ワガママで意地悪で、どうしようもなく純愛。

亜衣藍

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Love passion

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   ◇

 マンションを訪れた相手を確認して、采は意外そうに目を見張った。

「なんだと? こんな朝っぱらから誰が来たかと思ったが――――本当か? 」

『はい。如何いたしましょう? エントランスのカフェでお待ちいただいておりますが……お通ししますか? 』

 戸惑う様子のコンシェルジュに、采は逡巡したのち答えを返した。

「――――わかった。通せ」

『かしこまりました。あの……』

二人とも・・・・だ」

 そう告げると、采は嘆息して通信を切った。

(昨日、あんなケンカ腰で別れたというのに――――いったい、何を考えているんだ? )

 チッと舌打ちをして、采は不機嫌そうにソファーへ腰を下ろす。



 そう、何と、采のマンションを訪れた客は……あのアレン・シン・アウラであったのだ。

 しかも、何故か采の愛人であるオメガを伴って。

あいつ林檎が今回の騒動に加わっていた事を嗅ぎつけたのか? しかし、何で二人でオレのマンションに来たんだ? )

 何か、訴訟でも起こす気になったんだろうか。

 それならそれで、こっちも正々堂々戦ってやる。

 未成年に酒を飲ませる行為が、もう違法なのだ。しかもヤツはそれに乗じて、達実を犯そうとしたらしいではないか。

 これは立派な犯罪行為だ。

 アウラだろうと何だろうと、因縁をつける気ならば返り討ちにしてくれる。

(しかし、そうなると……達実に、あれこれと話を聞かなければならなくなるか……)
せっかく覚えていない様子なのに、そこを根掘り葉掘り聞き出して、わざわざ不快な記憶を呼び覚ますのは可哀想な気がする。

(仕方がない。示談交渉ならば手を打つ用意もあると――――こちらも譲歩を考えるか……)

 顧問弁護士に連絡を付けるべきかと考えていたところ、チンっとエレベーターの到着する音が聞こえた。

 再び嘆息し、采は腰を上げる。
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