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Their circumstances

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「叔父さん、いい歳した大人のクセにさ! 」

「……あのさ、一応僕も嘉偉より年上だし――それに嘉偉から見れば、僕は采と同じ『叔父』に当たるんじゃないのかな? 」

「やだな~達実くんの事オジサンって呼んだら、凄いヘンに感じるよ」

 クスクスと笑いながら、嘉偉は言う。

「僕たち、歳は二つしか違わないんだよ? だから僕、達実くんの事は従兄弟だって皆に言ってるんだから」

 そう告げると、嘉偉は『薬も飲んだし、何か食べた方がいいね。メイドに頼んで、何か持ってくるよ』と言い残して部屋を出て行った。

 それを見送りながら、達実はフゥと溜め息をつく。

(何だか分からないけど……もうちょっと身体が回復したら、色々頭の中も整理しないとな。采には――多分、助けてもらったんだろうし)

 タテだかヨコだかいう、男オメガにも会ったような気がする。

 すごい剣幕で怒っていたが、あいつはいったい何だったんだろう?

 それに、アレンはどうしたんだろう?

 しかしとにかく、今は具合が悪い。早く薬が効いてくれるのを待つしかないだろう。

 ベッドに体を起こすだけでも、一苦労だ。

「采――――あんた、こんな状態の僕を置いて、何処に行っちまったんだよ」

 達実は、ここにはいない男の名前を、切なげに呟いていた。

   ◇

 アレン・シン・アウラ。

 その名は、アメリカの富裕層の中でも特に際立っている。

 アルファの中のアルファと讃えられる、名門一族の首領の名前だ。

 無論、九条家も、日本のみならず世界の医学界において古くから権威を誇ってはいるが――――生憎、アウラ家とはレベルが違う。

 アウラを敵に回したならば、九条と提携する海外部門の組織は、ほぼ壊滅状態に追いやられると思われる。

 アレン・シン・アウラは、決して敵に回してはならない男なのだ。
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