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Love passion
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「言いたい事があるなら、早く言えばいいだろう! 」
すると、アレンは躊躇ったそぶりを見せながら、おもむろに口を開いた。
「それでは……本当に良いんだな? 」
「だから、言えといっている」
「そうか……」
アレンは頬を引き攣らせながら、ゆっくりと神妙に――――だが、とんでもない爆弾発言をした。
「彼は……リンゴは、妊娠をしている」
その言葉に、采は呆然とした。
「な……に? 」
「リンゴの父親は、君だ」
「っ!? 」
「彼はここ半年、君としかセックスをしていないという。だから、父親は君だろう。証拠もある」
アレンの衝撃のセリフに、だが、采は即座に首を振った。
「そんな、バカな! オレは避妊はしっかりとしていた。妊娠させるなんてあり得ない」
「では……彼が嘘をついていると? 」
「――――そうなるな」
そう告げたところ、それまで顔を覆って泣いていた林檎は、パッと顔を上げた。
「違うよ! 」
「なっ……」
「この子は、采の子供だ。だってオレ、采の間に本当に子供が欲しくて……ダメなのは分かってたけど、コンドームに針で穴を開けてたんだ……」
オメガは、人工授精では妊娠しない。だから、こうするしかなかったんだ――――と、切々と林檎は語った。
「采が迷惑だってのは分かってたけど、オレ、どうしても采の子供が欲しかったんだ。ゴメン! 」
「そ――んな……」
林檎の告白に、采は茫然とするしかない。
立ち尽くす采に、アレンは同情するような眼差しを向けた。
「……オメデトウと、言ってはダメのかな? 」
「い、いいや――子を身籠ったのなら喜ばしいこと、だ……だが……」
九条家の跡取り問題が、再び噴出しそうだ。
恵美と采は、嘉偉が九条を継ぐことに合意しているのだが、古い考えを持つ長老たちは未だに『九条家の跡取りがベータとは承服しかねる』などと言っている。
しかしだからと言って、アルファの達実は最初から九条を継ぐ気はないようだし。
同じく、既に四十路に入っている采も、自身はアルファであるが後継は次代に譲るべきだと思っている。
だから、今後は嘉偉をバックアップする側に回るつもりだった。
しかしその采本人に、子供が誕生するとなれば話が違ってくる。
当人たちにその気が無くても、九条を取り巻く環境は大いに騒がしくなるだろう。
「林檎……本当なのか? どうしてそんな事を――」
ギリッと歯軋りをしながら呻くように言うと、林檎は慌てて声を上げた。
「ち、違うんだ! オレ、九条の財産を狙っているとかそういう事は考えてないよ。金なんか、どうでもいいんだ! 」
「じゃあ、何が目的なんだ」
「だから、オレは――」
「――彼は、君と番になりたいんだよ」
アレンは采の背中越しに、チラリとエレベーターの方へ視線を向けると……再び神妙な面持ちで、采を見遣った。
「我々と違い、立場の弱いオメガが心から願うのは、何よりも自身の安寧だ。彼は君の番になって、心休まる場所が欲しかったんだよ。なんとも健気な話じゃないか」
アレンの言葉に、采は戸惑うように林檎を見つめる。
「……林檎、そうなのか? 」
「うん。オレを、采の番にして」
無言になる采に、アレンが駄目押しをする。
「君は、自分の子とリンゴを見捨てるつもりなのか? 」
すると、アレンは躊躇ったそぶりを見せながら、おもむろに口を開いた。
「それでは……本当に良いんだな? 」
「だから、言えといっている」
「そうか……」
アレンは頬を引き攣らせながら、ゆっくりと神妙に――――だが、とんでもない爆弾発言をした。
「彼は……リンゴは、妊娠をしている」
その言葉に、采は呆然とした。
「な……に? 」
「リンゴの父親は、君だ」
「っ!? 」
「彼はここ半年、君としかセックスをしていないという。だから、父親は君だろう。証拠もある」
アレンの衝撃のセリフに、だが、采は即座に首を振った。
「そんな、バカな! オレは避妊はしっかりとしていた。妊娠させるなんてあり得ない」
「では……彼が嘘をついていると? 」
「――――そうなるな」
そう告げたところ、それまで顔を覆って泣いていた林檎は、パッと顔を上げた。
「違うよ! 」
「なっ……」
「この子は、采の子供だ。だってオレ、采の間に本当に子供が欲しくて……ダメなのは分かってたけど、コンドームに針で穴を開けてたんだ……」
オメガは、人工授精では妊娠しない。だから、こうするしかなかったんだ――――と、切々と林檎は語った。
「采が迷惑だってのは分かってたけど、オレ、どうしても采の子供が欲しかったんだ。ゴメン! 」
「そ――んな……」
林檎の告白に、采は茫然とするしかない。
立ち尽くす采に、アレンは同情するような眼差しを向けた。
「……オメデトウと、言ってはダメのかな? 」
「い、いいや――子を身籠ったのなら喜ばしいこと、だ……だが……」
九条家の跡取り問題が、再び噴出しそうだ。
恵美と采は、嘉偉が九条を継ぐことに合意しているのだが、古い考えを持つ長老たちは未だに『九条家の跡取りがベータとは承服しかねる』などと言っている。
しかしだからと言って、アルファの達実は最初から九条を継ぐ気はないようだし。
同じく、既に四十路に入っている采も、自身はアルファであるが後継は次代に譲るべきだと思っている。
だから、今後は嘉偉をバックアップする側に回るつもりだった。
しかしその采本人に、子供が誕生するとなれば話が違ってくる。
当人たちにその気が無くても、九条を取り巻く環境は大いに騒がしくなるだろう。
「林檎……本当なのか? どうしてそんな事を――」
ギリッと歯軋りをしながら呻くように言うと、林檎は慌てて声を上げた。
「ち、違うんだ! オレ、九条の財産を狙っているとかそういう事は考えてないよ。金なんか、どうでもいいんだ! 」
「じゃあ、何が目的なんだ」
「だから、オレは――」
「――彼は、君と番になりたいんだよ」
アレンは采の背中越しに、チラリとエレベーターの方へ視線を向けると……再び神妙な面持ちで、采を見遣った。
「我々と違い、立場の弱いオメガが心から願うのは、何よりも自身の安寧だ。彼は君の番になって、心休まる場所が欲しかったんだよ。なんとも健気な話じゃないか」
アレンの言葉に、采は戸惑うように林檎を見つめる。
「……林檎、そうなのか? 」
「うん。オレを、采の番にして」
無言になる采に、アレンが駄目押しをする。
「君は、自分の子とリンゴを見捨てるつもりなのか? 」
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