《完結》転生したら女から男になっていました♥

ぜらちん黒糖

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第四章

㉑ミシェル

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 メースがゆっくりと目を開けた。

「……ここは、どこだ?」

 フローリアが心配そうに、

「気がついたのね?ここは占いのお店よ。メースは玄関へ向かう途中で引き返して、そこで気を失ったの」

 上半身を起こして、
「ねえ、なんで俺たちこの店に来てるんだ?」

「覚えてないの?」

「ああ」

「メースが言い出したのよ?私たちに子供ができないのを占ってもらおうって。それでマリオとミシェル を誘ったんじゃない」

 そこへ店主ががやってきた。

「やあ、気がついたかい?」

「はい。でも記憶がちょっとないんです」

「倒れたときに、頭でも打ったんだろう。気にする必要はないよ」

 店主が「君たちは、今日はもう帰って休んだほうがいいかもしれないね」

「どうする?メース」

 フローリアが尋ねると、

「うーん、気分は悪くないんだけど、念の為、今日は占いはやめておこうかな」

 メースは立ち上がると、フローリアと一緒にマリオとミシェルに挨拶をして帰って行った。

 店主がマリオとミシェルを隣の部屋へ案内する。

「さて、今日は何を占ってほしいのかな?」

 マリオとミシェルが顔を見合わせて、マリオが口を開く。

「私たち、結婚して10年経つんですが、子供に恵まれません。この先私たちは親に成れるんでしょうか?」

 ミシェルも質問する。

「過去の話なんですけど、先程いたフローリアがマリオに何かを相談したんですけど、それを知ることはできますか?」

 店主は、「占いは未来を占うから、過去の話は占えないね。それに過去の話ならマリオさんに聞けばいいじゃないか?」

 ミシェルは口を尖らせて「マリオはなにも覚えていないんですよ」

 店主は店の奥を振り返り、

「おーい、デイモス」

 奥からデイモスが現れて店主の隣に座った。

「以前にも申し上げましたが、私は占い師ではありません。魔法使いです」

 デイモスがそう言った瞬間、ミシェルが消えた。

「え?あの、ミシェルはどこへ行ったんですか?」

「前世を見に行っている」

「……、では、私は?なぜここにいるんですか?」

「子供が出来なかった理由はミシェルさんにあったからです」

「一体、ミシェルにどんな理由があったんですか?あ、戻って来たら聞けばいいのか」

「残念ながらこちらに戻ってきたら、記憶は本人にもありません。ただ、微かに記憶が残る場合もあります。あなたのように」

 マリオが驚いて聞き返す。

「私のように?」

「ええ、あなたミシェルさんにメイドの格好をさせるのがお好きでしょう?」

 顔を真っ赤にして、

「どどどどどうしてそれを?」

 店主が側に置いてあったワゴンからコーヒーカップを取り出して、

「さあ、今コーヒーを入れますから、これを飲んでミシェルさんが戻るのを待ちましょう」と言った。


 その頃ミシェルは、街中を急ぎ足で歩いていた。

 ここはどこなの?その時、建物のガラスに移る自分の姿を見た。

「あ」

 思わず立ち止まりじっとガラスに移る自分の姿を見つめるミシェル。

「私…麻里奈だ。思い出した。」

 ブレザーの制服に短いスカートをはいていた。

 周りを見渡して、「今日は何日だっけ?」

 カバンからスマホを取り出し、日付を調べる。

「7月10日…」私が死んだ日だ。

 不味い、このままじゃ私、また殺されてしまう。

 逃げなくちゃ!

 そうだ、バスに乗ろう。どこ行きでも構わないわ。

 目の前にバス停があった。

 バスが来る方向へ目をやると…

 あ、バスが来た。ラッキー。

 すぐにバスに乗り込み、後部座席に陣取った。

 ほっとして窓から街中の景色を見ていた。

 その時バスが急ブレーキを掛けて止まった。

 どうしたんだろう?誰かが乗り込んできて運転手と口論している。

 社内で悲鳴が起きた。乗り込んできた男が運転手を持っていた包丁で刺したのだ。

 男は私の名前を叫びながら真っ直ぐに向かって来た。

「麻里奈!見つけたぞ!」

 怖くて声がでない。駄目、このままじゃ私、また殺される。

 男が麻里奈の隣に座った。
 乗客は一斉にバスから降りていった。刺された運転手も抱えられてバスから降りた。

「ひひひ、俺、とうとう人を刺しちゃったよ。それも全部お前のせいだ。お前が俺から逃げるからだ」

「……」

「おい、なんで返事をしない?お前、俺のことが好きなんだろう?好きなのになんでそんなに嫌そうな顔をするんだ?」

 私、こいつのこと誰か知らないんだけど、なんで私の名前まで知っているの?

「あ、そういうプレイか…」

 え?何のこと?

