《完結》辱めを受けた女は復讐の狂気に人生をかける

ぜらちん黒糖

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第二章

⑯君は何者なんだ?

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105号室の前で立っている美知留。

「いないのかなぁ、やっぱり今度、電話番号を聞いておこうかな」

その時、トイレの水が流れる音が聞こえた。

(あ、どうしよう、純子さん、トイレだったんだ……)

そしてドアがゆっくりと開いて純子が顔を出した。

「こんばんは、純子さん」

「どうかしたの?美知留さん」

「はい、ちょっと図々しいお願いなんですけど、里芋がありましたら、2つか3つ分けて欲しいんですけど……」

「里芋?……あるけど…」

「すみません、明日買ってお返しますから、分けてもらえませんか?」

「いいわよ、ちょっと待っててね」

そう言って純子はドアを閉めようとしたのだが、美知留はドアの隙間に体を入れて部屋の中を覗き込んできた。

「うわぁ、純子さんの家は物が少ないんですね」

「え、ええ、1人ですからね」

純子は小さな冷蔵庫のそばにある、プラスチック製の三段ラックの下の段から、6個、ビニール袋に入れて美知留に手渡した。

「はい、どーぞ」

「ありがとう、へへへ、2人分も」

里芋を受け取ったらすぐに帰るのかと思ったのに、美知留がすぐに帰ろうとしなかった。

「ん?どうかした?」

「いえ、この匂い…」

「?、え、あの、私の家って臭う?」

「は?まさか、そんなわけないじゃないですか。あ!そうだ、消毒だ!」

部屋の中で靴を持ったまま息をひそめている翔太が、耳を澄ます。

「微かですけど、病院の匂いがしたから」そして自慢そうに話を続けた。

「私、匂いには敏感なんです、子供の時から。純子さん、どこか怪我でもしたんですか?」

純子は平然と笑って返事をした。

「いいえ、先ほどゴキブリをしとめたんですけど、気持ちが悪くて、ゴキブリがいたところを消毒液で拭いたの」

「今時、消毒液を用意しているなんて、純子さん、昭和の人みたいですね」

「ま、私のことおばあさんみたいに言って!」

「冗談ですから、怒らないでください」

「お味噌汁作るつもりだったんでしょ?早くお部屋に戻らなくていいの?」

「あ、いっけない、それじゃあ、失礼します。明日、里芋、返しますから」

それで帰ると思ったら美知留が眉をひそめてつぶやいた。

「ケーキ、潰しちゃったんですね」

「え?」

翔太が持っていた、潰れた白い箱が、テーブルの上に置かれていた。

純子は笑みを浮かべながら、話した。

「帰ってくる途中でつまづいちゃって、それで……」

「あ、それは残念でしたね、それじゃあまた」

美知留は帰っていった。ドアをゆっくり閉めて耳をすませる純子。美知留が階段を上がっていく音を聞いて……2階のドアが閉まる音がした瞬間、純子が部屋に向かって声をかけた。

「翔太さん、もういいわよ、出てきて」

しかし、翔太はすぐに出てこなかった。

無言で部屋の戸を開けると翔太が呆然と立っていた。

「翔太さん?」

翔太の手には写真立てが握られていた。

「ねえ純子さん、どうしてこの写真がここにあるんだ?」

写真には、翔太と陽子が笑顔で並んで写っていた。

翔太の表情は、険しく、そして悲しい顔をしていた。

「教えてくれないか?純子さん、君は何者なんだ?」




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