【完結】記憶喪失の男の人を助けたら私のストーカーでした!?

十六原

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進歩

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私が部屋を出ようとすると、後ろから遠慮がちな声で呼び止められた。振り返ると、そこにはどこか不安そうな表情を浮かべる彼の姿があった。
彼は言った。

「……じゃあ、ゆかりさんがバイトをしている間、僕も外へ行ってみてもいいですか? ずっと同じ場所にいるよりは、外を歩いていろいろなものを見てみたほうが、何か思い出せるかもしれないですし……」

その言葉を聞いて、私は一瞬迷ったものの結局了承することにした。あまり遠くへ行かないことと、夜までには帰ってくることを約束してもらい、私は彼にこの部屋の合鍵と、ここの住所を書いた紙を渡した。まあ、お金も持ってないみたいだし、その辺をちょっと歩くくらいしかできないだろう。

「連絡取れないんだから、道に迷わないようにだけは気をつけてね。あ、あと熱中症にも。お水持って行っていいから、ちゃんとときどき飲んでよ?」

私はそう言って彼を送り出した。

(なんか私、お母さんみたいなこと言ってるな……)

そう思いながらも、私は部屋を出ていく彼の背中を見送った。

それから数時間後。
私はバイトを終えて帰宅した。彼のほうはまだ帰ってきていないようだが、きっともうすぐ戻ってくるはずだ。そんなことを考えていたら、ちょうど玄関の扉が開く音が聞こえてきた。
帰ってきた! そう思って、私は彼の出迎えに向かう。すると、私の目に入ってきたのは、出ていったときとは違う格好をした彼の姿だった。その上、なんだかたくさん紙袋やら何やらを持っている。

「ど、どうしたのその服……? それに、その荷物……!」

思わず声を上げる私に、彼は言った。

「買ってきました」

彼は満面の笑みでそう告げた。彼は続けてこう言った。

「ほら、これから一緒に過ごすなら、着るものも食べるものも必要かなって。だから、いろいろと買い込んできたんです」
「ちょっと待って! ……お金は? お金はどうしたの?」

ツッコミどころが多すぎて、どこから聞いていいのかわからない。私が混乱する一方で、彼は嬉々として話を続けた。

「あ、そうそう。ATMの暗証番号、思い出したんです!!」
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