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しかし、違うのだ。
謝罪そのものが、全く伝わっていなかったのだ。
(ちゃんと――――これは、言葉にして伝えなかったオレのミスだ。あいつは、悪くない)
つい、奏を恨んでしまいそうになる、自分の弱い心が許せない。
その弱さから、つい、まどかにこぼしてしまった。
奏は、全然悪くないのに。
そして何やら、まどかは奏を強く糾弾したらしい――――全く、何て事だ!
急いで追い付いて、今度こそちゃんと言葉にして、謝罪しなければ。
栄太はアクセルを踏み、前々から聞いていた奏のアパートに向けて急ぐ。
すると、その路上で――――歩道を歩く、奏の姿が目に入った。
栄太は直ぐにウィンカーを出し、車を歩道へ寄せて停車させる。
そして直ぐに窓を開け、声を掛けた。
「奏! 」
「っ!? 」
「話しを――――話を聞いてくれないかっ」
必死になって、そう呼び止める。
たった今、その栄太の事を考えていた奏は激しく動揺した。
(な、なんでここに!? 今までは、ホテルでしか会わなかったのに……)
まさか、追いかけて来たのか?
奏は声が震えるのを必死に堪えながら、口を開いた。
「ど、どうしたんです? こちらの方向に何か用でもあったんですか? 」
半ば、答えを知っていながら、そう訊いてみた。
すると、栄太は男らしい眉をギュッと寄せながら、押し殺したような声を漏らした。
「奏――――すまなかった。まどかは、オレの弱音を聞いて…………いや、これはただの言い訳だな。オレが悪かったから、お前もあいつも傷付けて――余計に引っ掻き回しちまった」
「あ、ああ、まどかさん……ね。お節介だけど、優しい幼馴染に恵まれて良かったですね。お互いベータなら、さぞや話が合うでしょう? いっその事、お二人でお付き合いしてはどうですか? 」
内心の激しい動揺を誤魔化し、奏はそれだけ口にすると、パッと身を翻して先に進もうとする。
しかし栄太は、停車した車から素早く飛び出ると、歩を進めようとする奏の腕を掴んだ。
「待ってくれ! 」
「な――なんですか? 」
「謝らせてくれ」
「……」
「最初の、初対面の時から――オレは、随分と尊大な態度を取って…………まるでお前達親子を恫喝するように接してしまった」
5年前の、最悪だった第一印象。
――――確かに、とても嫌な感じしかしなかった。まるで奏が、ただの繁殖用に売買される人間であるかのような言い方に、ゾッとした。
それを思い出し、奏の表情は曇る。
栄太は、そんな奏の両肩へ手を置くと、そのまま深く頭を下げた。
「っ!? 」
「――――すまなかった。オレは馬淵の家で、力と金だけの世界で生きていたから、相手にナメられたら終わりだと徹底して叩き込まれていたんだ。そしてそのまま、まるで商売敵と渡り合う様に……お前の両親にも、お前本人にも接してしまった」
……アルファの婚約者に捨てられ、行き場をなくしたオメガだと聞いていた。
そして、頭脳は優秀であるが……男体だと。
そんな売れ残りのようなオメガを娶ってやるのだから、当然感謝されて然るべきだと勝手に栄太は思っていた。
だが、このオメガは――――途方もなく純情だった。
自分を捨てたアルファを未だに思い続け、いつか番う事を夢見て、幾度も手紙を書いては投函していたらしい。
栄太は、そんな事実は聞かされていなかった。
だから、待ち合わせのBホテルに奏が現われた時は、当然、馬淵家に輿入れする事を承諾しての事だと思っていた。
しかし、奏は――――会食の相手は、馬淵栄太ではなく青柳正嘉だと信じ込んでいたらしい。
それが、悲劇の元だった。
謝罪そのものが、全く伝わっていなかったのだ。
(ちゃんと――――これは、言葉にして伝えなかったオレのミスだ。あいつは、悪くない)
つい、奏を恨んでしまいそうになる、自分の弱い心が許せない。
その弱さから、つい、まどかにこぼしてしまった。
奏は、全然悪くないのに。
そして何やら、まどかは奏を強く糾弾したらしい――――全く、何て事だ!
急いで追い付いて、今度こそちゃんと言葉にして、謝罪しなければ。
栄太はアクセルを踏み、前々から聞いていた奏のアパートに向けて急ぐ。
すると、その路上で――――歩道を歩く、奏の姿が目に入った。
栄太は直ぐにウィンカーを出し、車を歩道へ寄せて停車させる。
そして直ぐに窓を開け、声を掛けた。
「奏! 」
「っ!? 」
「話しを――――話を聞いてくれないかっ」
必死になって、そう呼び止める。
たった今、その栄太の事を考えていた奏は激しく動揺した。
(な、なんでここに!? 今までは、ホテルでしか会わなかったのに……)
まさか、追いかけて来たのか?
奏は声が震えるのを必死に堪えながら、口を開いた。
「ど、どうしたんです? こちらの方向に何か用でもあったんですか? 」
半ば、答えを知っていながら、そう訊いてみた。
すると、栄太は男らしい眉をギュッと寄せながら、押し殺したような声を漏らした。
「奏――――すまなかった。まどかは、オレの弱音を聞いて…………いや、これはただの言い訳だな。オレが悪かったから、お前もあいつも傷付けて――余計に引っ掻き回しちまった」
「あ、ああ、まどかさん……ね。お節介だけど、優しい幼馴染に恵まれて良かったですね。お互いベータなら、さぞや話が合うでしょう? いっその事、お二人でお付き合いしてはどうですか? 」
内心の激しい動揺を誤魔化し、奏はそれだけ口にすると、パッと身を翻して先に進もうとする。
しかし栄太は、停車した車から素早く飛び出ると、歩を進めようとする奏の腕を掴んだ。
「待ってくれ! 」
「な――なんですか? 」
「謝らせてくれ」
「……」
「最初の、初対面の時から――オレは、随分と尊大な態度を取って…………まるでお前達親子を恫喝するように接してしまった」
5年前の、最悪だった第一印象。
――――確かに、とても嫌な感じしかしなかった。まるで奏が、ただの繁殖用に売買される人間であるかのような言い方に、ゾッとした。
それを思い出し、奏の表情は曇る。
栄太は、そんな奏の両肩へ手を置くと、そのまま深く頭を下げた。
「っ!? 」
「――――すまなかった。オレは馬淵の家で、力と金だけの世界で生きていたから、相手にナメられたら終わりだと徹底して叩き込まれていたんだ。そしてそのまま、まるで商売敵と渡り合う様に……お前の両親にも、お前本人にも接してしまった」
……アルファの婚約者に捨てられ、行き場をなくしたオメガだと聞いていた。
そして、頭脳は優秀であるが……男体だと。
そんな売れ残りのようなオメガを娶ってやるのだから、当然感謝されて然るべきだと勝手に栄太は思っていた。
だが、このオメガは――――途方もなく純情だった。
自分を捨てたアルファを未だに思い続け、いつか番う事を夢見て、幾度も手紙を書いては投函していたらしい。
栄太は、そんな事実は聞かされていなかった。
だから、待ち合わせのBホテルに奏が現われた時は、当然、馬淵家に輿入れする事を承諾しての事だと思っていた。
しかし、奏は――――会食の相手は、馬淵栄太ではなく青柳正嘉だと信じ込んでいたらしい。
それが、悲劇の元だった。
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