「麻里奈が怯えた被害者役で、俺が血に飢えた犯人役、そうだろ?麻里奈」

 狂ってるわ


 バスを警察官が取り囲み始めた。

「うお!すげえ!本物の警察官だぞ麻里奈」

 警察官がこの男を説得しに一人乗り込んできた。

 だが男と話が噛み合わず、膠着状態になった。

 その時男が、持っていたカバンからペットボトルを取り出して麻里奈に水を差し出した。

「飲みなよ、喉、乾いただろう?」

 麻里奈が躊躇していると、

「大丈夫、毒なんか入ってないから。キャップ確かめてみなよ、ちゃんと未開封のままだろう?」

 麻里奈はよく確かめてキャップを回した。

「カチ」

 未開封の証拠の音がした。安心して一口飲んだ瞬間、麻里奈は死んだ。

 すぐにそのペットボトルを奪うと男も口にして、其の場で血を吐き死んでしまった。



 目が覚めると麻里奈は、ミシェルに戻っていた。

 薄暗い場所に立ち、目の前に、黒尽くめの服を着てフードを被り、大鎌を持った男が立っていた。

「ここはどこ?」

「あの世とこの世のはざまだ」

「さっきのは何?私の前世なの?」

 そう尋ねた瞬間、ミシェルに向かって男が大鎌を振り下ろした。

「キャーーーー!」

 思わず悲鳴をあげて顔を背け、目をつむるミシェル。

「……、え?あれ?なんともない」

 ミシェルの頭の上を、魂がプカプカと浮かんでいた。

 男が言った。

「私は死神だ」

 ミシェルは思わず後退りする。
 死神はそんなミシェルを見てちょっと不満そうにするが、続けて説明する。

「そしてそこに浮いている魂は上野麻里奈の魂だ。お前と一体化していた」

「私の前世ではなかったの?」

「お前の場合は違う、先ほどお前が体験したのは上野麻里奈の記憶だ」

「麻里奈はよっぽどお前のことが好きだったのだろう。お前と離れたくなくて、お前が妊娠しないようにしていたのだ」

「どうしてそんなことを?」

「お前が妊娠すると、麻里奈の魂は、お前の体からはじき出されてしまうのだ」

「そうだったの…」

 麻里奈の魂がミシェルの顔の前に来てペコペコしている。

「ごめんと言っている」

「麻里奈はこれからどうなるの?」

「天国へ行って順番が来たらまた人間界へ降りていくことになる」

「そうなんだ」ミシェルは麻里奈の魂に向かって、

「今度は友達になろうね麻里奈」

 魂から水滴が落ちてきた。

「嬉し泣きのようだ」

 死神は麻里奈の魂を手でこいこいと手を振ると魂は、死神の側に来た。

「ミシェル、これで子宝に恵まれるようになるだろう」

 そう言うと死神と麻里奈の魂は消えた。

 そして、ミシェルも目の前の景色がユラユラとしてきて、気がついたら、テーブルの上に伏せていた。


 突然ミシェルが現れて、マリオがコーヒーを喉につまらせる。

「ゴホゴホ!」

 目を開けて起き上がるミシェルは、ボーッとした顔で、

「あれ?私…あ、思い出せない」

 マリオが優しく、

「無理に思い出さなくていいよ。体は大丈夫だった?」

「ええ、大丈夫」

「あ、フローリアが私にした相談事ってわかった?」

「え?何のこと?」

「うーん、なんでもない」

 店主がマリオに言った。

「金貨四枚になります」

「あ、はい。金貨四枚ね。ん?でも今回は高いな。ま、いいか」

 マリオとミシェルも帰って行った。

 店主がデイモスに尋ねた。

「死神様って天使みたいですね」

「そうかもな……」


 夜、寝室のベッドに腰掛け、座っているフローリアを、椅子に座りワインを飲みながら見ているメース。

 〘なぜか今日は、心が軽い。そして腰も軽い〙

 ワイングラスをテーブルに置いて、ベッドに腰掛けているフローリアの隣に座ると、フローリアを優しく抱きしめ、ベッドに押し倒した。

 びっくりしてメースを見るフローリアは、

「どうしたの?急に」

「どうもしないさ、ただ、君がほしいだけさ」

「メース、あなた、頭打って少しおかしくなってるんじゃないの?」

「ふふふ、そうかもしれないが、私が変なのは頭を打ったからじゃない」

「……」

「君があまりにも魅力的すぎるからさ」

 おでことおでこを合わせるフローリア。

「熱はないみたいね。そうと分かれば」

 フローリアがメースをしっかりと抱きしめ、ベッドへ引きずり込んで行った……


 一方マリオとミシェルも寝室のベッドで横になっていた。

「ねえ、マリオ」

「なに?」

「私、今日占いのお店に行って良かった気がする」

「そう、それはよかったね」

「私、どこへ行っていたんだろう?」

「さあ、占い師さんは、君が前世を見に行っていると言っていたよ」

「全然、覚えていないんだよね、私」

「でも、どこへ行っていたかは知らないけど、今の君は何だかすっきりとした顔をしてる」

「そうかな」

「うん」

「ねえ、私の勘なんだけど子供が出来そうな気がするの。マリオ、今からしない?」

「い、い、いいの?今日はミシェル、疲れているんじゃないの?」

と言いながらマリオはすでにミシェルの胸を触っていた。

「本能むき出しのマリオ好きよ」

ミシェルがマリオに覆いかぶさっていった。


3ヶ月後、二組のカップルは見事、おめでたとなり出産に向けて幸せ一杯の4人だった。


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