16 / 102
4
4-2
しおりを挟む
社長室で、あたしをスカウトしろとストリップを始めた沙也加を見て、聖は正直な感想を言った。
すると、沙也加もニヤリと笑い、
「あたしも、あんたみたいな綺麗な男が、犯し甲斐があると思ってたのよ」
と受けて立った。
それから、有賀沙也加はジュピタープロ一押しの女優になり、堂々と活躍している。
このくらいのタマじゃないと、こんな業界、やってられない。
◇
「ねぇ、社長! コスメのCM、仲介に持ち掛けられた枕の話を断ったって本当なの? 」
沙也加は社長室に乗り込むと、そう聖に詰め寄った。
「あたしは、そのくらい平気だって言ってんじゃん! 」
「――カネで片が付くなら、それでいいんだよ」
ウンザリとしながら、聖は沙也加の追及をやり過ごす。
こういった海外の仕事が絡む場合、仲介業者が必ず間に入る。
まず、そこにどのくらいカネをつぎ込むかで、向こう側との橋渡しや折衝を代理してもらうのだ。
今回は、カネの他に色も求められた。
だが、聖は相場の倍のカネを用意することで、色は回避したのだ。
――――どうして?
そんなの、決まっている。
できるだけ色を排して、せめて、そこだけでもクリーンにしたかったからだ。
近々、ユウが上京する。
ジュピタープロは色だけはお断りだと業界各所へ知らしめて、万が一でもユウが毒牙にかからないようにと、聖は根回しをしたワケだ。
この業界には、モラルなどない。
どいつもこいつもロリコンの変態ばかりで寒気がする程だ。
ユウはまだ、十五歳だ。
若いタレントは、それだけで男女問わず餌食にされやすい。
事務所としては、最大限そこだけは阻止せねば。
だが、そんな聖の親心など、この女優が分かるはずがない。
「ふぅん……社長って、意外と嫉妬深いんだぁ」
「は? 」
「あたしは枕なんて全然平気だって言ってんのに、それを断るって事は、そういうコトじゃあない? 」
何を言いたいのか分かり、聖は嘆息した。
「あのな、てめぇみてぇなババァなんざどうでもいいが、ウチはそこだけは一切受けませんと看板下げとかなきゃあ、後々オレが困んだよ。この話がお前じゃなくて美幸の方に来てたとしても、オレは絶対断るつもりだった」
「何だって、この野郎! 」
沙也加はそう言うと、椅子に座ったままの、聖の膝の上へと飛び乗った。
「生意気言ってんじゃねーよ! あたしが、あの小娘に負けるって言うのかい!? 」
「誰もそんな事は言ってねぇだろうが! 」
スカートの裾をまくり上げて聖の膝に馬乗りになる沙也加に、聖は不機嫌な声で怒鳴り返す。
「重い! 邪魔だ、どけっ! 」
「ふんっ! しらばっくれるんじゃないよ、この淫乱野郎! 昨日、一昨日と二日休んで重役出勤したと思ったら、何だよこの首の痕! 誰につけられたっ!? 」
そう言うと、沙也加は目ざとく聖の首筋に残された痕を見つけ、止める間もなく、ネクタイを取っ払いシャツのボタンを外す。
しかし、その手は途中でピタリと止まった。
「――――社長、あんたマジで誰にやられたのよ? 」
首筋どころか、襟から除く肌のほとんどに、隙間なく噛み傷と鬱血した跡が残っている。
痛みに快楽を感じるような余程のドМでなければ、こんなの嬉しくないし耐えられないだろう。
沙也加は、聖がそういった性癖は持ち合わせていないのを知っている。
そして彼が、暴力に屈するような、か弱い男でないのも知っていた。
すると、沙也加もニヤリと笑い、
「あたしも、あんたみたいな綺麗な男が、犯し甲斐があると思ってたのよ」
と受けて立った。
それから、有賀沙也加はジュピタープロ一押しの女優になり、堂々と活躍している。
このくらいのタマじゃないと、こんな業界、やってられない。
◇
「ねぇ、社長! コスメのCM、仲介に持ち掛けられた枕の話を断ったって本当なの? 」
沙也加は社長室に乗り込むと、そう聖に詰め寄った。
「あたしは、そのくらい平気だって言ってんじゃん! 」
「――カネで片が付くなら、それでいいんだよ」
ウンザリとしながら、聖は沙也加の追及をやり過ごす。
こういった海外の仕事が絡む場合、仲介業者が必ず間に入る。
まず、そこにどのくらいカネをつぎ込むかで、向こう側との橋渡しや折衝を代理してもらうのだ。
今回は、カネの他に色も求められた。
だが、聖は相場の倍のカネを用意することで、色は回避したのだ。
――――どうして?
