《完結》悪役令嬢の侍女に転生しました。

ぜらちん黒糖

文字の大きさ
21 / 24

㉑ラエッカ王太子

しおりを挟む
王族主催の社交パーティーが終わってからカタリンの周りの環境は激変したと言っても過言ではない。

まずは・・・あのマリカの妹であるサリカがスミデル王太子と婚約をした。

社交パーティーでサリカから王太子に声を掛けて話をしている内に自分の姉や兄の話になり

「兄上には困ったものだよ。本来なら私は気楽な次男坊のまま暮らして行けるはずだったのに」

「私もですわ。姉が、婚約者のいるバウナード様に横恋慕して余計な事をするから、私が婿を取らなくてはならなくなってしまいましたわ」

「ほんとに身内に変なのがいると苦労するよね」

「本当ですわ」

そして二人はいつしか恋に落ちて・・・婚約した。

婚約はしたのだが、サリカが将来の王太子妃になるわけではなかった。

スミデルはなんと王太子の座を弟のラエッカ王子に譲って、自分はサリカの家に婿養子として入ることを希望したからだ。

国王陛下も説得したが本人の意思は固く、断念した。

サリカは別にどちらでも良かったのでスミデルの好きにさせた。

サリカとスミデルは同じ年(現在中等部三年生)なので二人が高等部を卒業したあと結婚することになっている。

そしてソジャコッド(高等部一年生)とアヴィス(中等部三年生)が意外にも親密な関係になり二人もまた婚約した。

カタリンが以前ソジャコッドに、アヴィスがお前の事を美人だと言っていたぞとサービスで言った一言が二人を結びつけたようだ。

そして、そして一番のびっくりはマーガレット様とユランズの二人が婚約をしたことだ。

キッカケはもちろん朗読会でのユランズの書いた話がマーガレットの心を打ち、二人もまた親密な関係へと進んで行った。

一人娘であるマーガレットの元へ婿養子に入ることになっている。

ユランズはマーガレットの下僕から旦那様へと昇格することに決まった。

もう今の世界は、前世ではなかったストーリーになって進んでいる。

カタリンにとって男との恋愛事は今のところどうでもいい。とにかくギロチン送りにならないように気をつけて生きて行くことがカタリンの目標になっていた。

月日が経つのは早い。
マーガレット、ソジャコッド、カタリンの3人は高等部の三年生になっていて、卒業式はもう目の前までやって来ていた。

前世のマンガ本ではその卒業式の前日にギロチン台送りとなって処刑された。

しかしもうそれはないだろうとカタリンは思っている。

マーガレットはもうバカ令嬢ではないし、婚約者もいる。

だからマーガレットが問題を起こすことは考えられない。



安心していたら、現在の王太子ラエッカからお茶会への招待状が届いた・・。

参加者はユランズ、アヴィス、カタリンの3人である。

なぜこの3人なのか・・・。

共通点はただ一つ。

「3人には【前世】があること」

その3人を王城に呼びつける、ラエッカ王太子は前世のヤンキー3人の内の、残りの一人、田中と言うことになる。

マーガレットとソジャコッドがこの王太子からの招待状に疑問を持つのは当然である。

早速マーガレットに呼び出された3人は今、特別休憩室にいた。

ユランズは三月に学校を卒業して只今はマーガレットの屋敷で執事見習いをしている。

マーガレットと結婚すれば将来、爵位を受け継ぐので今のうちに執事見習いをして、屋敷の仕事を勉強しているのだ。

しかし、今日はマーガレットに呼ばれたので学校へ出て来ている。


マーガレットが3人に尋ねる。

「あなた達、なぜお茶会にお呼ばれされたのかわかる方はいる?」

3人は顔を見合わせながらカタリンが答える。

「ユランズとアヴィスは本を書いたりしているし、お芝居も出来るし色々と聞きたいことがあるのではないですか?」

「では、あなたはなぜ呼ばれたのですか?」

マーガレットがカタリンに尋ねた。

カタリンは真面目な顔で答える。

「恐らくラエッカ王太子は私に一目惚れをしたのではないかと思います。」

マーガレットが真剣な顔で

「さ、カタリン、次は真面目に答えて下さいね?」

「・・・、呼ばれた理由はわかりません」

ソジャコッドが口を挟む。

「ラエッカ王太子は男色家じゃないでしょうねえ」

「ソジャコッド、なにを言ってるんだ?」カタリンが聞き返す。

ソジャコッドは唇を尖らせて

「だってえ、私のアヴィスは可愛いから、心配だわあ」

するとマーガレットまで

「ユランズも中々色男だしねえ」

カタリンが少しだけ頬を痙攣させてマーガレットとソジャコッドに言った。

「私は女ですけど?」




ラエッカ王太子主催のお茶会がやって来た。

お城の中庭に設けられた休憩所には、大きな丸いテーブルが置いてあり白いテーブルクロスが敷いてあった。

ユランズとアヴィスとカタリンの目の前には熱い緑茶と小皿に羊羹が置いてあった。

「カタリン、アヴィス、もう間違いないぞ、ラエッカ王太子は田中だ」

「そのようだな」アヴィスも答える。

「まてまて、油断するな、向こうが名乗るまでこちらからは田中の名前を出すなよ」

カタリンが釘を刺す。

二人が軽く頷いたところでラエッカ王太子が現れた。

「やあ、待たせたね」

すぐに3人は立ち上がってラエッカ王太子と挨拶を交わし椅子に座った。

3人はラエッカ王太子に勧められて羊羹を食べ、お茶を飲んだ。

ラエッカ王太子が3人に尋ねる。

「この飲み物と食べ物の名前、知ってる?君たち」

3人が頷くとラエッカ王太子は

「この羊羹にこのお茶はとっても合うよねえ」

ユランズが辛抱出来なくなって王太子に尋ねる。

「あのラエッカ王太子にお尋ねしたいことがあります」

突然のユランズの発言にカタリンとアヴィスがユランズの顔を見た。

しかしラエッカ王太子がユランズを手で制して言った。

「ユランズ、そしてアヴィス、カタリン、君たちを今日ここへ呼んだのはあるお方に頼まれたからだ」

そう言うとラエッカ王太子は立ち上がって

「あ、来た来た」

ラエッカがユランズたちの後ろを見て

「父上、お待ちしておりました」

「うむ、済まなかったなラエッカ。」

「いいえ、父上。それでは失礼致します」

「うむ、ご苦労」


国王陛下はラエッカと交代して椅子に座り3人を見た。

固唾を飲んでジッとしているカタリンたち3人に話しかける。

「君たちが交通事故にあったのは覚えているかね?」

ユランズが国王陛下に

「田中・・なのか?」

「田中?ああ、一人オロオロと事故現場にいた高校生がいたっけな」

温和な表情から冷たい表情に変わった国王陛下の姿が、黒い霧のようなもので覆われ始め、真っ黒になり、やがて段々と黒色が薄くなって現れた姿は・・・

「やあ、はじめまして」

「君たちを探していたんだぞ?」

「まさかこんな世界に来ているなんてね。もう、びっくりだよ」

カタリンが声を絞り出すように

「お前は・・・誰なんだ?」

「見ての通りだ」

男はフードを被り、深い黒色のローブで全身を覆い隠して右手には大鎌おおがまを握っていた。

「私は死神だ」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...