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9 living hell
9-20
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「待ちたまえ!」
「離せ」
「僕は、こうみえて52なんだよ。信じられないくらい若く見えるだろう?」
突然『どうだ』と言わんばかりに自慢を始めた安蒜に、聖は目的が分からず首をかしげる。
(なんだ、こいつは?)
しかし安蒜はそんな聖の反応にも頓着せずに、とっておきの口説き文句を言うように、胸を張って続けた。
「僕は心底、美しいものが好きなんだ。だから本業もファッションデザイナーだ。僕を取り囲むすべての物を、美で埋め尽くしたいと思っている」
「ファッションデザイナーが本業だと? 現在AHIRUのデザインは若手が担っているらしいじゃないか。あなたがメインで作っているのは服飾ではなく、金儲けの為のデザイナー・ベビーだろう? 体外受精は確かに違法ではないが、遺伝子を組み替えるような行為は法に抵触する可能性があるはずだ。ジンの為だと思ってここまで付き合ってやったが、オレは――」
だが、聖のセリフが耳に入らないのか、安蒜は興奮した様子でベラベラと喋り続けた。
「醜くならぬよう細心の注意を払って常に美を追求しているから、僕はこれだけの若々しさを保って綺麗でいられるんだよ。君も、僕のようになりたくはないか? その麗しい美貌のまま、ずっと――」
「なんだ? オレに整形の斡旋をするつもりか?」
「っ!」
「あいにくと、オレはそういった話には興味ないんでね」
鼻で嗤うと、聖は痛烈な皮肉を口にした。
「あんたみたいな整形モンスターになるなんざ、ごめんだね」
「なっ!!」
サッと顔色を変える安蒜であるが、度重なる表情の変化は顔面にとって多大なストレスだったらしい。顔の右と左で、何ともアンバランスに顔が崩れる。
まるでチック症のように頬を痙攣させると、安蒜は奇声を上げた。
「うるさい、うるさい――――!! 僕をバカにしたな!? 優しくしてやればいい気になって! この淫売がっ!」
「離せ」
「僕は、こうみえて52なんだよ。信じられないくらい若く見えるだろう?」
突然『どうだ』と言わんばかりに自慢を始めた安蒜に、聖は目的が分からず首をかしげる。
(なんだ、こいつは?)
しかし安蒜はそんな聖の反応にも頓着せずに、とっておきの口説き文句を言うように、胸を張って続けた。
「僕は心底、美しいものが好きなんだ。だから本業もファッションデザイナーだ。僕を取り囲むすべての物を、美で埋め尽くしたいと思っている」
「ファッションデザイナーが本業だと? 現在AHIRUのデザインは若手が担っているらしいじゃないか。あなたがメインで作っているのは服飾ではなく、金儲けの為のデザイナー・ベビーだろう? 体外受精は確かに違法ではないが、遺伝子を組み替えるような行為は法に抵触する可能性があるはずだ。ジンの為だと思ってここまで付き合ってやったが、オレは――」
だが、聖のセリフが耳に入らないのか、安蒜は興奮した様子でベラベラと喋り続けた。
「醜くならぬよう細心の注意を払って常に美を追求しているから、僕はこれだけの若々しさを保って綺麗でいられるんだよ。君も、僕のようになりたくはないか? その麗しい美貌のまま、ずっと――」
「なんだ? オレに整形の斡旋をするつもりか?」
「っ!」
「あいにくと、オレはそういった話には興味ないんでね」
鼻で嗤うと、聖は痛烈な皮肉を口にした。
「あんたみたいな整形モンスターになるなんざ、ごめんだね」
「なっ!!」
サッと顔色を変える安蒜であるが、度重なる表情の変化は顔面にとって多大なストレスだったらしい。顔の右と左で、何ともアンバランスに顔が崩れる。
まるでチック症のように頬を痙攣させると、安蒜は奇声を上げた。
「うるさい、うるさい――――!! 僕をバカにしたな!? 優しくしてやればいい気になって! この淫売がっ!」
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