍額支払う。お願いできるか?」
「私は殺し屋じゃない」
「・・・」
「私は人は殺さないが、ギロチン台送りには出来るぞ?」
「・・・うん、それでいい。頼めるか?」
「わかった、やってみよう。」
「そいつの、レジモダの住処を言え」
老人がメモを渡す。女はジッとメモを見つめて
「本当に、ここにいるのか?」
「ああ、そこは貴族の屋敷の地下室にある隠し部屋だそうだ。当の貴族も自分の屋敷の地下に部屋があるのを知らないらしい」
「わかった。必ずギロチン台送りにしてあげよう」
老人が机の上に金貨を置いて行く。どんどんと積み上げて・・・。
女が手で制する。
「報酬はいらない」
そう言って店を出て行った。
26
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる