後輩と先輩のやつ

十六原

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高校1年(後輩)と高校2年(先輩)

写真

 先輩がちゃんと正面を向いて写っている写真なんて、僕が持っているものの中では修学旅行の写真くらいのものだ。これは彼女が修学旅行から帰ってきてからの数日間、複数のSNSを集中的にチェックして見つけたもので、僕は今でもこれを毎日のように眺めている。

 普段から彼女のSNSアカウントはもちろん毎日欠かさず見に行くようにしているし、彼女が何か投稿したら僕のスマホに通知が来るよう設定もしてある。だから彼女が修学旅行に行っている間、旅行中に撮った写真なんかを投稿してくれたりしないかと僕は密かに期待していたのだ。だけど彼女はもともとそういったものをあまり更新しないタイプだということもあり、結局修学旅行が終わってしばらく経っても、彼女のアカウントではその話題が上ることはなかった。彼女のアカウントには基本的に鍵がかかっており、僕を含め特に親しい友人数人としか繋がっていない上に投稿数も少ない。いかにも安全なSNSの使い方に安心こそするものの、だからこそ彼女のアカウントから直接彼女の情報を仕入れるのは難しく、それが僕にはもどかしいのだ。
 ただ、彼女のクラスメイト全員がそう安全なSNSの使い方をしているわけではない。公開アカウントで堂々と本名を名乗り、おまけに自分の写真だけでなく他人の顔写真ですら躊躇いもなく投稿してしまうような、リテラシーの欠けらも無い人間が存在するのも事実なのだ。だからそういったアカウントを重点的に確認していけば、特定のクラスの集合写真なんてすぐに見つかるというものだった。案の定、彼女のフォロー欄の中にもそれらしいアカウントがいくつか見つかり、彼女のクラスメイトだと思われるそれらはみな、絶対と言っていいほど修学旅行中に撮ったらしい写真をアップロードしていた。中には「#修学旅行」などとご丁寧にタグ付けしている奴までいるのだから、そのあまりの危機感の無さには呆れるしかない。と言いつつ、部外者である自分が彼女の写真を手に入れることができるのはそういったアカウントのおかげではあるので、ありがたく保存させていただくことにしたのだった。

 今日もまた、写真の中の彼女を眺める。友人らしき人物と仲良さげに寄り添ってピースしている彼女の顔は本当に楽しそうだ。やっぱり笑顔が一番可愛いと思うと同時に、僕といる時にはこんな表情を見せてくれたことはないのに、などと考えてしまう自分には本当に嫌気がさす。最近はこんなことばかり考えてしまって、せっかくの彼女の写真にも集中できない。だから、気休めにしかならないとはわかっていながら、それでも隣に写っている友人の存在を自分の脳内から追い出したくて、思い切って写真をトリミング編集して彼女だけを切り出してみた。元の画像に比べて随分小さくなってしまったそれを拡大してスマホの画面いっぱいに映し出せば、それだけでも多少は心が落ち着くような気がしてくるから不思議なものだ。
 画面の中の彼女といつまでも見つめ合っていると、まるで彼女が僕に笑いかけているみたいだな、なんて馬鹿な考えまで浮かんできてしまう。もちろんこんなのはただの現実逃避だけど、いつかこんなふうに、彼女が僕だけにその笑みを向けてくれる日が来たらいいのに。僕の目に映るのはいつだって彼女一人だけがいいし、できれば彼女の視界にも僕以外を入れたくない。どうして彼女のことになるといつもこんなことばかり考えてしまうのだろう。恋人でもない人にこんなことを思う自分は、やはり異常なのだろうか。
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