菊智夕

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「元気にしてたかぁ?」

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また休みになった。

いつものように、考えたくないことを考える。

何か食わねぇと。

財布を持って、スマホを持とうとした。

そのスマホがなった。

画面を見たとき、心臓が止まったかと思った。



雨宮だ。

出るんだ。

電話に出た。

「おぅ、雪人。元気にしてたかぁ?」

口調は変わっていない。

が。

死にそうな声だった。

思わず叫ぶように怒鳴った。

「おい! 真琴は! 真琴はどうしてる? 無事か?」

「えー、無事だよ? どうしたの、雪人?」

いや、無事じゃない。

お前は死にそうな声をしている。

けど、こいつが嘘をつけないのも知っている。

取り敢えず、生きてはいる。

よかった。

真琴が生きてる。

いや、よくはねえ。

「何があったんだ?」

「んー? 何もないよ? でもさ、住所教えてよ」

は?

「来るのか?」

「うん。今日は仕事?」

冷静になりたかった。

「いや。休みだ。家にいる」

できるだけ落ち着いて、住所を教えた。

「じゃあ、真琴も連れて行くから。30分くらいで行くからね」

「おい」

電話は切れた。



真琴も来る。

それがわかったら、酷く苦しくなった。

真琴の顔を見れたら、安心するかもしれない。

けど、どういうことなんだ?

もし、真琴が俺とやり直したいと言ったら。



煙草の箱を開けた。

ああ、一昨日で切れていた。

最近はあまり吸っていなかった。

胸が悪くなるから。

新しい箱を開けて、吸った。

不思議と体は大丈夫だった。

それよりも、思考がグルグル回ったり、飛び飛びになって、まとまらなかった。



雨宮が死にそうで、真琴が元気なら、復縁かもしれない。

けど何かおかしい。

本当に復縁なら、真琴1人でくるだろうし。

単純には喜べなかった。

かと言って、真琴に電話をするのもためらった。

雨宮に掛け直すのも、無駄だろう。



長く、まとまらない思考に耽っていた。

やっと、インターホンが鳴った。

1階のエントランスについたのだろう。

「入れ」

俺の声はかすれていた。

また声を出すのが嫌だったから、玄関のロックは外した。

チャイムが鳴っても放っておいたら、勝手に入ってくるだろう。
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