92 / 116
ワガママで意地悪で、どうしようもなく純愛。
1
しおりを挟むベッドに横たえた達実の身体は、どこもかしこも輝くように美しかった。
滑らかな肌は白磁のように硬質だが暖かく、程よい弾力がある。
若鹿のように引き締まった脚に、しなやかな二の腕は一級のアスリートのようだ。
しかし確かに、本人が言う通りにその身体には、オメガのような肉感は乏しい。胸も尻も厚みはなく、揉みしだくような柔らかい肉や脂肪などは無い。
……なにより、その後孔は硬く閉じていて、発情してもオメガのように柔らかく蕩けて濡れる事などもない。
この未成熟な身体を抱くには、相当な努力と忍耐が必要だ。
無理にコトに及ぼうものなら、抱かれる側にはかなりの苦痛が発生するだろう。そんな可哀想な真似など絶対できないし、許されない。
采は、それとなくベッドルームに揃えられていた、高級オイルや弛緩用ジェルに視線を投げ、抱く側の度量と覚悟を試されるような気分になる。
前回、アレンの元から達実を救出した際は、そのアレンの『努力と忍耐』が功を奏したらしく、オメガ並みに達実の身体は柔らかく解けていた。
(あの時は怒りの方が勝っていたから気付かなかったが、ヤツはそうとう頑張って達実の身体を拓こうと努力していたんだな)
今なら、それが分かる。
達実の身体を洗った時に感じ取ったソコの触感を思い出し、采は今更ながら感心してしまう。
アレンは、かなり我慢したに違いない。
こんな美味そうなご馳走を前にして、暴走しないよう、どうにか自制するなんて大したものだと妙に感心する。
と、そんな事を考えていたら、達実が不満げに身じろぎをした。
「おい、何か――どっか僕の身体はおかしいのか? やっぱりオメガじゃないから変か? 」
ジッと達実の裸体を見下ろしていたところ、何か己の身体に欠陥でも感じ取ったのだろうかと思ったようだ。
達実は、綺麗な翠玉の瞳に不安そうな色を滲ませて、上目遣いで采を見上げる。
「それともやっぱり……アルファの男は抱けない……か? 」
その可愛らしい眼差しに、采の雄芯はダイレクトに反応する。
「あ……」
それに気付き、達実は顔をパッと両手で覆った。
ギンギンに育って勃ち上がっている雄芯を目の当たりにして、自分の質問が的外れだったと気付いたようだ。
采は直ぐにでも暴発しそうな己を、全神経を集中してなんとか堪えながら、最大限の努力でもって無理やり余裕の表情を作る。
「オレのこれを見て、まだそんな事を言っているのか? 」
「だ、だって……」
「おい、手をどけろ」
「やだ! 」
「――オレに、お前の可愛い顔を見せてくれ」
「……やだ」
ああ、なんて一々新鮮で可愛い反応を返すんだ、コイツは!
采はそう思うと、無防備になっていた達実の両足に手を掛けた。
そして、ひょいと一気に左右へ開く。
「ちょ、ちょっと! なに――」
さすがに驚いて、達実は顔を覆う手を放して身を起こそうとする。
だが、先手を仕掛けた采の方が有利だ。
まだ柔らかい、達実の、プルプルと震える可愛らしい桃色の雄芯をパクリと咥える。
「っ! 」
ビクリと、達実の身体を電流が走ったような衝撃が襲う。
(な、なな……采が、ぼ、僕のペニスを口に!? )
驚き過ぎて、声も出ない。
だが、巧みな舌使いで先端をぐりぐりとされると、たまらず声がもれた。
「あ、はぁん! 」
(!!っ )
自分の甘い声に驚き、達実は両手で口を覆う。
(なんだ!! 今の声は!? )
0
あなたにおすすめの小説
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい
日向汐
BL
過保護なかわいい系美形の後輩。
たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡
そんなお話。
【攻め】
雨宮千冬(あめみや・ちふゆ)
大学1年。法学部。
淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。
甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。
【受け】
睦月伊織(むつき・いおり)
大学2年。工学部。
黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。
ずっと好きだった幼馴染の結婚式に出席する話
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
僕の恋人は、超イケメン!!
刃
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>
はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ②
人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。
そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。
そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。
友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。
人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる