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最終章
~And it is 5years later~
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「わぁ~高いね、奏! 下の車がビーンみたい」
そういうと、達実は甲高い声でキャキャと笑った。
元気な子供の様子に、奏は愛し気に目を細める。
「こらこら、勝手に走っちゃダメだよ。迷子にならないように僕の手を握ってなさい」
微笑みながら、奏はそう声を掛ける。
「はぁーい」
素直に返事を返すも、好奇心旺盛な子供は何かを発見したか、そちらの方角へパッと駆け出した。
「こら、達実――あ、」
子供が駆け寄った相手に気付き、奏はペコリと頭を下げる。
「お久しぶりです、九条さん」
「……ああ。しかし君達とは頻繁にスカイプでやり取りをしていたから、何だか毎日会っていたような気分だがね」
口髭を蓄え、五年前より貫録を増した九条はそう言うと、微笑みを浮かべた。
「やぁ、達実くん! しかし君は画面で見るより、実際の方がずっと可愛いね」
「クジョーは、すごいクールだよ! 」
「ははは、ありがとう」
「ね、いつもみたいに、スカイプん時と同じでダディって呼んでいい? 」
「もちろん。私を君の父親だと思ってくれ」
九条はそう言うと、その愛らしい子供を抱き上げて肩車をした。
「わぁ~高い! 奏よりずっと高いよっ」
その屈託のない様子に、奏は参ったというように微笑んだ。
「もぉ……達実は九条さんが本当に好きなんだね。やっぱり、七海先輩の子だ」
そう溜め息をつくと、奏はまた幸せそうに口許を綻ばせた。
◇
奏は念願叶い、七海達樹との間に一子を儲けることが出来た。
名前は結城達実。七海から一文字貰い、夢を実らせたので『達実』と名付けた。
元気で好奇心旺盛な男の子だ。
愛らしい容貌は、将来間違いなく七海似の美形に成長すると思われる。
紫水晶のように輝く瞳も、どう見ても七海譲りだ。
アメリカで出産したので、達実はアメリカ国籍も取得している。
将来、日本かアメリカか、どちらの国籍を選ぶのかは達実の意思に任せようと思う。
五年前、奏は、オメガの新型免疫抑制剤を、日本の研究所と共同で開発に漕ぎ着けた。
完成した新薬は、オメガを悩ませていた発情のコントロールを可能にした、実に画期的な薬だった。
これはあっという間に世界中に広まり、オメガをヒエラルキーの最下層から解き放つ救世主となった。
オメガは色ボケした連中でマトモに働く事も出来ない――――長い間、オメガはそういう差別の元で虐げられていたが、とうとうそれも終焉を迎える事となったのだ。
僅か五年の間で、確実にオメガを取り巻く環境は劇的に変化している。
この快挙に、将来、結城奏博士はノーベル平和賞と医学生理学賞は必ず受賞するだろうと言われている。
富と名声を手にしてからも、奏はアメリカで熱心に研究を続け、日本と共同開発した新薬以外にも次々と新たな薬を研究開発している。
彼は自分の才能一つで、見事にアメリカで成功者として財を成したのだ。
日本では、逃した魚は大きかったと余程悔やんだか、薄給と悪評だった研究員の待遇改善を国としてようやく始めたらしい。
これについては、かつての研究員仲間から、感謝の声が直接奏に届いた。
何もかもが順風満帆――――ではあるが。
「……奏くん、ランチを近くのレストランに用意させているが――」
どうする?という眼差しに、奏はふんわりと首を振る。
「最初に、お墓参りに行こうと思っています……」
「――そうか」
見つめ合うと、互いに寂しそうに微笑む。
――――そう、七海達樹は、命の種を奏へ託した後に…………ゆっくりと眠るように、その三か月後に息を引き取ったのだ。
奏のお腹に、確かに新たな命が宿ったと分かった彼は、最期に幸福そうに微笑んでいた。
『なんて幸せな、薔薇色の人生だったろう』
そう、満足そうに頷きながら。
「――ねぇ、奏、ダディ。僕もっと色々な所に行きたい」
しんみりとしていると、痺れを切らしたように達実が口を開く。
九条は苦笑しながら、達実を床へ降ろしてやった。
「じゃあ、三人でお墓参りに行ったら、一緒に美味しいランチを食べようか」
「うん! 七海パパのお墓参り行くー」
そう言うと、達実は鼻歌を歌いながら、パタパタと違う方のフロアへと走っていく。
「こら、達実……」
その時、エレベーターの扉がチンっと鳴って……開いた。
「――奏」
自分を呼ぶ声に気付き、奏は振り返る。
そうして少しの間の後――――奏は、花のように笑った。
これにてクランクアップ!
