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7 Gene
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ジンは聖に伸し掛かられると、間近でその芳しい香りを致死量に達するほど直接吸い込んでしまい、頭の中は霞が掛かったように陶然となった。
目の奥では、パチパチと光が点滅する。
――――キスだけで、息の根を止められそうだ。
もちろん、それは物のたとえで。
実際に、聖の体臭を嗅いで死ぬことは無いのだが……ついさっき達したばかりの己の男根が意識しない内に見事な復活を果たしており、これは天性の劇薬だと、ジンは思い知る事となった。
この肉体を所有し、毎日抱きたいと野望を抱く男も多いだろう。
だが、もしもそれを実行した男がいたとしたら、きっとその男は自分でも知らぬうちに魂まで抜かれてスカスカの屍になっていると思う。
これを猛毒と言わず、何というだろう?
「う、ううぅんっ」
ジンの、こらえ切れぬ呻き声が上がる。
聖の白魚のような手がジンの男根へと延び、袋ごとヤワヤワと巧みに弄び始めたからだ。
その指先はクルクルと器用に動き、鈴口を絶妙な力加減で擦り上げる。
これは堪らない。
「や、やめろっ」
「おや? もう降参か?」
余裕綽々の様子に、ジンはまた悔しそうな顔になる。
セックスには、相当に自信があった。
それを武器にして、彼はここまで来たのだから。
「――クソッ」
渋面になったジンを見遣り、聖はふっと目を細めた。
「はは……お前は、若いワリには上手い方だよ。でもな、セックスを武器にして伸し上がって来たのなら、オレに一日の長があるのさ」
聖は四十路だ。それに対して、相手はまだその半分しか生きてないような若者だ。
踏んで来た場数が、圧倒的に違う。
(まだ二十歳そこそこの子供じゃあ、オレをセックスだけでメロメロにするのは十年ばかり早いな)
そう、聖の心を動かすのは、セックスが上手いかどうかなどではない。
権力や財力、容姿や若さでもない。
そんなものでは、聖の心までは動かない。
では、彼はいったい何に強く心を動かされるのか?
――――実はそれは、とても単純な事だった。
(放っとけないよな、お前みたいな野郎……)
聖は口に出さずに、そう内心で呟く。
彼の心を動かすのは、保護欲を掻き立てられるような、相手を慈しむ愛だ。
元々、我が子と暮らすのを長年夢見て、独りで生きて来た聖である。
年齢を超越した美しさも相まって、氷の女王のように冷酷無比な性格のように見られもするが、じつは愛情はとても深く豊かだ。
故に、頑是ない子供のような人間を見ると、ついつい彼は理屈を抜きにして手を貸してしまう。
真っ直ぐにガムシャラに「あんたが好きだ」と言われれば、その拙さに心が揺れるし、ボロボロになりながらも立ち上がろうとしている様を見ると、本能で咄嗟に庇いたくなってしまう。
悪い癖だ。
なんとも、損な性分だ。
結局、いつも貧乏くじを引くのだから。
(分かってるさ、そんな事は)
自嘲して、聖は苦く笑う。
「――ジン」
「?」
「オレを満足させる前に、このままじゃあお前の方が先にダウンしそうだな」
聖の揶揄に、ジンの頬がカッと赤くなる。
それは、正鵠を射ていたからだ。
聖の手で悪戯された雄芯は既に限界の状態になっており、少しでも気を抜くと、持ち主の意思を無視してまたも暴発しそうだ。
これ程までに豊潤な肉体を前にしては、ジゴロの技を駆使して冷静に相手を翻弄するなど無理な話だ。
目の奥では、パチパチと光が点滅する。
――――キスだけで、息の根を止められそうだ。
もちろん、それは物のたとえで。
実際に、聖の体臭を嗅いで死ぬことは無いのだが……ついさっき達したばかりの己の男根が意識しない内に見事な復活を果たしており、これは天性の劇薬だと、ジンは思い知る事となった。
この肉体を所有し、毎日抱きたいと野望を抱く男も多いだろう。
だが、もしもそれを実行した男がいたとしたら、きっとその男は自分でも知らぬうちに魂まで抜かれてスカスカの屍になっていると思う。
これを猛毒と言わず、何というだろう?
「う、ううぅんっ」
ジンの、こらえ切れぬ呻き声が上がる。
聖の白魚のような手がジンの男根へと延び、袋ごとヤワヤワと巧みに弄び始めたからだ。
その指先はクルクルと器用に動き、鈴口を絶妙な力加減で擦り上げる。
これは堪らない。
「や、やめろっ」
「おや? もう降参か?」
余裕綽々の様子に、ジンはまた悔しそうな顔になる。
セックスには、相当に自信があった。
それを武器にして、彼はここまで来たのだから。
「――クソッ」
渋面になったジンを見遣り、聖はふっと目を細めた。
「はは……お前は、若いワリには上手い方だよ。でもな、セックスを武器にして伸し上がって来たのなら、オレに一日の長があるのさ」
聖は四十路だ。それに対して、相手はまだその半分しか生きてないような若者だ。
踏んで来た場数が、圧倒的に違う。
(まだ二十歳そこそこの子供じゃあ、オレをセックスだけでメロメロにするのは十年ばかり早いな)
そう、聖の心を動かすのは、セックスが上手いかどうかなどではない。
権力や財力、容姿や若さでもない。
そんなものでは、聖の心までは動かない。
では、彼はいったい何に強く心を動かされるのか?
――――実はそれは、とても単純な事だった。
(放っとけないよな、お前みたいな野郎……)
聖は口に出さずに、そう内心で呟く。
彼の心を動かすのは、保護欲を掻き立てられるような、相手を慈しむ愛だ。
元々、我が子と暮らすのを長年夢見て、独りで生きて来た聖である。
年齢を超越した美しさも相まって、氷の女王のように冷酷無比な性格のように見られもするが、じつは愛情はとても深く豊かだ。
故に、頑是ない子供のような人間を見ると、ついつい彼は理屈を抜きにして手を貸してしまう。
真っ直ぐにガムシャラに「あんたが好きだ」と言われれば、その拙さに心が揺れるし、ボロボロになりながらも立ち上がろうとしている様を見ると、本能で咄嗟に庇いたくなってしまう。
悪い癖だ。
なんとも、損な性分だ。
結局、いつも貧乏くじを引くのだから。
(分かってるさ、そんな事は)
自嘲して、聖は苦く笑う。
「――ジン」
「?」
「オレを満足させる前に、このままじゃあお前の方が先にダウンしそうだな」
聖の揶揄に、ジンの頬がカッと赤くなる。
それは、正鵠を射ていたからだ。
聖の手で悪戯された雄芯は既に限界の状態になっており、少しでも気を抜くと、持ち主の意思を無視してまたも暴発しそうだ。
これ程までに豊潤な肉体を前にしては、ジゴロの技を駆使して冷静に相手を翻弄するなど無理な話だ。
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