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悪役令嬢の疼き
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少年暗殺者エリンは、給仕のお仕着せに着替えさせれていた。
少年用の、太腿が顕わになる半ズボンのものである。
闘技場でフェルディを悶絶させたことにより、女騎士ノエルは釈放され、エリンへの拷問もまた一時取りやめになっている。
「何のつもりなんだ、これは……」
「お嬢様の意向だ」
戸惑い気味のエリンに、ダークエルフの執事が答えた。
明るい日差し探し込む食堂には、上座で着席するフリージアがいた。
「あなたには、これよりわたくしの側にいてもらいます」
フリージアは、紅茶を優雅に嗜むとエリンに告げる。
海を越えてやってくる嗜好品で、これに植民地から採れる上白糖を溶いて飲むのが財力を持つ階級の流行だ。
「どういうつもりで、そんな……」
「そのほうがきっといいでしょう。無理に口を割らせずとも、いつかきっと教えてくれるものと信じます」
「誰が言うものか」
小さなつぶやきだ。フリージアの耳に届かないように、言ったのだ。
あの人狼の女戦士に、自分が存分に犯されている痴態を見られている。
恥ずかしさのあまり、真正面から見ることができない。
女のように泣き、激烈な快楽に襲われ、許しを請うような姿は、暗殺の対象である悪の令嬢に晒したくはないものだった。
「お前の仕事は、お嬢様の身の回りのお世話をすることよ」
メイド長が言う。
エリンは、思わず後ずさってしまった。
快楽に嬲られ、女というものの恐ろしさを植え付けたのは、誰あろう彼女だ。
いやというほと刻まれたトラウマは、克服できずにいる。
「もし、またお嬢様のお命を狙うような不届きなことをすると、その首輪に絞め殺されることになりますよ」
「どういうことだ……?」
お仕着せとは別に、エリンは首輪をつけられている。
犬のような扱いだが、この状況では甘受するほかなかった。
「その首輪は、わたくしの指輪とひと揃えになったものです。もし、わたくしの心臓が止まったら、連動して絞まるようになっている魔法の品です」
フリージアは、しなやかな指にはまった指輪を撫でた。
「くそ、なんてことを! 外せ、こんなもの!」
とはいえ、エリンの首輪は外れそうもない。
今は、おとなしく従うしかない。
そのうち、機会が来ればあの指輪を外すこともできるだろう。
考えようによっては、フリージアの身近でその暗殺の隙を狙うことだってできる。
今は、従順に従うふりをするのだ。指輪か首輪が外れるまでは。
「誰か、紅茶のおかわりを」
「は、はい、ただいま」
エリンに状況を教えこんだフリージアが、メイドたちに催促すると、すぐにハーフランのメイドがティーポットを持ってやってきた。
ハーフランは、人間族よりも小さく、子供のように見える種族である。
実際、そのメイドもエリンより頭ひとつ小さい。
ただ、頭の大きさや顔つきは人間族とは違う。
器用な種族と聞いていたが、そのメイドは気の毒になるほど緊張し、震えていた。
「あっ……!」
緊張していたのか、そのメイドはお茶を零してしまった。
メイド長の侮蔑と叱責が飛ぶ。
「何をやっているの、あなたは。本当にしょうがないわ。やっぱり娼館送りにしたほうがよかったようね。あなたみたいなのがいいっていう変態も多いようだし」
「ど、どうか、それだけはご勘弁を……」
真っ青になって、ハーフランのメイドは許しを請う。
小柄なハーフランの女がそんなところでどんな目に遭わされるのか、想像するだにおぞましい。
「メイド長、彼女もこれだけ怯えているのですから、許してあげなさい」
「ですが、それだと示しがつきませんわ」
