なんで俺のこと好きになってくれないの

菊智夕

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「旨そうな魚だな」

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起きたら、真琴も雨宮も寝室にいない。

真琴は寝るのが早いから、起きるのも割りと早い。

雨宮は睡眠時間が短い方らしい。

いつもの朝だ。

もう9時過ぎか。

服を着る。



寝室を出ると、雨宮はキッチンで朝食を作っていた。

掃除、洗濯は、もう終わったらしい。

そういうところは、こいつ凄えと思う。

感謝もしている。

真琴はタブレットに向かって仕事をしている。

「おはよう」

3人とも挨拶をする。

変に平和だな。

もうこれが日常になっている。

俺は真琴の右隣り、いつもの椅子に座る。

スマホでニュースを読む。

LINEとかも返しておく。

全部はできなかったが、先に雨宮が食事を出してきた。

雨宮は真琴に手伝わせない。

頑なに。

今はもう、真琴も何もしない。

タブレットを片付けるだけだ。

俺もスマホをしまう。

雨宮は必ず俺の食事を一番に出す。

それから真琴の分、最後に自分の分だ。

白飯も全員分並べたら、席に着く。

「旨そうな魚だな」

俺がそうつぶやくと、雨宮は嬉しそうに笑って言う。

「でしょ? はいじゃあ、いただきます」

真琴も俺も手を合わせ、いただきますと言った。



事務所に行く途中、歩きながらいろいろ考えていた。

真琴は雨宮のメシに惚れてんのか、体に惚れてんのか、今はどっちなんだろうな。

1回抱かれたら情が移るんかな、やっぱり。

特に。

雨宮の服装が落ち着いてから、真琴も雨宮になびくようになったな。

見た目か。

好きになっていいかと聞かれて、いいって答えたのは俺だから、仕方がないとは思う。

けど。

もし、もっと見た目のいい奴が現れたら、そっちに行くんだろうか。

雨宮は恋人だと言い張るが。

どう見てもセフレでしかないだろ。

だから俺は変なところで許してるんだろうか。

いやしかし、真琴が仕事して、雨宮が家事をやれば、案外似合いの夫婦とかになるのかもしれん。

雨宮のことはよくわからねえ。

俺に対していろいろ買ってきたり、言うことを聞いたり。

メシも朝、焼き魚が多いのは、俺が好きだからだと言っていた。

一番わからん。

何なんだろうな。

家族みたいなもんなんかな。



俺も最近、調子に乗り過ぎていたか。

最近、ちょっと真琴に悪ふざけしていたかもな。

もっと、体だけじゃなくて。

大切にしてやりたいとは思っている。

抱いたら確かに快感は大きい。

真琴も演技とかじゃなくて、全身で感じるから、終わったあと疲れてすぐ眠るんだろう。

けど、体だけ愛しあったとしても長続きはせんだろうし。

俺は真琴ともっと、精神的な繋がりも大事にしたい。



結婚してから雨宮が現れるまで、5ヶ月くらい。

雨宮に抱かせてしまったのが、そっから半年後か。

俺だけの真琴でいたのは1年もなかった。

短え。

新婚生活、短過ぎだろ。

後悔先に立たずなんだろうな。

結婚してから1年後には雨宮、住んでるし。

家事は全部やってくれてるから、文句は言えんが。

それはそれとして。

もう一緒に住み始めて、3ヶ月にもなんのか。

家族、か。

変な話だな。



真琴は、本当に今のままでいいんだろうか。

雨宮に押し切られたことで、真琴に対しても、雨宮に対しても、俺は割りと罪悪感を感じている。

特に真琴には、悪いことをしたと思っている。



さて。

そろそろ、仕事のことに頭を切り替えるか。
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