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第二章
⑪軋む天井の真実
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翌日は何事もなく一日の仕事が終わり、翔太は事務所へタイムカードを押しに行った。その時事務員の女性に声をかけられる。
「西村さん、今度の金曜日、田端さんの歓迎会をすることになったんだけど、出席しますか?」
「えっと……」
「出席するなら1人3千円出してほしいんだけど」
迷ったが、出席することにした。財布から3千円を取り出して手渡した。
帰り道、自転車をゆっくりと漕ぎながら進む翔太。なんとなく帰るのが気が重くなってきた。
( 歓迎会のこと、美知留になんとなく言いにくいな )
まだ、純子が引っ越してきてから、今日でまだ3日なのに、とても純子の存在感が大きくなっていることに翔太も気づいていた。
「やっぱり、欠席にした方が良いかもしれない。明日、取り消そうかな……」
この日、翔太は家に戻っても、美知留には歓迎会のことを切り出せなかった。
翌朝、いつものように出かける翔太。玄関口で不意に美知留が翔太にキスをした。
予想外の美知留の行為に唖然としていると、美知留が微笑んで言った。
「行ってらっしゃい」
「う、うん、行ってきます」
自転車置き場へ自転車を取りに行って、そのまま通りに出ようとして、なぜかアパートの2階を見上げると通路に美知留が出て翔太に手を振っていた。
翔太も軽く手を上げ、そのまま会社に向かった。
(駄目だ、やっぱり今日、歓迎会は欠席しますと言おう)
会社の近くまで来た時、前方を純子が歩いていた。
素通りするわけにもいかず、声をかけた。
「おはようございます」
「あ、西村さん、おはようございます」
そのまま通り過ぎようとしたら純子に声をかけられる。
「西村さん、歓迎会出てくれるんでしょ?」
翔太がゆっくりと自転車を止めて、バツの悪そうな顔で返事をした。
「あ、それが、そのつもりだったんだけど、用事があって出られなくなったんだ。ごめんね」
純子は顔を曇らせると、「そうですか、用事があるのなら仕方ありませんね。ではまた、飲み会でもあった時はご一緒しましょうね」
「あ、うん、じゃ……」
そう言って自転車で先に会社に入って行った。
彼女が来る前に女性事務員に報告しておこうと事務所に入ったが、まだ女性事務員は来ていなかった。
「仕方ない、後で言おうか」
しかし、いつの間にか後ろに立っていた純子が声をかける。
「私が、連絡しておきますから。大丈夫ですよ、西村さん」
ハッとして振り向いて返事をする翔太。
「あ、本当?じゃあ、お願いするね」
「はい」
翔太はタイムカードを押すとすぐに倉庫へ移動した。
昼休憩の時、倉庫の中で休んでいた翔太の前に純子が現れた。
「はい、西村さん」
目の前に千円札が三枚出されていた。
「歓迎会の参加代三千円」
「あ、ありがとう、わざわざすまない」
「いーえ、因みになんですけど、用事って何があるんですか?」
口ごもる翔太。その雰囲気に焦った純子がすぐに謝った。
「ごめんなさい、立ち入ったことを聞いて。あ、じゃ、私行きますね」
しかし翔太は、思わず純子を呼び止めてしまう。
「妻が……」
「え?」ゆっくりと振り向く純子に翔太が言葉を続ける。
「妻が、田端さんに嫉妬するといけないから、欠席することにしたんだ」
純子は、意外な言葉を聞いたなという表情をした。
「へぇ……美知留さんが……」
そして、純子が衝撃の言葉を言う。
「だったら、歓迎会に出席した方が夫婦のためにはよろしいんじゃないですか?」
「え?」
「そのほうが、夫婦の営みが激しくなっていいんじゃないかしら?」
顔を真っ赤にして口ごもる翔太に純子が話しかける。
「天井が、きしむんですよ。西村さんが奥さんを抱いてる時の……」
純子が冷ややかに笑みを浮かべて言った。
「まぁ、私は気にしてませんから、性欲はしっかりと吐き出してくださいね」
そう言って、事務所へ戻っていった。
純子の揺れるお尻に視線を向けて、翔太が心の中でつぶやいた。
