《完結》辱めを受けた女は復讐の狂気に人生をかける

ぜらちん黒糖

文字の大きさ
15 / 28
第二章

⑮ペールピンクのマニキュア

しおりを挟む
純子は、玄関に突っ立っている翔太に上がるように言った。

「翔太、早くこっち来て」

「え?う、うん」

翔太が純子に言われるまま上がると、浴室に連れて行かれ、水で洗い流すように言われる。

仕方なく、靴下を脱いで、ズボンの裾を太もも近くまで上げた。そこへシャワーのお湯をかけて洗い流す。

「いってぇー!」

傷口がしみて思わず声が出る翔太。

「我慢しなさい、男の子でしょう?」

「……」

そして、タオルで傷口と足を拭いて、キッチンに連れてくると、翔太を椅子に座らせ傷口に消毒液をかけて手当した。

「翔太のところには消毒液とかあるの?」

「ない。怪我なんてしないから」

「本当に落ち着きがないんだから、あなたは」

「絆創膏はどうする?」

「いや、いいよ、それはあるから」

「そう、なら良いけど……でも明日はデートはやめにしましょう」

「……」

「明日はゆっくり休んでね」

「いや、家にはいられないよ。有給勝手に取っちゃったし、それにこの位の傷で休んだら変だろう?」

「それじゃあ、デートするの?」

「ああ、約束だからな」

「ううん、やっぱりやめにしておきましょう。さ、もう2階に行きなさい」

翔太はなぜか立ち上がらずに、椅子に座ったまま純子に話しかけた。

「陽子さん」

「……」固まる純子。

翔太が話を続ける。

「『陽子さん』っていう人と、俺、結婚前に同棲していたことがあるんだけど……その人が、純子さんに似てるんだ、とても」

純子はピクリともせず、ただじっとして翔太の声に耳を傾けていた。

「なんとなくさ、まぁ、雰囲気は似てるんだけど、陽子さんはもう少し細くて髪も長くて、いつもマニキュアをしていた、ペールピンクっていうの?淡いピンク色の奴」

そっと指を隠す純子。

「さっきのさ、純子さんが言った言葉、『我慢しなさい、男の子でしょう?』って」

「……」

「俺、よくそう言って叱られたんだ」

純子がか細い声で聞き返す。

「懐かしがってるけど、それならどうしてその人と別れたの?」

「運命だと思う」

「え?」

「結ばれる運命ではなかったんだと思う。本当に些細なことで家を飛び出したんだよね。今だったら、陽子さんの言う通りにしていたと思う。あ、その頃俺、陽子さんのヒモ状態だったから、あはは」

翔太は立ち上がると潰れたケーキの箱をつまみ上げた。

「ありがとう、手当してくれて」

ズボンを直し、玄関で靴を履いた。

「じゃあ、デートは中止ということで」

ドアノブに手をかけた時、玄関のドアが叩かれた。

コンコン

「純子さん、205の西村ですけどぉ」

美知留がドアの外に立っていた。

コンコン

「純子さーん、西村ですぅー」

別に悪いことをしていたわけじゃないのに……翔太の顔が引きつっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...