「ならは、お仕置きを与えて沙汰としましょう。エリン、お前の出番だ」
ダークエルフの執事が、エリンに顔を向けた。
またろくでもないことが始まると、思わず身構えた。
「こののろまが二度と粗相をしないよう、喉を犯して躾けてやれ」
「なっ……!?」
その要求に、思わずたじろぐ。
「そ、そんなこと、やれっていうのか」
「できないのか? お前が私にされたように、今度はそのメイドにすればいいのだぞ」
この執事に、何をされたのか暴露された。
男に喉を犯され、口を蹂躙されてしまったこと。
その場にいたメイドたちはくすくすと笑い、そうでなかったメイドたちは戸惑いと好奇の目を向ける。
――あんな子が、そんな目に。
エリンは、拳をきゅっと握りしめる。かあっと恥ずかしさがこみ上げてくる。
哀れみすらあるその視線の数々は、まだ年若い少年には耐え難いものだった。
「お前が躾けられないというのなら、そいつを当家において置く必要はない」
執事は酷薄に告げる。
すると、ハーフランのメイドはエリンにすがってきた。
「お願いです、どうかわたしを躾けてください!」
エリンの腰のあたりにしがみつき、上目遣いでせがむ。
エリンからしてみれば、自分より年下の少女に見えるのだ。
本当の年齢はわからないが、そんな相手にあんなことを……。
せがまれても、大きく気が引ける。そのうえ、フェルディとの戦いに勝ったとはいえ、心に性的快楽の恐怖は刻み込まれたままだ。
「ほうら、その坊やをその気にさせて、ちゃんと口の中に突っ込んでもらえるようもっとお願いしなくちゃ」
メイド長まで、囃し立てた。
フリージアを始め、やはりこの館は悪の巣だ。エリンはあらためて思い知らされる。
「お、お願い、どうか……」
言いながら、エリンの半ズボンを降ろし、その性器を露出させようとしている。
「う、うわぁっ!?」
ハーフランのメイドの手つきは素早かった。冒険者の中では、ハーフランのスカウトがいると重宝するというが、鍵開けと罠の解除を得意とするからだ。
まだ勃起しかけたばかりのエリンのそれが、あっという間に顔を出したのだった。
少年用の、太腿が顕わになる半ズボンのものである。
闘技場でフェルディを悶絶させたことにより、女騎士ノエルは釈放され、エリンへの拷問もまた一時取りやめになっている。
「何のつもりなんだ、これは……」
「お嬢様の意向だ」
戸惑い気味のエリンに、ダークエルフの執事が答えた。
明るい日差し探し込む食堂には、上座で着席するフリージアがいた。
「あなたには、これよりわたくしの側にいてもらいます」
フリージアは、紅茶を優雅に嗜むとエリンに告げる。
海を越えてやってくる嗜好品で、これに植民地から採れる上白糖を溶いて飲むのが財力を持つ階級の流行だ。
「どういうつもりで、そんな……」
「そのほうがきっといいでしょう。無理に口を割らせずとも、いつかきっと教えてくれるものと信じます」
「誰が言うものか」
小さなつぶやきだ。フリージアの耳に届かないように、言ったのだ。
あの人狼の女戦士に、自分が存分に犯されている痴態を見られている。
恥ずかしさのあまり、真正面から見ることができない。
女のように泣き、激烈な快楽に襲われ、許しを請うような姿は、暗殺の対象である悪の令嬢に晒したくはないものだった。
「お前の仕事は、お嬢様の身の回りのお世話をすることよ」
メイド長が言う。
エリンは、思わず後ずさってしまった。
快楽に嬲られ、女というものの恐ろしさを植え付けたのは、誰あろう彼女だ。
いやというほと刻まれたトラウマは、克服できずにいる。
「もし、またお嬢様のお命を狙うような不届きなことをすると、その首輪に絞め殺されることになりますよ」
「どういうことだ……?」
お仕着せとは別に、エリンは首輪をつけられている。
犬のような扱いだが、この状況では甘受するほかなかった。