そんなの、決まっている。
できるだけ色を排して、せめて、そこだけでもクリーンにしたかったからだ。
近々、ユウが上京する。
ジュピタープロは色だけはお断りだと業界各所へ知らしめて、万が一でもユウが毒牙にかからないようにと、聖は根回しをしたワケだ。
この業界には、モラルなどない。
どいつもこいつもロリコンの変態ばかりで寒気がする程だ。
ユウはまだ、十五歳だ。
若いタレントは、それだけで男女問わず餌食にされやすい。
事務所としては、最大限そこだけは阻止せねば。
だが、そんな聖の親心など、この女優が分かるはずがない。
「ふぅん……社長って、意外と嫉妬深いんだぁ」
「は? 」
「あたしは枕なんて全然平気だって言ってんのに、それを断るって事は、そういうコトじゃあない? 」
何を言いたいのか分かり、聖は嘆息した。
「あのな、てめぇみてぇなババァなんざどうでもいいが、ウチはそこだけは一切受けませんと看板下げとかなきゃあ、後々オレが困んだよ。この話がお前じゃなくて美幸の方に来てたとしても、オレは絶対断るつもりだった」
「何だって、この野郎! 」
沙也加はそう言うと、椅子に座ったままの、聖の膝の上へと飛び乗った。
「生意気言ってんじゃねーよ! あたしが、あの小娘に負けるって言うのかい!? 」
「誰もそんな事は言ってねぇだろうが! 」
スカートの裾をまくり上げて聖の膝に馬乗りになる沙也加に、聖は不機嫌な声で怒鳴り返す。
「重い! 邪魔だ、どけっ! 」
「ふんっ! しらばっくれるんじゃないよ、この淫乱野郎! 昨日、一昨日と二日休んで重役出勤したと思ったら、何だよこの首の痕! 誰につけられたっ!? 」
そう言うと、沙也加は目ざとく聖の首筋に残された痕を見つけ、止める間もなく、ネクタイを取っ払いシャツのボタンを外す。
しかし、その手は途中でピタリと止まった。
「――――社長、あんたマジで誰にやられたのよ? 」
首筋どころか、襟から除く肌のほとんどに、隙間なく噛み傷と鬱血した跡が残っている。
痛みに快楽を感じるような余程のドМでなければ、こんなの嬉しくないし耐えられないだろう。
沙也加は、聖がそういった性癖は持ち合わせていないのを知っている。
そして彼が、暴力に屈するような、か弱い男でないのも知っていた。
0
あなたにおすすめの小説
インテリヤクザは子守りができない
タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。
冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。
なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──
いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.
虚弱なヤクザの駆け込み寺
菅井群青
恋愛
突然ドアが開いたとおもったらヤクザが抱えられてやってきた。
「今すぐ立てるようにしろ、さもなければ──」
「脅してる場合ですか?」
ギックリ腰ばかりを繰り返すヤクザの組長と、治療の相性が良かったために気に入られ、ヤクザ御用達の鍼灸院と化してしまった院に軟禁されてしまった女の話。
※なろう、カクヨムでも投稿
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる