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「サンウン――」
『ダメか? 』
「ううん! ダメなワケ、ないじゃないか! 」
デヒョンは目を潤ませながら、サンウンにギュッと抱き付いた。
ジュジンも鼻を啜りながら、大きく頷く。
「よし! お前の歌パートは、オレとデヒョンで分ける! お前は、お得意のダンス・パフォーマンスをしてくれ」
『OK!』
だが、盛り上がる3人とは別に、マネージャーの方は気が進まないらしい。
慌てて口を挟んできた。
「あ、あのなっ! 今回のサンウンの怪我が、龍財閥の耳に入ったら大変なんだぞ! エンターテインメントの分野でも、あそこの財閥は力が強いって知っているだろう!? その御曹司が、海外で危険な目に遭って喉を傷めたと知られたら――――」
『大丈夫! もし察知されても、必ず説得する』
「しかしっ! 」
「ああ、もう! オレ達がやる気になってるんだから、それでいいじゃないか! あんたもViVaceのマネジャーなら、応援してくれたっていいだろう!! 」
苛立つジュジンの様子にマネージャーは少々腰が引けるも、いつも冷静なViVaceリーダーであるデヒョンへ、助け舟を期待して目を向ける。
「――なぁ、デヒョン? 君なら、僕の言う事は分かるよね? 」
「…………マネジャーの危惧している理由は、分かります」
「ああ、良かった! さすがリーダーだ――」
「でも、感情と理屈は違います。僕達は、ここまで来たなら――――MHJに出場して、スポットライトの中で、持てるだけの力を全て出し切って、最高のパフォーマンスをしたいです」
「デヒョン……」
戸惑うマネージャーへ、デヒョンは深く頭を下げた。
「我が儘は十分承知しています。でも、お願いします! MHJの開催を、主催者側へ交渉してもらえないでしょうか!? 」
すると、直ぐにジュジンもデヒョンの隣で頭を下げて、口を開く。
「頼みます! 次のMHJが開催されるとしても……またオレ達が韓国代表に選ばれるとは限らないんだ。それこそ、今回だけのチャンスかもしれない――――」
すると、サンウンも紙にペンを走らせて、頭を下げた。
『オレの家の事は考えないで! 絶対に説得するから! 』
「お前達――――」
頭を下げたまま微動だにしない、デヒョン、サンウン、ジュジン。
その3人を見遣り、とうとうマネージャーは降参した。
両手を上げて、ホールドアップのポーズを取る。
「――――分かったよ! これから主催者側へ交渉するよ! 」
「「ありがとうございます!! 」」
◇
「…………つまり、ステージには上がれるが、グランプリ等の集計は行われないという事か」
「次々と、キャンセルして帰国する意思を表示しているからねぇ。参加するとしても、よくて当初の1/3だ。これじゃあフェアとは程遠い。集計したとしても、無効になるのは仕方がないよ」
一方はUSA代表の『Jumeau』ことジュジュ、もう一方はEU代表の『Bizarre Summer』リーダー、アンリだ。
2人は、先程から説得されていた。
そう、明日のMHJ開催を主催者側へ訴え出ようと。
2人は、自分達より頭一つ分低い位置にある、小柄で可憐な容姿をした青年と――――頭一つ分デカい、長身の青年を交互に見遣る。
「頼む! お前達は海外でもトップ・スターだ。発言力も大きい。だから、お前達が出ると言えば中止決定が覆る可能性があるんだ」
小柄で可憐な、この青年は知っている。
こっちの業界では有名人だ。
「ユウ、君だって相当な発言力はあると思うよ」
ジュジュは琥珀色の瞳を悪戯っぽく細めると、そう言った。
『ダメか? 』
「ううん! ダメなワケ、ないじゃないか! 」
デヒョンは目を潤ませながら、サンウンにギュッと抱き付いた。
ジュジンも鼻を啜りながら、大きく頷く。
「よし! お前の歌パートは、オレとデヒョンで分ける! お前は、お得意のダンス・パフォーマンスをしてくれ」
『OK!』
だが、盛り上がる3人とは別に、マネージャーの方は気が進まないらしい。
慌てて口を挟んできた。
「あ、あのなっ! 今回のサンウンの怪我が、龍財閥の耳に入ったら大変なんだぞ! エンターテインメントの分野でも、あそこの財閥は力が強いって知っているだろう!? その御曹司が、海外で危険な目に遭って喉を傷めたと知られたら――――」
『大丈夫! もし察知されても、必ず説得する』
「しかしっ! 」
「ああ、もう! オレ達がやる気になってるんだから、それでいいじゃないか! あんたもViVaceのマネジャーなら、応援してくれたっていいだろう!! 」
苛立つジュジンの様子にマネージャーは少々腰が引けるも、いつも冷静なViVaceリーダーであるデヒョンへ、助け舟を期待して目を向ける。
「――なぁ、デヒョン? 君なら、僕の言う事は分かるよね? 」
「…………マネジャーの危惧している理由は、分かります」
「ああ、良かった! さすがリーダーだ――」
「でも、感情と理屈は違います。僕達は、ここまで来たなら――――MHJに出場して、スポットライトの中で、持てるだけの力を全て出し切って、最高のパフォーマンスをしたいです」
「デヒョン……」
戸惑うマネージャーへ、デヒョンは深く頭を下げた。
「我が儘は十分承知しています。でも、お願いします! MHJの開催を、主催者側へ交渉してもらえないでしょうか!? 」
すると、直ぐにジュジンもデヒョンの隣で頭を下げて、口を開く。
「頼みます! 次のMHJが開催されるとしても……またオレ達が韓国代表に選ばれるとは限らないんだ。それこそ、今回だけのチャンスかもしれない――――」
すると、サンウンも紙にペンを走らせて、頭を下げた。
『オレの家の事は考えないで! 絶対に説得するから! 』
「お前達――――」
頭を下げたまま微動だにしない、デヒョン、サンウン、ジュジン。
その3人を見遣り、とうとうマネージャーは降参した。
両手を上げて、ホールドアップのポーズを取る。
「――――分かったよ! これから主催者側へ交渉するよ! 」
「「ありがとうございます!! 」」
◇
「…………つまり、ステージには上がれるが、グランプリ等の集計は行われないという事か」
「次々と、キャンセルして帰国する意思を表示しているからねぇ。参加するとしても、よくて当初の1/3だ。これじゃあフェアとは程遠い。集計したとしても、無効になるのは仕方がないよ」
一方はUSA代表の『Jumeau』ことジュジュ、もう一方はEU代表の『Bizarre Summer』リーダー、アンリだ。
2人は、先程から説得されていた。
そう、明日のMHJ開催を主催者側へ訴え出ようと。
2人は、自分達より頭一つ分低い位置にある、小柄で可憐な容姿をした青年と――――頭一つ分デカい、長身の青年を交互に見遣る。
「頼む! お前達は海外でもトップ・スターだ。発言力も大きい。だから、お前達が出ると言えば中止決定が覆る可能性があるんだ」
小柄で可憐な、この青年は知っている。
こっちの業界では有名人だ。
「ユウ、君だって相当な発言力はあると思うよ」
ジュジュは琥珀色の瞳を悪戯っぽく細めると、そう言った。
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