「その首輪は、わたくしの指輪とひと揃えになったものです。もし、わたくしの心臓が止まったら、連動して絞まるようになっている魔法の品です」
フリージアは、しなやかな指にはまった指輪を撫でた。
「くそ、なんてことを! 外せ、こんなもの!」
とはいえ、エリンの首輪は外れそうもない。
今は、おとなしく従うしかない。
そのうち、機会が来ればあの指輪を外すこともできるだろう。
考えようによっては、フリージアの身近でその暗殺の隙を狙うことだってできる。
今は、従順に従うふりをするのだ。指輪か首輪が外れるまでは。
「誰か、紅茶のおかわりを」
「は、はい、ただいま」
エリンに状況を教えこんだフリージアが、メイドたちに催促すると、すぐにハーフランのメイドがティーポットを持ってやってきた。
ハーフランは、人間族よりも小さく、子供のように見える種族である。
実際、そのメイドもエリンより頭ひとつ小さい。
ただ、頭の大きさや顔つきは人間族とは違う。
器用な種族と聞いていたが、そのメイドは気の毒になるほど緊張し、震えていた。
「あっ……!」
緊張していたのか、そのメイドはお茶を零してしまった。
メイド長の侮蔑と叱責が飛ぶ。
「何をやっているの、あなたは。本当にしょうがないわ。やっぱり娼館送りにしたほうがよかったようね。あなたみたいなのがいいっていう変態も多いようだし」
「ど、どうか、それだけはご勘弁を……」
真っ青になって、ハーフランのメイドは許しを請う。
小柄なハーフランの女がそんなところでどんな目に遭わされるのか、想像するだにおぞましい。
「メイド長、彼女もこれだけ怯えているのですから、許してあげなさい」
「ですが、それだと示しがつきませんわ」
「ならは、お仕置きを与えて沙汰としましょう。エリン、お前の出番だ」
ダークエルフの執事が、エリンに顔を向けた。
またろくでもないことが始まると、思わず身構えた。
「こののろまが二度と粗相をしないよう、喉を犯して躾けてやれ」
「なっ……!?」
その要求に、思わずたじろぐ。
「そ、そんなこと、やれっていうのか」
「できないのか? お前が私にされたように、今度はそのメイドにすればいいのだぞ」
この執事に、何をされたのか暴露された。
男に喉を犯され、口を蹂躙されてしまったこと。
その場にいたメイドたちはくすくすと笑い、そうでなかったメイドたちは戸惑いと好奇の目を向ける。
――あんな子が、そんな目に。
エリンは、拳をきゅっと握りしめる。かあっと恥ずかしさがこみ上げてくる。
哀れみすらあるその視線の数々は、まだ年若い少年には耐え難いものだった。
「お前が躾けられないというのなら、そいつを当家において置く必要はない」
執事は酷薄に告げる。
すると、ハーフランのメイドはエリンにすがってきた。
「お願いです、どうかわたしを躾けてください!」
エリンの腰のあたりにしがみつき、上目遣いでせがむ。
エリンからしてみれば、自分より年下の少女に見えるのだ。
本当の年齢はわからないが、そんな相手にあんなことを……。
せがまれても、大きく気が引ける。そのうえ、フェルディとの戦いに勝ったとはいえ、心に性的快楽の恐怖は刻み込まれたままだ。
「ほうら、その坊やをその気にさせて、ちゃんと口の中に突っ込んでもらえるようもっとお願いしなくちゃ」
メイド長まで、囃し立てた。
フリージアを始め、やはりこの館は悪の巣だ。エリンはあらためて思い知らされる。
「お、お願い、どうか……」
言いながら、エリンの半ズボンを降ろし、その性器を露出させようとしている。
「う、うわぁっ!?」
ハーフランのメイドの手つきは素早かった。冒険者の中では、ハーフランのスカウトがいると重宝するというが、鍵開けと罠の解除を得意とするからだ。
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