宜しければ、このまま後書きをどうぞ!
そういうと、達実は甲高い声でキャキャと笑った。
元気な子供の様子に、奏は愛し気に目を細める。
「こらこら、勝手に走っちゃダメだよ。迷子にならないように僕の手を握ってなさい」
微笑みながら、奏はそう声を掛ける。
「はぁーい」
素直に返事を返すも、好奇心旺盛な子供は何かを発見したか、そちらの方角へパッと駆け出した。
「こら、達実――あ、」
子供が駆け寄った相手に気付き、奏はペコリと頭を下げる。
「お久しぶりです、九条さん」
「……ああ。しかし君達とは頻繁にスカイプでやり取りをしていたから、何だか毎日会っていたような気分だがね」
口髭を蓄え、五年前より貫録を増した九条はそう言うと、微笑みを浮かべた。
「やぁ、達実くん! しかし君は画面で見るより、実際の方がずっと可愛いね」
「クジョーは、すごいクールだよ! 」
「ははは、ありがとう」
「ね、いつもみたいに、スカイプん時と同じでダディって呼んでいい? 」
「もちろん。私を君の父親だと思ってくれ」
九条はそう言うと、その愛らしい子供を抱き上げて肩車をした。
「わぁ~高い! 奏よりずっと高いよっ」
その屈託のない様子に、奏は参ったというように微笑んだ。
「もぉ……達実は九条さんが本当に好きなんだね。やっぱり、七海先輩の子だ」
そう溜め息をつくと、奏はまた幸せそうに口許を綻ばせた。
◇
奏は念願叶い、七海達樹との間に一子を儲けることが出来た。
名前は結城達実。七海から一文字貰い、夢を実らせたので『達実』と名付けた。
元気で好奇心旺盛な男の子だ。
愛らしい容貌は、将来間違いなく七海似の美形に成長すると思われる。
紫水晶のように輝く瞳も、どう見ても七海譲りだ。
アメリカで出産したので、達実はアメリカ国籍も取得している。
将来、日本かアメリカか、どちらの国籍を選ぶのかは達実の意思に任せようと思う。
五年前、奏は、オメガの新型免疫抑制剤を、日本の研究所と共同で開発に漕ぎ着けた。
完成した新薬は、オメガを悩ませていた発情のコントロールを可能にした、実に画期的な薬だった。
これはあっという間に世界中に広まり、オメガをヒエラルキーの最下層から解き放つ救世主となった。
オメガは色ボケした連中でマトモに働く事も出来ない――――長い間、オメガはそういう差別の元で虐げられていたが、とうとうそれも終焉を迎える事となったのだ。
僅か五年の間で、確実にオメガを取り巻く環境は劇的に変化している。
この快挙に、将来、結城奏博士はノーベル平和賞と医学生理学賞は必ず受賞するだろうと言われている。
富と名声を手にしてからも、奏はアメリカで熱心に研究を続け、日本と共同開発した新薬以外にも次々と新たな薬を研究開発している。
彼は自分の才能一つで、見事にアメリカで成功者として財を成したのだ。
日本では、逃した魚は大きかったと余程悔やんだか、薄給と悪評だった研究員の待遇改善を国としてようやく始めたらしい。
これについては、かつての研究員仲間から、感謝の声が直接奏に届いた。
何もかもが順風満帆――――ではあるが。
「……奏くん、ランチを近くのレストランに用意させているが――」
どうする?という眼差しに、奏はふんわりと首を振る。
「最初に、お墓参りに行こうと思っています……」
「――そうか」
見つめ合うと、互いに寂しそうに微笑む。
――――そう、七海達樹は、命の種を奏へ託した後に…………ゆっくりと眠るように、その三か月後に息を引き取ったのだ。
奏のお腹に、確かに新たな命が宿ったと分かった彼は、最期に幸福そうに微笑んでいた。
『なんて幸せな、薔薇色の人生だったろう』
そう、満足そうに頷きながら。
「――ねぇ、奏、ダディ。僕もっと色々な所に行きたい」
しんみりとしていると、痺れを切らしたように達実が口を開く。
九条は苦笑しながら、達実を床へ降ろしてやった。
「じゃあ、三人でお墓参りに行ったら、一緒に美味しいランチを食べようか」
「うん! 七海パパのお墓参り行くー」
そう言うと、達実は鼻歌を歌いながら、パタパタと違う方のフロアへと走っていく。
「こら、達実……」
その時、エレベーターの扉がチンっと鳴って……開いた。
「――奏」
自分を呼ぶ声に気付き、奏は振り返る。
そうして少しの間の後――――奏は、花のように笑った。
これにてクランクアップ!
宜しければ、このまま後書きをどうぞ!
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