菊智夕

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「服も選んでほしいんだ」

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喉が乾いて目が覚めた。

左肩に手の感触がある。

目をやると、雨宮の手が当たっていた。

気色悪い。

雨宮は自分が腕枕した真琴を見ていたが、俺に気づいた。

「起きた?」

「ああ」

起き上がって服を着ていく俺に、雨宮が話しかけていく。

「真琴と俺、今終わったばかりだから。まだ真琴、寝てるよ」

いろいろと聞きたいことはある。

考えながら服を着ていく。

雨宮は1人で喋る。

「ねぇ、雪人。また3人で暮らそうよ」

そんな気はした。

「なんでだ?」

「真琴が雪人を呼ぶんだよ」

…なんだ、それ。

「いっつも雪人を呼ぶ。あと、真琴、1人相手だと満足しないのかなぁって」

「そんなことはねえだろ」

「それとさ、服も選んでほしいんだ。髪も切ってほしいし」

確かに伸び放題だな。

「服ぐらい自分で選べ。髪は散髪に行け」

「ダメなんだよ」

「何が」

「俺が選んだ服じゃ、真琴、俺を見なくなるだろぉ?」

座って、ため息をついた。

「髪は。切りに行ってないのか?」

「うん。行ってない」

「メシは? ちゃんと食ってんのか?」

つうか、食わしてんのか?

「だいたい食べてるよぉ」

だいたい?

ああ、そうか。

こいつら。

「どうせずっとやりっぱなしなんだろうが」

「んー、そりゃあ、1日中ヤってることもいっぱいあるよ?」

「メシも食わずにか」

またため息が出そうになる。

「んー」

「あとお前ら」

「ん?」

「やたら手足にジャラジャラつけてんな」

「あぁ、これぇ? いいでしょ? 全部真琴と一緒なんだぁ」

2人とも両手足に、それぞれ3つも4つも、チェーンやら輪っかやら、シルバーをつけている。

まあ、そのくらいならいいんだが。

そのくらいでは終わってねぇんだろうな。

けどまあ。

真琴が俺の名前を呼ぶのか。

そうか。

ああ。

喉が渇く。
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