(やっぱり、陽子さんを思い出してしまう。だけど、陽子さんはあんな大胆な言い方はしなかったけどな……)
「西村さん、今度の金曜日、田端さんの歓迎会をすることになったんだけど、出席しますか?」
「えっと……」
「出席するなら1人3千円出してほしいんだけど」
迷ったが、出席することにした。財布から3千円を取り出して手渡した。
帰り道、自転車をゆっくりと漕ぎながら進む翔太。なんとなく帰るのが気が重くなってきた。
( 歓迎会のこと、美知留になんとなく言いにくいな )
まだ、純子が引っ越してきてから、今日でまだ3日なのに、とても純子の存在感が大きくなっていることに翔太も気づいていた。
「やっぱり、欠席にした方が良いかもしれない。明日、取り消そうかな……」
この日、翔太は家に戻っても、美知留には歓迎会のことを切り出せなかった。
翌朝、いつものように出かける翔太。玄関口で不意に美知留が翔太にキスをした。
予想外の美知留の行為に唖然としていると、美知留が微笑んで言った。
「行ってらっしゃい」
「う、うん、行ってきます」
自転車置き場へ自転車を取りに行って、そのまま通りに出ようとして、なぜかアパートの2階を見上げると通路に美知留が出て翔太に手を振っていた。
翔太も軽く手を上げ、そのまま会社に向かった。
(駄目だ、やっぱり今日、歓迎会は欠席しますと言おう)
会社の近くまで来た時、前方を純子が歩いていた。
素通りするわけにもいかず、声をかけた。
「おはようございます」
「あ、西村さん、おはようございます」
そのまま通り過ぎようとしたら純子に声をかけられる。
「西村さん、歓迎会出てくれるんでしょ?」
翔太がゆっくりと自転車を止めて、バツの悪そうな顔で返事をした。
「あ、それが、そのつもりだったんだけど、用事があって出られなくなったんだ。ごめんね」
純子は顔を曇らせると、「そうですか、用事があるのなら仕方ありませんね。ではまた、飲み会でもあった時はご一緒しましょうね」
「あ、うん、じゃ……」
そう言って自転車で先に会社に入って行った。
彼女が来る前に女性事務員に報告しておこうと事務所に入ったが、まだ女性事務員は来ていなかった。
「仕方ない、後で言おうか」
しかし、いつの間にか後ろに立っていた純子が声をかける。
「私が、連絡しておきますから。大丈夫ですよ、西村さん」
ハッとして振り向いて返事をする翔太。
「あ、本当?じゃあ、お願いするね」
「はい」
翔太はタイムカードを押すとすぐに倉庫へ移動した。
昼休憩の時、倉庫の中で休んでいた翔太の前に純子が現れた。
「はい、西村さん」
目の前に千円札が三枚出されていた。
「歓迎会の参加代三千円」
「あ、ありがとう、わざわざすまない」
「いーえ、因みになんですけど、用事って何があるんですか?」
口ごもる翔太。その雰囲気に焦った純子がすぐに謝った。
「ごめんなさい、立ち入ったことを聞いて。あ、じゃ、私行きますね」
しかし翔太は、思わず純子を呼び止めてしまう。
「妻が……」
「え?」ゆっくりと振り向く純子に翔太が言葉を続ける。
「妻が、田端さんに嫉妬するといけないから、欠席することにしたんだ」
純子は、意外な言葉を聞いたなという表情をした。
「へぇ……美知留さんが……」
そして、純子が衝撃の言葉を言う。
「だったら、歓迎会に出席した方が夫婦のためにはよろしいんじゃないですか?」
「え?」
「そのほうが、夫婦の営みが激しくなっていいんじゃないかしら?」
顔を真っ赤にして口ごもる翔太に純子が話しかける。
「天井が、きしむんですよ。西村さんが奥さんを抱いてる時の……」
純子が冷ややかに笑みを浮かべて言った。
「まぁ、私は気にしてませんから、性欲はしっかりと吐き出してくださいね」
そう言って、事務所へ戻っていった。
純子の揺れるお尻に視線を向けて、翔太が心の中でつぶやいた。
(やっぱり、陽子さんを思い出してしまう。だけど、陽子さんはあんな大胆な言い方はしなかったけどな……)
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